第98回 演じている自分と本当の自分
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
先日、ある人と会話をしました。その人はとても活発で、周りに元気を振りまくような人に、私はみえていました。しかし、その人と1対1で話をしたとき、人前に出るととても緊張するし、人と話すことが苦手といわれていました。そのときはそこで話が終わったのですが、なんとなくこのことが頭の中でひっかかってしまい、ずーっと考えていました。そこで、今回は演じている自分と本当の自分について思うことを書いてみます。
■演じている自分と本当の自分
私はどちらかといえば普段は控えめで大人しいタイプの人間だと(勝手に)思っています。人に話をするより人の話を聞いてる方が性(しょう)に合っていますし、「自分が自分がぁぁぁぁぁ! 」といった自己主張をするより、前に出ようとする人に「どうぞどうぞ♪ 」と場所を譲るような感じの人間です。しかし、キャリア・コンサルタントや研修講師といった人前に出るような仕事をしていると、控えめで大人しくしている、なんてことはいっていられません。自ら前にでていくことは勿論、場を盛り上げるような小噺をすることもあれば、ウケを狙った話で笑いを誘うようなこともします(ウケるかどうかは別として…)。私の中では、それは仕事だからと割り切ってやっているような感じがします。いうならば、私は仕事ウケしやすい人物を演じているような気がしています。
■自分を演じる理由
私が自分を演じることには明確な「仕事」という理由があります。しかし、冒頭の人はなぜ活発な自分を演じているのか、私の頭の中には、それがずっとひっかかっていました。その理由を本人から聞いていないので、ここからの話は想像の域を出ないのですが、活発な自分を演じていることで…
- 他人からよく思われたい
- 本当の自分をみせたくない
このような想いが背景にあるのではないかという答えに行き着きました。
「他人からよく思われたい」は、「自分をよくみせたい」といい替えることもできますが、他人から慕われたい、人気の中心でありたいなど、他人の視線に対して自分がどうありたいか? といった想いです。
「本当の自分をみせたくない」は、例えば、本当の自分が引っ込み思案、ネガティブな思考などで、それを公言することがその人自身が恥ずかしい、恥だと思ってしまうような想いです。
私は、このどちらの想いも至極自然なことだと思います。昨今、社会生活を送る上で人間関係は非常に複雑になっています。ハラスメント一つ取ってみても、一昔前までは到底ハラスメントにはなり得なかったことでも、今では立派にハラスメントになってしまうことがたくさんあります。それだけ人と人との繋がりは難しくなっています。そのような中で、他人によく思われたい、自分のマイナスな部分を晒したくないと考えることは、社会生活を送る上で自分を守る術でもあるように思います。
■演じている自分と長くつき合うコツ
つまり、この現代社会において、自分を演じることはもはや必要不可欠なことだといっても過言ではありません。しかし、もし演じている自分によってストレスを抱えてしまうことに繋がってしまうとしたら、一体どうすればよいでしょうか?
私なら、本当の自分でいることのできる時間や場所、本当の自分を理解してもらえる人をつくります。本当の自分をさらけだすことが演じている自分から解放される瞬間であり、ストレスを発散させる術であるような気がするからです。社会生活で何かしらの自分を演じ続けなければならないのであれば、演じている自分と上手につき合うこと、つまり、演じている自分と本当の自分とのバランスをうまくとること、それが演じている自分と長くつき合うことのできるコツなのではないかと思います。