ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第135回 キャリアを実現して思うこと

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 私はキャリア・コンサルタントという職業柄、人のキャリアづくりをお手伝いさせていただくことが多いのですが、それは目指すキャリアに到達することを第一の目標にしています。それでは、目指すキャリアに到達した後はどうなるか、今回はこんなお話です。

■キャリアを実現させることによって、明らかにモチベーションが下がった

 これは私の例ですが、私はITエンジニアからキャリア・コンサルタントに転身しました。このキャリアを実現させるためにたくさん勉強をし、たくさん経験を積み、実現させるためのキャリアパスを日々考え、実践してきました。その頃のモチベーションは本当に高かったと思います。「これから先の時代はキャリア・コンサルタントが必要なんだ! 」と勝手に思い込み、日々キャリア・コンサルタントになることばかり考えてきました。

 そうして実現したキャリア・コンサルタントという職ですが、最初は新しいことばかりで期待と不安が入り混じったような状態でした。毎日が新鮮で、新しい経験がたくさんあり、本当に充実していたと思います。しかし、それもいずれ慣れが生じてきました。最初に心躍っていた風景も色あせ、さも普段のルーチンワークのような感情に近いモノになってきました。それでも、全国各地でキャリア・コンサルタントや研修などやらせていただくようになった頃は、その土地土地での気づきや発見がありました。エンジニアライフでコラムニストとして活動させてもらうようになったときも自分のコラムが世に発信されることの責任感や充実感を感じずにはいられませんでした。自分がこれまでやってきたキャリア・コンサルタントの仕事や経験を1冊の本にまとめ上げ、出版できたことも、私にとっては本当に大きな財産となりました。

 しかし、こういったことを数多く経験させていた上で感じることは、今の私はキャリアをつくろうとしていた時期と比べ、明らかにモチベーションが下がっているように思います。それは、キャリア・コンサルタントという仕事に飽きたとかそういったことではありません。この仕事は私にとってかけがえのない仕事ですし、これからもずっと続きていきたいと思っています。

■キャリア・ドリフトの最中に考えること

 これは、キャリアを実現させた人であればご理解いただけると思います。例えば、転職活動で難関の企業への転職が成功したとします。転職するまではそこの会社の会社情報やHPを穴が開くまでみていたことでしょう。しかし、いざ転職が実現してそこの会社に入ってしまうと、そのようなモチベーションはなくなり、今度は日々の仕事をどうやってクリアしていくかに意識が向いていきます。

 このようにキャリアを実現させた後は、キャリアをドリフトさせる時期に入ります。キャリア・ドリフトについては、「第103回 キャリアのことを忘れてみる」に書かせてもらいましたが、そのときの文章を引用してみます。

 キャリアを実現した後、しばらくの間はそのキャリアに身を任せてみることで、その人の中に新しい何かが芽生え、それが新たな想いとして形づくられてきます。それが少しずつ強くなり、もう一度キャリアをつくりたいと思えるようになったら、再びキャリア・デザインの期間に入り、新たなキャリアづくりをしようとするのだそうです。つまり、人生はキャリア・デザインとキャリア・ドリフトの期間が交互にやってくるという考え方です。

 私が思うに、ここで謳っている「もう一度キャリアをつくりたいと思えるようになったら」というのは、その人のモチベーションが大きくかかわっているのではないかと思います。キャリアを実現させることでそれまで保たれていたモチベーションはいったん下がります。しかし、下がり切ったモチベーションはいずれ上がってきます。その上がるきっかけを得ることが、キャリア・ドリフトの時期には必要なのではないかと思います。ですので、ただ単にキャリアに身を任せるだけでなく、それにプラスして日ごろから次のきっかけを掴むための情報収集や経験を積むといったことが必要なのではないかと思いました。

 そんな訳で、そろそろ私も次のきっかけ探しに出かけてみようと思います。

 ところで、本コラムで紹介させていただいた私の本ですが、楽天Koboさんの計らいで、特別セールにエントリーしていただける旨の連絡がありました。期間は2015年1月1日(金)0:00~2015年1月6日(火)9:59までの間で、価格はワンコイン(税込500円)での販売となるそうです。定価の1/3の値段になるそうですので、もしご興味のある方は是非お手に取ってご覧いただければと思います。

ひとりでできる! ITエンジニアのキャリアデザイン術」(楽天Koboさんに飛びます)

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