第93回 会社が新卒社員に求めるモノ
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
最近、エンジニアライフでは学生さんネタのコラムがいくつかアップされています。そこで、今回は私も学生ネタに乗っかってみようと思います。
■学生との会話
先日、内定をもらった学生さんと話をする機会がありました。その学生さんは4月からITエンジニアとしてSIerへの就職が決まっているそうです。そこで、学生さんからこのような質問を受けました。
「会社に入って早く一人前になりたいのですが、どのようにすればいいですか? 」
これに対して、私はこのように答えました。
「新卒社員らしく振る舞えればいいと思いますよ」
しかし、この答えに学生さんは納得できないようで、このように返されました。
「新卒社員らしく振る舞っていたら、いつまで経っても一人前とは認めてもらえないと思うんですが、それでもいいのですか? 」
私は「そうです」と答えましたが、その学生さんはもっと違う答えを期待していたのか、腑に落ちないような表情をしていました。
■会社が新卒社員に求めるモノは何か?
会社が新卒社員を雇い入れるのは大きく2つの理由があります。1つは何も知らない新卒社員をイチから教育することで将来会社の核となる人材を育成することです。これは会社を存続させ、発展させるためにとても重要なことで、誰しもが思い描くことだと思います。しかし、それと同じくらい大きな理由がもう1つあります。それは新卒社員によって会社を活性化させることです。新卒社員を雇い入れることで会社は活性化するのです。
一般的に新卒社員を雇い入れると、会社はまず最初に新卒社員の教育から行います。新卒社員を教育するためには、あらかじめ何を教えるか、どうやって教えるかなどを社内で検討し、社内の誰かが新卒社員に教育を行います。そして、教育された新卒社員は現場で働き始めますが、このときも、誰かが新卒社員を管理しなければなりません。どのように管理をすれば新卒社員の生産性やパフォーマンスを上げられるのかを考え指導をします。このように、新卒社員が入社することによって、考えなければならないこと、対応しなければならないことがいくつも出てくるのです。それを考え、実践することが会社の活性化につながっていきます。
また、新卒社員がもっている明朗さ、活発さも会社を活性化させます。新卒社員が新たに加わった組織は若返るといわれることはよくありますが、社会人を10年、20年、30年と続けていると、仕事を始めた当初の気持ちを忘れてしまいがちになります。そういう人たちで構成さている組織やチームに新卒社員が加わることで、組織は明るくなり、気持ちが若返ることもあります。
このような会社側の思惑を実現させることができる新卒社員、いい方を変えるならば新卒社員らしく振る舞える人材こそが、会社が求める人材なのです。
■人それぞれの役割をまっとうする
さらにいうならば、新卒社員の役割りを理解し、その役割りを会社の中でまっとうする人材こそが、会社が求める真の新卒社員の姿といえるのではないでしょうか。会社にはたくさんの人がいて、それぞれが役割をもっています。新卒社員にベテラン社員の役割を担ってもらおうなんて誰も考えていません。新卒社員には新卒社員の役割があり、その役割を担ってもらいたいのです。自分の役割が何かを考え、行動することができる人材こそ、会社が必要としている人材なのです。
ここまでの話を先ほどの学生さんにすると、学生さんは大いに納得されたようで、どのように行動するのが新卒社員らしいのかを、いろいろな社会人の先輩に聞かれていました。
その行動こそが新卒社員らしくていいなぁと感じました。