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第81回 研修について考えてみる

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 筆者が研修でよく使うワークに「ストロータワー」があります。このストロータワーは参加者に好評で、さまざまな研修に応用できる優れたワークです。今回はこのストロータワーを通して研修について考えてみたいと思います。

■ストロータワーとは?

 ストロータワーとはワークショップで行われるワークの一つです。やり方は、まず最初に、4~6人程度で一つのチームを作ります。1つのチームに蛇腹(じゃばら)のついた折れ曲がるストローを12本、はさみを1丁渡します。チームはこのストローとはさみだけを使い、制限時間内にタワー(塔)を建てていきます。制限時間終了後、一番高く建っているチームが勝ちとなります。なお、やり方によってはタワーを建てる前に、作戦タイムを設けることもあります。

ワークショップ:ここでいうワークショップとは、「体験によって学びや気づきを得る場」と捉えています。詳しくはこちらをご参照ください。

ワーク:ここでいうワークとは、ワークショップ中に行うコンテンツのことを指します。

 このストロータワーのワークを始めると、徐々にチーム内で活発な意見が出始めます。どうすれば高いタワーが建てられるか? についてメンバーの持論が語られます。その後、ストローとはさみを使ってさまざまな試行錯誤が行われ、少しずつタワーが建ってきます。タワーの形がある程度でき上がる頃にはどの参加者も熱中しだし、皆立ち上がって作業をし始めます。そしてタワーが建ったチームからは歓声が聞こえます。また、不幸にも建てたタワーが倒れてしまったチームからは悲鳴が上がります。

 このようなストロータワーですが、実はたくさんの効果が含まれています。ごく一部ですが、このようなモノがあります。

ストロータワーの効果(例)

  • 研修の最初に持ってくることでアイスブレイクの効果を狙う
  • タワーを建てるために必要なコミュニケーションの必要性を感じ取ってもらう
  • タワーを建てることを仕事に見立て、仕事をする上での役割を考えてもらう材料にする
  • プロジェクト管理でWBSを作るネタとして使う など

 普段、研修に参加したことがなく研修に興味がない人であっても、このストロータワーを体験すると「こんな研修ならもっと受けてみたい! 」と興奮気味に話されたりします。それくらい、このストロータワーは強力なワークです。

■研修ってどうやって作るの?

 筆者は研修屋としてさまざまな研修を行っていますが、その方法は主にワークショップ型講演型に分けられます。ワークショップ型とは先ほどのストロータワーのような参加者が体験しながら学びや気づきを得るような研修、講演型とは90~120分程度の時間、筆者の言葉だけで参加者に学びや気づきを得られるような研修のことです。どちらの形式を使うかは主催者の意向になりますが、どちらの形式を使うにせよ、研修をすることが決まった段階で研修の構成(カリキュラム)を考えなければなりません。

 ワークショップ型を使う場合、ファシリテーション技法、構成的グループエンカウンター(SGE)、グループワークトレーニング(GWT)などの手法から、その研修で求められる効果が得られるようなワークを選定、カスタマイズして、カリキュラムを作ります。

ファシリテーション技法:ここでは、研修での発言や参加の促進、会話の整理などによる参加者の合意形成や相互理解を促し、参加者を活性化し、協働を促進させる方法や技法の全般を差します。詳しくはこちらをご参照ください。

構成的グループエンカウンター(SGE):エンカウンターとは心理学用語で、ホンネを表現し合うことで、互いにそれを認め合う体験のことを差します。この体験が自身や他者への気づきを深めさせ、次へのステップに繋がっていきます。構成的グループエンカウンターとはリーダーが示した課題をグループ内で行い、その時の気持ちを率直に語り合うことでエンカウンター体験を深めていく技法のことです。詳しくはこちらをご参照ください。

グループワークトレーニング(GWT):グループごとに与えられた課題を、目的に合わせて練習、訓練する体験型の学習のことです。与えられたルールに則り目的を達成していく過程で、協力や葛藤を乗り越えることで自分や他人の気持ちを共有し合うことで学びや気づきを得る技法のことです。詳しくはこちらをご参照ください。

 講演型を使う場合、最初に大筋のストーリを考え、そこに5分程度の話のネタをいくつも繋げ、構成を考えていきます。このとき、あらかじめネタを「気づき」「感動」「教訓」などのようなカテゴリに分けて整理しておくと、ストーリーを作りやすくなります。

■研修の効果を生み出す2つのレベル

 研修は参加者にある目的を達成させるために行われます。例えば、それが技術系の研修であればその技術の習得が目的ですし、ヒューマン系の研修であればコミュニケーション能力の向上、ビジネスマナーの習得などが目的になります。すべての研修はこの前提になって行われるはずですが、時々その効果がみられない研修もあります。筆者の経験上、それは研修と受講者のレベルが合っていない場合に起こります。

 このレベルには難易度興味があります。難易度については説明が不要かと思いますが、難易度が高すぎる研修は参加者は内容を理解することができませんし、難易度が低すぎる研修は参加者に得るモノがありません。しかし、難易度が適切であったとしても、その研修に対して興味がない場合、研修の内容を習得することができません。

 そのため、研修の効果を出すためには、参加者と研修の難易度の難易度を揃えた上で、参加者が興味をひくようなコンテンツを用意しなければなりません。それが、ワークショップ形式であれば「ストロータワー」のようなワークになりますし、講演形式であれば「笑い」や「感動」などのネタになります。

 ですので、もし、研修をしなければならない! ということになった場合、難易度と興味を意識して研修を行ってみてください。もし、それがバチッとハマったら参加者から「○○さんの研修、タメになりました! また、別の研修も受けたいです! 」のような極上の感想がもらえるかもしれませんよ!

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