第190回 当たり前のことを当たり前にすること
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
私事ですが、年始早々風邪をこじらせてしまいました。実はこのコラムを書いている時点でもまだ微熱はあるのですが、それでも熱が出だしたころに比べるとかなり楽になりました。それはある病院で診てもらったからなのですが、今回はこの病院で感じたことを書きたいと思います。
■休日に熱を出したらどうしますか?
このコラムがアップされるのは1/11(月)ですが、その2日前の土曜日に出張先で仕事をしていたところ急に熱が38度くらいまで上がってしまいました。それでも何とか仕事を終わらせ、新幹線で帰宅の途に着くころにはフラフラな状態で家に着くなりダウンしてしまいました。
しかし、翌日になっても熱は下がりませんでした。普通であれば翌日の月曜まで待って病院に行くのが一番良いと思うのですが、あいにく月曜は成人の日で普通の病院は休みです。そのため、病院へ行くには、さらにその翌日まで待たなければなりません。
もし何とか体力がもつとか、翌週に休みが長く取れるとかなら市販の風邪薬を飲んで自宅で様子を見るのもアリかもしれません。しかし、翌週も出張することになっており、また本の原稿も書かなければならないのであまり休んでもいられない状況でした。
そんなとき、以前かかりつけで診てもらっていた病院のことを思い出しました。この病院は以前住んでいた場所の近くにあった町医者さんで非常に丁寧に診察してもらえるのと日曜日も診察されていたのでとても重宝していました。しかし、5年程前に引っ越してしまい場所が離れてしまったため、通わなくなっていました。
「そういえば、前の家の○○病院は日曜も診察されてたな…、ちょっと遠いけど早く体調を治さなきゃならないから、日曜は朝一番で診てもらいに行くか…」
ということでボロボロの身体を引きずってそのお医者さんのところに診てもらいに行きました。
■日曜にやっている町医者さんのこと
私がその病院に行ったのは日曜の朝9時過ぎでしたが既に人が多かったです。そのため1時間以上も待合室で待つことになり、診てもらう前から更にグロッキー状態になってしまいました。そんな中、やっと名前が呼ばれました。
診察室に入るなり、先生が開口一番、
「大変お待たせして申し訳ありませんでした。高橋さん、かなりのご無沙汰ですね。今日はどうなさったんですか? 」
最後にこの病院に来てから5年以上経っているにも関わらず私のことを覚えてくださったのは少し感動しました。そして私が病状を伝えると、
「そうですか、それじゃまずは触診しましょう」
と聴診器で呼吸音を確認され、肺炎かどうかの診断をされました。その後触診で体の悪いところががないかを確認された後、
「体温が上がる原因をちゃんと調べたいので、インフルエンザのチェックをしましょう」
と検査キットを使い、患者である私の目の前でインフルエンザのチェックをしていただきました。その結果、インフルエンザは陰性でした。そうすると先生は、
「インフルエンザが陰性なのはよかったです。でも、そうだとするとなぜ38度以上の熱が上がったのかの説明つきません。これがウィルス性のものか、それとも体内にばい菌がはいったことによるものかを見極めないと正しい治療がおこなえないので、次は血液検査をしましょう。
しかし、その前に高橋さんは大分疲労困憊なので点滴を打ちましょう。その途中で検査結果も出ますので、もし抗生剤の効果がみられるようなら、途中から点滴に抗生剤を入れるようにして早く治せるようにしますね」
といわれ、別室で血液を採取してもらった後、点滴を受けていました。そうして、10分くらいした後、いきなり先生が入ってきて、
「高橋さん、原因が分かりましたよ! 血液の白血球の数が正常値よりかなり多くなっていました! これは体内にばい菌が入ったことの表れです。これなら抗生剤が効きますので、すぐに抗生剤を投与しますね」
と点滴に抗生剤を追加してもらいました。
その後、点滴が終わった後、先生に今回の結果を伺い、お薬をもらって家に帰りました。病院を出た当初はまだ体調は良くなかったのですが、時間が経つにつれみるみる体調が回復してきました。まだ微熱は残っていますが、体調は80%近く戻っています。
■当たり前のことを当たり前にする凄さ
病院はたくさんの患者さんの対応をしなければならないため、いわゆる「1時間待ちの5分診察」などと揶揄されることもありますが、この病院は待つことが長い代わりに、一つ一つの対応を患者に分かるようにとても丁寧に説明されています。それは昔も今も変わっていませんでした。
熱が出ている原因がどこにあるのか? それを探し、そこに対して適切な治療を施す。それを判断するためには短い診察時間では分からないのではないかと素人目線ながら思ってしまいます。だからこそ多くの病院はお医者さんの経験則から病状を診断することで短い時間でも対処できるようにされているのだと思います。それが間違っているとはいいません。しかし、一患者からすれば、
「とりあえずこの薬を5日分飲んで様子をみてください。それで治らなかったらまた来てください」
といわれるより、やはりちゃんと診てもらいたいと思います。
こういったことは本来は当たり前のことなのかもしれません。しかし、諸々の事情で当たり前のことができないことはたくさんあります。それをこの病院では当たり前のように何年も続けておられるのです。単純にこのことが凄いと感じました。
これは私たちの仕事や生活においても同様だと思います。誰にでも分かり切っている「当たり前のこと」。これをさも「当たり前のように」やり続けることはとても大変なことだと思います。しかし、当たり前のことを当たり前にすることができるからこそ、そこに信頼や信用が生まれ、人が惹きつけられてくるのではないかと感じました。
今、こうやって原稿を書けている自分も、先生の診察があったからだと思っています。私もこの先生のように、当たり前のことを当たり前にする人間になりたいと思いました。