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第257回 新入社員の仕事の取り組み方

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 4月に入って新入社員の方と接する機会が多くなりました。皆さん社会人としての不安や期待が態度に表れており、どの方も真面目に、そして積極的に仕事を覚えようとされている姿が印象的です。そんな中、物事をうまく伝えられる人、伝えられない人がハッキリしてきました。学生時代にコミュニケーションが得意だった人は率先して会話をしてくれる印象がありますが、そうでない人は少し気後れした感じで話されます。会話を得意としていない人には、話し方、伝え方のコツをお話しし実践してもらうようにするのですが、コミュニケーションを得意としている人にも少しアドバイスをさせてもらったことがありました。今回はそんなお話しです。

■1を聞いて10を知るタイプの新入社員さん

 その方は頭の回転が早く、周りにも気が利き、一言で言えば賢いタイプの新入社員さんでした。研修では講師である私が伝えたことをうまくグループのメンバーに伝えたり、ワークを上手にこなせるように周りをサポート、助言することができ、自分自身の発言もしっかりできる。まさに1を聞いて10を知るタイプの人で、「こういう人もいるのかぁ」と感心しました。

 そこで、その新卒さんと少し会話をしてみました。

高橋「良く周りに気が付きますね」
新入社員さん「えっ、そうですか? ありがとうございます! 」
高橋「学生時代に何かされてたんですか? 」
新入社員さん「はい、サークル活動のリーダーをやらせてもらっていました。サークル活動ではいろんな人と調整したり、お金のことを決めたりしないといけないので、自分の考えはハッキリ言えるようにならないと務まらなかったんです。また、他の人の考えも汲んであげないとうまく回らないので、そういったことには自信があります」
高橋「そうなんですね。これからの研修も期待しています。頑張ってくださいね」
新入社員さん「ありがとうございます! 」

...と、こんな感じで話をしてもらえました。

■会話ができるからこそ起こるジレンマ

 ところが、その後、その新入社員さんがいるグループで討論が起こりました。傍で聞いていると、その新入社員さんの考えに同調できない人が異を唱えているような感じでした。結局、そのグループの意見はまとまったようですが、まとまるまでに少し時間がかかったようでした。

 少し気になったので、後からその新入社員さんに話を聴いてみることにしました。

高橋「さっき、グループ内で言い合いになってましたが、どうしましたか? 」
新入社員さん「あ、はい。私がワークの進め方を提案したんですが、内容をうまく説明できなくて理解してもらうのに時間がかかりました」
高橋「どんな提案をしたんですか? 」
新入社員さん「作業の進め方についてです。指示された内容をどうやってくか議論していました。私は与えられた結果だけをやるのではなく、相手が考えていることまで汲んでやった方がいいって提案したんです。しかし、他のメンバーはそんな言われてもいないことをやるのは良くないって言われました。ですが、最終的には私の考えを受け入れてくれました」
高橋「なるほど、そうだったんですね。議論しているとき、どんな気持ちでしたか? 」
新入社員さん「うーん、私のことが分かってもらえていないというか...、うまく説明できないもどかしさを感じました」

 この新入社員さんは周囲への気配りができるようで、仕事を依頼した相手のことを考えて行動した方が良いと考えているようでした。恐らく、学生時代はそれでうまくいっていたのでしょう。しかし、社会人になり、研修とはいえ他の人と意見がぶつかってしまい、自分の思う動きができていないことにジレンマを感じているようにも見えました。

■新卒社員の仕事の取り組み方

 そのため、私からこんなアドバイスをさせてもらいました。

高橋「〇〇さんは物事の理解が早そうですね。きっと『1を聞いて10を知る』タイプのような。先々のことが分かってしまうので、行動した方がいいと思うんでしょうね」
新入社員さん「そうですね、やっと方が良いと思うことは行動したいです」
高橋「でも、他の人がその考えについて来れないと、その行動は他の人から見たら先走った行動に見えちゃうかもしれませんね。もし1を聞いて10を知ってしまったら、最初の1を終わらせてから、残りの2~10をみんなで考えてみるのはどうでしょう? 」

新入社員さん「それって、まずは言われた仕事をちゃんと終わらせるということでしょうか? 」
高橋「そうですね。どんな仕事にも意味があります。仕事を完遂させるということは〇〇さんの役目を果たすということでもあります。その役目を正しく果たすというのは社会人にとって最低限必要なことです。確かに〇〇さんは先々のことが分かるのかもしれません。しかし、それをするかどうかは〇〇さんが決めることではなく、仕事を依頼した相手が決めることです。だからこそ、まずは依頼された仕事を100%完遂させる。そこから先のことは依頼した相手と一緒に考えてみてはいかがでしょうか
新入社員さん「確かにそうですね。まずは与えられた仕事をちゃんとする必要がありますね。質問してもよろしいでしょうか?」
高橋「何なりと」

新入社員さん「例えば、先々のことが分かったとして、それを仕事を依頼してきた人に伝え、元々の仕事と一緒にやってしまうのはどうでしょうか? 」
高橋「それはそれアリだと思います。ただ、そうすると仕事の時間(納期)が変わってくるかもしれません。今の時期は社会人の基礎力を鍛える意味でも、与えられた仕事を100%完遂させることを第一に考えられたらいかがでしょうか。そういった仕事のやり方は仕事に慣れてきてからでも遅くはないと思いますよ」
新入社員さん「なるほど、分かりました。ありがとうございます! 」

 新入社員さんとの会話にもありますが、新入社員にとって一番大切なことは与えられた仕事を完遂させることだと考えます。まずはそのための地力をしっかり鍛えることを新入社員のうちにやっておいた方が良いと思います。ただ、それだけに注力してしまうと応用力が身につかないので、仕事を完遂させる地力を養った上で、少しずつそこから先のことを考え、行動するようにしてみると良いのではないかと思います。

 この新入社員さんがこれから先、どんな社会人になっていくのか、とても楽しみに感じました♪

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