第119回 まっ、いっか。
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
ITエンジニアをやっていた時分、結構仕事に対してピリピリしていたような気がします。何事も失敗しないように、失敗したら次は同じ失敗を繰り返さないように…。しかし、最近はあまりそういったことを考えなくなりました。今回はこのことについて書きたいと思います。
■ITエンジニアに求められる正確さと緻密さ
一般的に仕事をする際、何かしらのアウトプットが求められます。ITエンジニアの場合は特にその傾向が強いように思いますが、成果物と称して、設計書や報告書、ソースファイルや実行モジュール、これらは顧客に対する納品物として扱われるため、ただ作成するだけでなく、その品質も求められます。そのため、アウトプットの作成ができなかったり遅れたりする事態になったときには大変です。やれ遅れた原因を分析しろだの、やれ対策の検討しろだのと大騒ぎになります。実際、ITエンジニアだった時分の私もそうでした。
こんなときに、「まぁまぁ、そんなに肩ひじ張らずにゆっくりやりましょうよ♪」なんていった日にゃ良くて炎上、悪ければ責任問題まで追及されません。それだけITエンジニアの仕事というのは正確さや緻密さが求められるのかもしれません。
■ITエンジニアから離れて分かったこと
今現在、私はITエンジニアの仕事はほとんどやっていません。まれにプロマネをすることはありますが、基本はITエンジニアに対してキャリコンや研修をしたりしながら、ITエンジニアをサポートする側で仕事をしています。
このようにITエンジニアを客観的な立場でみられるようになってくると、いかに自分がせっかちな生き方をしているのかがよく分かりました。正確さや緻密さを追求するためにストイックなまでに自分に厳しいルールを課し、それをさも美徳のようにして振る舞っている自分がいました。今考えたらかなり滑稽ですね(笑)
■「まっ、いっか。」
このように考えることができるようになったのも、ITエンジニアの仕事から離れてみることができたからということもありますが、もうひとつ私の中で考え方の変化があったからのように思います。それは「まっ、いっか。」が口グセになったときからです。
「電車1本乗り遅れちゃったなぁ…、まっ、いっか。」
「あぁ、説得失敗しちゃったなぁ…、まっ、いっか。」
「仕事が忙しくて、お昼食べ損ねたなぁ…、まっ、いっか。」
文章で書くとダメ人間な臭いがプンプンしますが、実際はちょっと違います。「まっ、いっか。」で失敗を受け入れた上で、次にどうすれば良いか建設的な考え方をするようにしています。
「電車1本乗り遅れちゃったなぁ…、まっ、いっか。その分、ゆっくり考える時間ができたし」
「あぁ、説得失敗しちゃったなぁ…、まっ、いっか。彼の考え方が理解できたし」
「仕事が忙しくて、お昼食べ損ねたなぁ…、まっ、いっか。その分、今日中に仕事を終わらせることができるようになったし」
ITエンジニアの時分は失敗しないようにすればどうすれば良いか、失敗を受け入れないような姿勢で仕事に取り組んでいたように思います。恐らく、失敗を受け入れることが怖かったのかもしれません。それが、ITエンジニアから離れることで、失敗を受け入れることを恐くなくなったような感じになりました。失敗は失敗としてちゃんと自分の中で受け入れ、それでどうするのかといったことが考えられるようになりました。
もちろん、失敗はしないに越したことはありません。しかし、現実はそうならないこともたくさんあります。だからこそ、自分に起こったことをちゃんと受け入れ、そこから何がどうしたいのか? 何ができるのか? を考えることができるようになると、いろいろな選択肢が増えてくるように思います。
■失敗を受け入れることでつくられるキャリア
これはキャリアづくりについてもいえることです。
例えば、あるシステム開発案件で大きな失敗をしてしまったとします。それはキャリアづくりに失敗したと考えるのではなく、「まっ、いっか。」と考え、その失敗から次に何ができるのかを考えることで、それまでとは違う形でキャリアづくりをすることもできるようになってきます。
あなたも、「まっ、いっか。」で望むキャリアを手に入れてみませんか?