街で見かけたガジェットを分解してわかったこと・わからないこと色々レポート

第20回: 意外にロングセラー。ダイソーの「リモコンライト」を分解してみよう(LEDライト編)

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はじめに

ダイソーから2020年はじめに発売されて現在(2022年11月)でも販売され続けてている「リモコンライト」です。赤外線リモコンとライトのセットで300円(税別)と格安で発売時は驚きました。今回は前編としてライト側(受信側)を分解します。

製品の外観

「リモコンライト」はL[イルミネーション]と[ホワイト]の2種類あります。ここではフルカラー版である[イルミネーション]を分解します。

輸入・販売元は100均ショップでよく見かける「株式会社グリーンオーナメント」です。

01_LEDライトのコーナーで販売_2

製品パッケージ

ライトの分解

同梱物

製品は「ライト」と「リモコン」で構成されています。リモコン用のボタン電池(CR2025)も付属しています。

ライトのカバー部分はプッシュボタンになっており、リモコンとプッシュボタンの両方で操作できます。

03_パッケージの内容

製品の内容

分解してみる

今回は「前編」としてライト部分の分解をします。

底面をひねって開けると電池ボックスの四隅に固定用のビスがありますので、これを外していきます。

04_本体底面のビス

底面のビス

ビスを外し上面のカバー部分を外すと、基板上にはプッシュスイッチがあります。スイッチはLED上部にはめ込まれた半透明の成形品のフチで押すというシンプルな構造です。

電池ボックスはリード線で直接メイン基板にハンダ付けされています。

05_開封した本体

開封したライト

実装されている部品を調べてみる

※回路図は筆者のnoteに掲載しています。

メインボード

メインボードはガラスコンポジット(CEM-3))の片面基板です。写真に表面に実装されている主要部品を記載しました。

基板に開けられた穴からは裏面に実装されたリモコン受光部が表側に見えています。

06_メインボード(表面)

メインボード(表面)

07_メインボード_裏面

メインボード(裏面)

電源はレギュレータ等は搭載せず、直接乾電池(単4乾電池電池x3本の直列接続=約4.5V)から供給されています。

フルカラーLEDは制御用のマイコンから抵抗経由でドライブされています。白色LEDはトランジスタ経由でドライブされており、トランジスタのベース抵抗値を変更することで流れる電流を2段階で制御しています。

制御リモコン受信信号とプッシュスイッチの入力ピンは兼用となっていて、一定時間以上GNDレベルになるとプッシュスイッチが押されたと検出している様です。

主要部品の仕様

制御用マイコン PIC12C508(互換品)

09_制御用マイコン

制御用マイコン

パッケージには特に印刷がなくメーカーの特定はできませんでした。電源(VDD)とGND(VSS)ピンの配置から、Microchip Technology Inc.の8ビットマイコン「PIC12C508」のピン互換品(ジェネリックPIC)だと思われます。

「PIC12C508」のデータシートはこちらから入手できます。

「PIC12C508」は電源以外の外付け回路は不要、動作電圧範囲も2.5~5.5Vなので、互換品であれば同様の動作条件であると思われます。

赤外線リモコン受信モジュール VS838

10_赤外線リモコン受信モジュール

赤外線リモコン受信モジュール

赤外線リモコン受信モジュールは同じ型番で複数の会社で作られている「中国での汎用品」である「VS838」です。

データシートは各社で使いまわされていると思われるもの(メーカー名がないもの)がこちらから入手できます。

受信周波数は38kHz、電源電圧範囲は2.7~5.5Vですのでこちらも単4電池3本での動作でも問題はなさそうです。

フルカラーLED SMD5050 3色独立タイプ

12_フルカラーLED

フルカラーLED

フルカラーLEDはSMD5050(面実装 5mmx5mmサイズ)のRGB独立タイプで、これも同一形状・機能の物が複数の会社で作られている「中国での汎用品」です。

データシートはShenzhen Yuanlei Technology Co, Ltd.のものがこちらから入手できます。

各色のLEDは制御用マイコンのポートに電流制限抵抗介して接続されて各ポートがLになることで点灯します。
LEDの順方向電圧(Vf)は各色で異なっており、電流制限抵抗値もそれぞれ別になっているのですが、使用条件の順方向電流(If=20mA)に対して抵抗値が小さめになっています。

13_LEDの順方向電圧のSPEC_抜粋

LEDの順方向電圧のSPEC(抜粋)

白色LED SMD2835タイプ

画像13

白色LED

白色LEDはSMD2835(面実装 2.8mmx3.5mmサイズ)タイプです。これも同一形状・機能の物が複数の会社で作られています。

データシートはBridgelux Inc.のものがこちらから入手できます。

LEDの順方向電圧(Vf)は2.8~3.4V、最大順方向電流(If)は60mAです。本機では電流制限抵抗は実装されておらず、順方向電流はLEDドライブ用トランジスタのベース抵抗で制御されています。

NPNトランジスタ S8050

15_NPNトランジスタ

NPNトランジスタ

白色LEDをドライブするためのトランジスタです。表面のマーキング「J3Y」より「S8050」という型番のNPNトランジスタであることがわかります。これも同じ型番が複数の会社で作られています。

データシートは江苏长电科技股份有限公司のものがこちらから入手できます。

コレクタ飽和電圧Vce(sat)=0.6V(max),最大コレクタ電流Ic=0.5Aなので使用条件としては問題なさそうです。

ただ、本機ではベース抵抗でLEDに流れる電流を制御しており、「S8050]は直流電流増幅率Hfeが120~350とSPECの幅が大きいため、白色LEDに流れる電流をある程度の精度で決定するような設計は出来ていないと思われます。

まとめ

回路構成で気になる点は、フルカラー・白色ともにLEDの電流制御が回路定数で明確に規定できる設計になっていないところです。
いわゆる「現物合わせ」で抵抗値を決めている可能性が高く、価格とのバランスでそこは割り切っていると思われます。

本品の供給元である「株式会社グリーンオーナメント」は日本で商品企画をし、中国のパートナー(商社・工場)で設計・生産するというビジネスモデルの会社で、本製品も中国で安価に手に入る「汎用品」を組み合わせて、リモコンと本体をセットで300円という「コスト重視」の商品となっているのが中を見るとわかります。


次回更新は2週間後の11/22(火)の予定です。「後編」としてリモコン送信機を分解する予定です。

Comment(2)

コメント

ぢゃいあん

S8050はnpnで、接地側でLEDを引っ張っているはずです。S8550がpnpです。先日ヤラカシタから間違いないです。

ThousanDIY

ご指摘ありがとうございます。記載が間違っていましたので修正して記事を更新しました!!

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