第89回 マルチタスクで仕事をすることを考えてみる
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
季節柄、毎年この時期はいろいろと忙しいのですが、今年は例年に比べて仕事量が多くなっています。仕事が多くなると、その仕事をうまく捌(さば)けるかがポイントになりますが、今回は仕事の捌き方について、マルチタスクという観点から思うことを書きます。
■「マルチタスクで仕事をしてますねぇ」
仕事をしていると、たまに「高橋さんって、マルチタスクで仕事をしてますねぇ」といわれることがあります。それは、私が全く関連性のない複数の仕事を同時にやっているからだと思うのですが、ただ単に納期の関係で複数の仕事を並行してやらざるを得ないからであって、自ら望んでこのような仕事のやり方をしている訳ではありません。むしろ、このような仕事のやり方は苦手で、できれば一つひとつ納期を区切って順番に仕事をするシングルタスクのような仕事のやり方が自分には向いていると思っています。
ただ、このマルチタスクという言葉が引っ掛かったので、自分の仕事を見直してみることにしました。そのとき、私は以下の4つの仕事をしていました。
- 部署内の人事評価制度の素案検討
- A社に対するソリューション提案書作成
- B社に対するコミュニケーション系研修準備
- C団体に対するキャリア・コンサルティング業務準備
それぞれの納期はバラバラですが、打合せやら資料作成の期日やらでシングルタスクで仕事を進める訳にはいきません。どうしてもマルチタスクで進めなければどれも間に合わないような仕事ばかりでした。
■本当にマルチタスクで仕事をしていたのか?
一般的にいわれるマルチタスクとは、一つ処理時間を非常に短い単位に分割し、複数のアプリケーションに順番に割りあてることをで疑似的に複数のアプリケーションを同時に動かしているようにみせている技術です。それでは、そのように私が仕事をしていたのかと思い、自分の仕事の流れを思い出してみました。
- 1.の素案を検討。方向性が決まったので、一度テキストファイルに文章を起こしてみる。ただ、文章の表現の仕方(いい回し)で詰まってしまい、文章を書く手が止まる。
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- 仕方がないので、気持ちを切り替え、2.の提案書の作成に入る。今回の提案書は過去に別案件で使ったPowerPointの提案書をカスタマイズして作ろうと思っていたので、まずは提案書を再構成し、過不足のページを整える。その後、1ページずつ作り込みをしていくが、イラストを載せる段階でいいイラストが見つからず中断。そうこうしているうちに、先ほど止まっていた1.の文章が閃いたので、1.の作業に戻る。
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- 1.の中断した箇所から文章を書き出すと、スラスラ文章が進み、テキストベースでの草案の作成が完了。これをWordファイルに落とし込む。一通り落とし込んだ後、pdfファイルで保存。関係者に意見を問うためメールで発信。ここで、この作業は一度中断。
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- 2.のイラストを再度探しみたが状況が変わらないので、気持ちを切り替え3.の研修準備を始める。既に研修のスライドはでき上がっているので、後はスライドに合わせて伝える内容を決めていく作業に入る。ここでは、あるパートのセリフを決めた後、実際の雰囲気や時間を測るため、そのパートの練習を行う。練習をしながら違和感のあった箇所や意味が通じづらかった内容を修正し、そのパートの準備を完了。次のパートの準備をしようと思ったが、モチベーションが上がらず中断。
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- 2.のイラストを探す作業に戻ってみたが、未だに解決しないので、誰かに相談してみることにした。すると、意外な所から情報をたくさんいただけたので、その情報を元にイラストを決定。イラストを使うスライドを作成した所で満足し、その作業が中断。
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- 全く手つかずになっていた4.作業について、再度概要を見直す。キャリコン業務ということで、説明+実施が必要になるため、全体のスケジュール作成から入る。伝えたいことを箇条書きにして、それをスケジュールにはめていく。そうして、ある程度骨組みができあがった段階で、モチベーションが切れ、作業中断。
大体、このような感じだったと思います。こうやってみると、いかに気分やモチベーションで仕事をコロコロ替えているようなやり方をしていること気づかされました。このやり方をみる限り、到底マルチタスクで仕事をしているとは思えません。というか、よくこんな仕事のやり方で進められてきたなぁと思います……。ただ、良いいい方をさせてもらえるならば、気分やモチベーションが下がらないように、仕事の内容を切り替えているともいえます。要するに、私の場合、一つの仕事を根を詰めてやっていると、やる気がなくなるのでしょう。きっと飽き性なのかもしれません。だから、仕事の内容を切り替えることで、かろうじて仕事を進められているような気がします。そうだとすると、冒頭に書いたシングルタスクが自分の仕事のやり方に合っているというのは間違いな気がしますね……。
■マルチタスクで仕事をするのに向いている人
このコラムを書くまで、マルチタスクで仕事をすることができる人は時間管理がしっかりしている能力の高い人をイメージしていました。それは今でも変わりませんが、私のように気分屋、飽き性の人にとってもマルチタスクで仕事をした方が向いているのかもしれません。
もし、自分の気分屋なんだけどもっとバリバリ仕事を捌きたいという方は、ぜひ一度自分の仕事を見直し、マルチタスクで仕事をやってみてはいかがでしょうか?
コメント
abekkan
あるある。モチベーションが切れてとりあえず別の仕事をやることって。
マルチタスクといっても、所詮はシングルタスクをつなげているだけですよね。私はタスクスイッチングのオーバーヘッドが大きいので、すぐに頭を切り替えられるようにしたいなあ、と思っています。
また、脳科学的には、男性は一つのことしかできないけど、女性は複数のことを同時にできるって言われてますよね。女性がうらやましいです。(^_^;)
abekkanさん、
コメントありがとうございます!
そうなんです。結局マルチタスクといったって、やってることはシングルタスクを繋げてるだけなので、いかにタスクが切り換えられるか?がマルチタスクのポイントになるんでしょうね。
結局、私は気分で仕事を変えてるだけだったので、マルチタスクとは到底いえないかもしれません。。。
そういえば、この話を女性にしたとき、きょとんとされたことがありました。やっぱり女性は偉大ですね。。。