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第41回 四方山話(23) 水平思考のススメ5

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 水平思考ネタの話も5回目になりました。これまで、水平思考の考え方をご紹介して来ましたが、今回はこれまでの総まとめとして、水平思考を普段の生活で活用することを考えてみたいと思います。

■水平思考は何のためにあるか

 これまでいろいろと水平思考のお話をしてきましたが、ここで原点に立ち返ってみます。そもそも、水平思考は何のためにあるものなのか? それは、私たちの身の回りにあるたくさんの問題を解決するためにあるものです。決して、クイズや謎解きをするためだけのモノではありません。

 そこで、今回は日常にありそうな問題を題材にし、それを水平思考の考え方を使って問題を解くことにチャレンジしてみたいと思います。水平思考の流れを感じ取っていただければと思います。

■最後の問題です!

 今回はこのような問題を用意してみました。

――

《問題》

なかなかお金が貯まらないのを何とかしたい!

(独自問題)

――

 何だか、身も蓋もない問題ですね…。でも、本当に身の回りにある問題ってこういう感じの問題ではないでしょうか。ですので、今回はこの問題を水平思考を使って考えてみます。

 それでは、まず最初に「解決する目的をハッキリさせる」ところから取りかかってみましょう。

 この問題の目的は「お金が貯まらないのを何とかしたい」となりますが、本当に解決する目的はここではありません。お金はあくまで何かを購入するために使われるモノであり、それ自体が目的にはなり得ません。何かしらの目的があり、その目的を実現する手段としてお金が必要になります。そのため、この問題は、

「○○のためにお金がなかなか貯まらないので何とかしたい! 」

といい換えることができそうです。それでは、何のためにお金を使うのか? さすがにこれは情報が出ていないので答えようがありません。そのため、ここでは新たに「家を買う」という条件を追加してみます。そうすると問題は、

「家を買うためのお金がなかなか貯まらないので何とかしたい! 」

のように書き換えられますね。これこそがこの問題の本当の問いかけになります。

追加してみます:実際の問題では「家を買う」にあたる条件を探し出す必要があります。

 解決する目的がハッキリしたので次に行きましょう。次は「前提条件を疑ってみる」手法を使ってみます。情報量は少ないですが、この問題の前提条件をあげてみましょう。

《前提条件》

  1. この人は家が買いたい
  2. 家を買うためにお金を貯めなければならない
  3. 家を買うためのお金が貯まらない

 前提条件があげられたところで、これに疑いの目を向けてみます。筆者の思いつくままに書いてみます。

《前提条件を疑ってみる》

  1. 本当にこの人は家を買いたいのか?
  2. 本当に家を買うためにお金を貯めなきゃならないのか?
  3. 本当に家を買うためのお金が貯まらないのか?

 これらの内容について、一つずつ検証してみましょう。

1.本当にこの人は家が買いたいのか?

 本当に家が必要なのかといわれてしまうと抜本的な話になってしまいますが、この問いかけをこのように置き換えてみたらどうでしょうか。

「家を買うのではなく、賃貸で代用できないのか? 」

 これはファイナンシャルプランニングの領域になりますが、家を買うことと賃貸するを比較すると、住宅ローンなどの金利面から、生涯にかかる金額では賃貸が得になることもあります。もし、特別な事情がないのであれば、賃貸を選択肢の一つとして考えることもあるのではないかと思います。

2.本当に家を買うためにお金を貯めなきゃならないのか?

 これを字面どおりに解釈すると、

「お金を貯めなくても家は手に入れられるか? 」

となります。これで思いつくことは、譲渡相続という手段がありそうです。両親が持ち家を持っている場合だと、その家を資産として譲渡や相続することができそうです。また、持ち家がない場合でも両親の遺産を相続することで、購入資金を得ると考えることもできそうです。

3.本当に家を買うためのお金が貯まらないのか?

 このケースでは、「自分で」家を買うためのお金を貯められないといい換えることができそうです。そうだとしたら、自分以外、つまり他人が自分の家を買うためのお金を貯められるかどうかで考えてみるのはどうでしょうか。何だか都合のいい話ですが、これを現実のものと考えると、このような感じでしょうか。

「数百万程度の安い家を購入し、この家を賃貸に出す。この家の賃貸収入で家の購入費用をねん出する」

 この方法は一般的には家賃収入と呼ばれているやり方です。この場合、事前に家の購入資金が必要になるなどいくつかの制約はありますが、実際にこのような方法で家を購入されていることも事実としてありますので、これも一つの方法ではないかと思います。

 ここまで、前提条件を疑ってみることでいくつかの答えがみえてきました。それを書き出してみましょう。

《前提条件を疑うことで見えてきた答え》

  • 家を買うことではなく、賃貸で代用できるかを検討する
  • 相続や譲渡などでお金を貯めなくても家は手に入れられるかを検討する
  • 家賃収入によって購入費用をねん出できるかを検討する

 いかがでしょうか。最初の問いかけは「なかなかお金が貯まらないのを何とかしたい! 」でしたが、お金が貯まらないことに対して、単にお金を捻出するだけではなく、いろいろな角度から解答を導き出そうとしています。

 ただし、これらの答えはあくまで筆者が考えた例であり、この答えが最善の解答ではありません。きっと、もっともっと素晴らしい解答はあるはずです。それらを導き出すのは、他でもないあなたです!

■水平思考で行こう!

 これまで5回に渡って水平思考の世界を簡単にご紹介してきました。過去のコラムでも書かせてもらいましたが、水平思考は答えそのものより、答えを導き出す過程が重要だと考えています。水平思考は論理思考のように理詰めで考え過ぎなくてもOKです。問題の本質をとらえ、自由な発想で目の前の問題を解決してみてください

 また、筆者のコラムを通じて水平思考の世界に興味を持っていただいた方。水平思考は非常に奥が深く、まだまだ突き詰めることができます。ぜひ、深遠な水平思考の世界に触れ、あなた自身の生活に一つでも多く還元してみてください!

■手前味噌ですが…

 前回の記事でもご紹介しましたが、現在、人材育成、開発に関する2つのワークショップを企画しています。まだ、席数に空きはありますので、もし、ご興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね!

ITエンジニアのための「セルフキャリアプランニング」ワークショップ(終了しました!)

ITエンジニアのための「現場で使えるコーチング」ワークショップ(終了しました!)

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