第155回 理解ではなく認めること
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
社会人になると面談をしたり、されたりする機会が結構あります。面談をされる側(受ける側)は面談をする側の話に応える形で進むことが多いので、面談の内容や面談者との関係で気構えることはあるものの、それ以外のことについては、それほど気にすることはないのかもしれません。
しかし、面談をする側からすれば少し事情が変わります。そもそも面談はある目的を達成するために行われますので、面談をする側はその目的を達成させるために、事前の情報収集や当日の面談の進行(イメージトレーニング)などの準備を行った上で面談をすることが結構あります。
私もキャリア・コンサルティングの仕事をしている手前、よく面談をさせていただきます。そこで、今回は私が面談をするときにいつも心がけているモノをご紹介したいと思います。
■面談のいまむかし
ひと昔は組織の力関係などを利用した面談が普通に行われていた時期がありました。面談をする側が高圧的な態度で、さも尋問をするような面談です。この手の面談において、面談を受ける側は答えなければならない状況に追い込まれます。つまり、このときの面談は何かを強要させるような面談になっていました。
それに対して、昨今の面談は傾聴のような手法を使い、相手の心に寄り添い、面談相手との信頼関係を元にした面談が多くなってきたように思います。この面談では、面談を受ける側が自分から進んで答えを発するようになります。つまり、自発的に発言させるような面談です。このような信頼関係を元にした面談にはカウンセリングのような医療現場でも使われますし、コーチングやキャリア・コンサルティングのように相手の目的を達成させるために行われる場でも使われています。
■私が面談をするときに決めているルール
強要と自発を比較してみると、面談相手の心の底にある深い答えを引き出すことができるのは自発の方が優れています。この理由からも、現在では傾聴を使った面談が多く使われているのだと思います。しかし、このような面談は面談をする側からすればハードルが高く、慣れていないと実践しづらいという側面があります。特に、相手の言わんとすることがどうしても理解できないような場合だと、相手に同調できないばかりか、自分の考えを相手に押し付けてしまうこともあります。こうなってしまうのは、「自分が正しい」という考えが面談をする側の根底にあり、それを相手にも納得させようとする心の動きから来るのではないかと思っています。
そのため、私は面談や人と話す場合、いつもこのルールを守るように心がけています。
ルール:自分と相手との考え方が違うのは当たり前。だから、理解ではなく認めること。
この考え方は面談を経験していく上で少しずつ体感するようになり、今では当たり前の考え方になっています。感覚的には自分の考えの及ばないことを自分の中に置いておくことができるようになった感じです。これができるようになったことで、面談の相手から話を引き出す言葉の数が圧倒的に増えたような気がしています。
もし、相手に寄り添う面談が上手くいかないなぁという場合や、相手が本音で話してくれないなぁと感じたときは、ぜひ一度相手のことを理解するのではなく認める考え方をもってみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れると自然にできるようになり、相手からの言葉も増えてくると思います。