第95回 法律は誰の味方か?
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
コラムのネタを探していたところ、abekkanさんのサイトで確定申告の話が載っていました。私も毎年確定申告していますので、今回は確定申告から法律について思うことを書きます。
■確定申告、してますか?
そもそも、日本では納税者が直接税務署に出向き、その年の所得などの申告を行うことで納税額を決め、その確定した税金を自分で納める申告納税制度と呼ばれる方法で税金を納めることになっています。その税額を確定するための手続きのことを確定申告といいます。ここでいう税金とは、個人の場合所得税、法人の場合は法人税、消費税、贈与税、相続税を指します。
ちなみに、サラリーマンは給与所得者と呼ばれますが、給与所得者の場合、あらかじめ会社が毎月の給料から所得税を天引きしておき、1年の終わりに年末調整の形で精算しているので、確定申告をする必要はありません。ただし、年末調整では精算できない費用(医療費、家の増改築、災害、退職など)が発生する場合には、給与所得者でも確定申告が必要になり、払いすぎた税金の還付(払い戻し)を受けることができます。しかし、慣れていない人がいざ確定申告をしようとすると、手続きがややこしく心が折れそうになります。
私もこの確定申告を毎年していますが、私は青色申告の形で確定申告をしています。青色申告とは複式簿記と呼ばれる手法に基づいて帳簿を作成し、その記帳から正しい所得や税金を計算し、申告する方法です。青色申告のほかに白色申告と呼ばれる手続きが簡略化された方法もあるのですが、青色申告をすることで税制上の優遇を受けられることもあるため、私は青色申告を選択しています。ただ、複式簿記で帳簿を作成するには少なからず会計や税務に関する知識が必要になるので、何も分からずにとりかかろうとにすると、ほぼ確実にやることが分からなくなり、作業する手が止まります。それでも青色申告をすると決めた以上は帳簿の作成は義務付けられているので、何としでても帳簿を作らなければなりません。
これで正しいのか? この書き方で合っているのか? など悩みながら、手引き、参考資料、ネットなどを駆使してやっとの想いで帳簿を作っています。「青色申告は税制優遇を受けられるけど、これだけシンドイ想いをするんだったらなぁ…」と思ったことは1度や2度ではありません。それくらい、帳簿の作成は私にとって面倒臭いです。。。
■法律は弱者の味方というけれど…
そんなとき、「法律は弱者の味方というけれど、これじゃ弱者にもなれないなぁ」と思ってしまいます。確かに法律は弱者の視点で作られたモノなのかもしれません。実際、労働基準法、労働者派遣法、労働衛生安全法など、一般的に弱者になりやすい労働者の立場で作られている法律も数多くあります。しかし、それらの法律の恩恵を享受できるようになるためには、大前提として法律を知らなければならないという大きな問題があります。法律を知らない人は弱者であろうが何だろうが蚊帳の外なのです。つまり…、
法律は、法律を知っている人の味方
というのが私の考えです。弱者になるためには法律も知らなければならないということです。法律を知らなけれそのば弱者にすらなれません。しかし、同時にそのような人たちを助けてくれる術もこの世にはたくさんあります。先の青色申告の話でいえば、法律相談や帳簿の書き方などを無料でレクチャーしてくれるような所は探せばいくらでもあります。しかし、それすらもそのような催しが実施されていることを「知っていれば」の話なのです。そして、このことはその人が知ろうとしない限り、誰も懇切丁寧に教えてくれたりはしないのです。
弱者になるにせよ、誰かに助けてもらうにせよ、この世の中で生きていくためには「知っていなければならない」ことが本当にたくさんあります。それらをどれだけ知っているかで、その人の行き方、過ごし方というのは大きく変わってくるのだろうと思います。
そして、それはキャリアづくりについても同じことがいえます。キャリア相談で「もっと早くこのことを知っていれば、今と違うキャリアがあったかもしれないのに…」と答えられるクライアントの人は結構おられます。
結局、すべてにおいて「知っていること」がその人を変える、その人を救う、その人を成功に導く、そういう世界で私たちは生きていかなければならないのでしょうね。だとしたら、私は「知っている」側の人間になりたいです。
コメント
abekkan
ご紹介いただきありがとうございます。
最低、弱者になれる方法くらいは、義務教育で教えてほしいものですね。
帳簿の書き方が期末テストに出るようになれば、確定申告で悩む人が減るのに。。。