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第134回 気持ちを汲み取るということ

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 先日、ある研修の講師を担当したのですが、そこで受講者の方からコメントをいただくことがありました。結果的に私がそのコメントを拝見することはなかったのですが、このことで色々考えることがありました。そこで、今回はこの話を書いてみたいと思います。

■受講者からコメントをいただくまでの長い道のり

 その研修はある団体が主催する勉強会のような研修でした。私は過去にもその研修の講師を担当したことがあり、今回も担当させていただくことになりました。当日、研修に参加された方はそれほど多くなかったのですが、研修自体は滞ることなく進めることができたと思っています。通常、私が主催する研修ではすべて研修後にアンケートを取らせてもらい、自分へのフィードバックとさせてもらっているのですが、その研修は私が主催しているモノではないため、これまでアンケートを取っていませんでした。

 そのような中、研修に参加された受講者のお知り合い(仮にAさんとします)から私宛に連絡がありました。Aさんは私とも知り合いなのですが、Aさん曰く、私の研修の評判がよくなかったそうで、理由が聞きたいなら教えるがどうか? といわれました。私はぜひ教えてもらいたいのでその旨を伝えた所、かなり厳しい内容なので、先に私の感想を伝えて欲しいといわれました。

 このとき、ある違和感を覚えました。「なぜ、受講者のコメントをもらうのに、先に私の感想をAさんに伝えなければならないのだろう? 」別に私の感想を伝えることは構わないのですが、それでもどうも釈然としなかったので、私はAさんに感想を伝える理由が分からないとして、感想をを伝えませんでした。そうした所、Aさんからは、私が出した感想によって、受講者のコメントを変えるようなことはしないので、先に伝えて欲しいとの回答がありました。

 この時点で、私はこのやり取りに辟易してしまい、もう私にコメントを伝えていただく必要はないので、そのコメントを主催者に伝えてもらうようにAさんに言伝をし、このやり取りを打ち切らせてもらいました。

 しかし、その後、再びAさんから連絡が来ました。どうやらAさんは、先に参加者のコメントを伝えてしまうと、私の感想が変わってしまうことを懸念されていたそうで、このようなやり取りをされたとの説明を受けました。しかし、その説明を聞いても、研修の主催者でもないAさんに私の感想を伝える理由は分かりませんでした。

■意図は理解できなくても、気持ちを汲み取ることはできる

 では、なぜAさんはこのように立ち振る舞ったのか、そこにはAさんなりの配慮があったのだと思います。Aさんの名誉のためにいわせてもらうと、Aさんは決して悪い人ではなく、寧ろ人当たりがよく、誰からも愛される素晴らしい人格の持ち主です。そんなAさんだからこそ、私が傷つかないように、Aさんなりの配慮をされたのだと思います。それは、文章の節々から感じることはできました。ただ、その気づかいの方法が少し私の考えの外にあるモノだったので、今回、私はその意図を理解することができませんでした

 しかし、それでもAさんに対して悪い印象はまったく持っていません。それは、Aさんの想いや気持ちを私が感じ取ることができたからだと思います。それは、ひょっとしたら私が勝手にそう思い込んでいるだけなのかもしれませんが、そうだとしても、私は自分の考えを信じたいと思います。

 こういったことは日常生活においてもあり得ることだと思います。例えば、自分の子供が何度教えても同じ間違いを繰り返してしまうことがあったとします。親の立場からすれば、子供への躾の一環として根気強く何度も何度も間違いを正そうとします。しかし、あまりにも間違いが治らないと、そのうち腹も立ってきます。しかし、結果として表れてこないだけで、ひょっとしたら子供なりに努力はしているのかもしれません。親の期待に応えようと必死にやっているのかもしれません。

 そう考えると、一事が万事、結果だけで物事を捉えるのではなく、例え結果が出なかったとしても、その時の相手の気持ちを汲み取ってあげることも、時には必要なことなのではないかと思いました。

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