第260回 競争について考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
今の世の中は競争社会と呼ばれるほど、私たちは競争の中に身を置いて生活しています。学生の頃は受験や進学、社会人になるときには就職、その後は昇格や昇給...と私たちは常に競争の中で生きています。ところが、社会人経験が長くなってくると、それほど競争を意識することがなくなってきます。しかし、それは競争がなくなった訳ではなく、競争に価値を見出さなくなってきたからではないでしょうか。今回はそんな「競争」について考えてみます。
■社会における競争
サラリーであれ自営であれ、社会で仕事をする私たちは常に何かしらの競争をしています。サラリーであれば社内での競争。例えば、社員間で起こる昇格の競争、自分自身の給料を上げるための昇給の競争などが考えられます。自営であれば社外での競争。こちらは自社のシェアを拡大するための他社との競争が考えられます。これは資本主義社会だからこそ起こり得ることで、誰しもが納得していることではないでしょうか。
また、他の人との競争ではなく、自分自身に向けた競争もあります。例えば、自分自身が掲げた目標に到達するために、自分自身の弱さと向き合うこともあるのではないでしょうか。これも立派な競争ですね。
■競争をしないということ
しかし、社会人生活を長く続けてくると、この競争する感覚が麻痺してくる場合があります。例えば、昇格や昇給が見込めず、同じ現場でルーチンワークのように働いている場合。毎日毎日同じ仕事の繰り返し、しかし、現場はとても居心地が良いし、それほど給料が安い訳でもないので転職のリスクを冒すまでもない。毎日平和に暮らせているので、現状のままで構わない。正に「現状維持」の考え方です。現実にはここまでのケースはそれほど多くはないかもしれませんが、多かれ少なかれこれに近い状況にある方は結構おられるのではないかと思います。
ただ、現状維持をしているからといって競争の枠から外れた訳ではありません。競争を意識しなくなっただけで競争がなくなった訳ではないのです。競争を選ばなくなったとしても、次は「現状維持」という競争を始めているとも考えられます。そう考えるならば、結局のところ、私たちは仕事をする限り競争することから逃れることはできないのかもしれません。
■競争を意識した仕事を
だとするならば、競争を意識した仕事をすることは効果的な仕事の方法と言えるかもしれません。昇格や昇給もそうですし、シェアの拡大もそうです。自分自身に対する取り組みや現状維持もそうです。仕事を続ける上で自分には何の競争が必要なのかを考え行動する。それが自らのキャリアを形づくることにも繋がっていくのではないでしょうか。そのためには、
- なぜ競うのか?(目的)
- 何を競うのか?(対象)
- 誰と競うのか?(相手)
これらを理解し、行動することが必要になってくるのではないかと思います。