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第150回 キャリア・コンサルタントの国家資格化について

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 以前、改正労働者派遣法の話を書かせていただきましたが、キャリアコンサルタントの国家資格化に関する法案が今期の通常国会に提出されることになりました。そこで、今回はキャリアコンサルタント資格が国家資格化されることについて思うことを書きます。

■キャリアコンサルタント国家資格化の動き

 今年の2月27日に厚生労働省のHPに「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱」の労働政策審議会に対する諮問及び同審議会からの答申について」と題する報道発表がありました。

 これによると、勤労青少年福祉法や職業能力開発促進法などの法改正を行うための労働政策審議会が開かれ、その答申を厚生労働大臣に対して行ったとされています。厚生労働省はこの答申を踏まえ法律案を作成し、今期本通常国会へ提出するための準備を進めているとあります。そして、この話には続きがあり、3月18日の国会閣議においてこの法案が国会に提出されることが決定したそうです。

 この法案の要綱には、キャリアコンサルタントの国家資格化についての記述がみられます。

  • キャリアコンサルタント試験は厚生労働大臣が行うものとし…、(要綱P.11)
  • キャリアコンサルタント試験に合格した者は、キャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、キャリアコンサルタントとなることができるものとし、その登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、効力を失うものとすること。(要綱P.11)
  • キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないものとすること。(要綱P.12)

 これらのことから、国(厚生労働省)は「キャリアコンサルタント」を名称独占資格(免許は5年ごとに更新)として新設しようとしているのが分かります。そして、この法案の施行は平成28年4月1日を想定しているようです(要綱P.13)。

■技能検定との棲み分けはどうなるか?

 キャリアコンサルタントにはすでに国家検定であるキャリア・コンサルティング技能検定があります。また、民間のキャリアコンサルタント資格もあります。現段階ではこれら既存のキャリアコンサルタント資格と新しいキャリアコンサルタント国家資格との棲み分けは明言されていませんが、恐らく以下のような対応になるのではないかと推測しています。

  • 技能検定はあくまでキャリアコンサルタントの技能を問う(技能士)としての試験であり続ける
  • 国家資格の認定に際し、民間キャリアコンサルタント資格や技能検定の結果を反映する(試験免除策などを講じる)

 つまり、国家資格はキャリアコンサルタントの免許、技能検定はキャリアコンサルタントの技能をして棲み分けされるのではないと思います。しかし、新たにキャリアコンサルタント資格を国家資格として試験化した際、既存のキャリアコンサルタント資格の有資格者のフォローが必要になってくるのではないかと思われます。そのため、キャリアコンサルタント資格の有資格者に対しては国家資格の試験免除策などを講じてくるのではないかと思います。

■キャリアコンサルタント国家資格が誕生したら

 キャリアコンサルタント国家資格が業務独占資格ではなく名称独占資格に留まったことは少し残念ですが、それでも、個人的にはこの法改正は好意的に受け取っています。この法改正によって、キャリアコンサルタントという職業が5年ごとに更新される登録型の免許制になるため、職業としての価値や認知度が向上するのではないかと思います。また、名称独占資格であるため、法改正後はキャリアコーディネーターやキャリアリクルーターのようなキャリアコンサルタントに類似する名称は使えなくなり、キャリアコンサルタントという職業がより明確になっていくと思います。

 そして、このことは以前のコラムでご紹介した改正労働者派遣法と絡んで、企業がキャリアコンサルタントと雇用することが当たり前の世の中になっていく可能性もあるのではないかと思います。

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