街で見かけたガジェットを分解してわかったこと・わからないこと色々レポート

第30回 550円って安すぎ!?「激安ロボット掃除機」を分解してみよう

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皆さん、こんにちは。「100円ショップのガジェット」を中心に電子機器を色々と分解をしているThousanDIYです。
このコラムでは、これまで分解したガジェットの中で興味深かったものをダイジェストで紹介していきます。


はじめに

先日東京へ出張した際に、渋谷のダイソーで550円(税込み)の「ロボット掃除機」を見かけました。

あまりにも安すぎるので、これは「この値段で一体何ができる商品なのか?」ということで確保して分解してみました。

​パッケージと製品の仕様を確認してみる

ダイソーのロボット掃除機は渋谷のダイソーマークシティ店の壁沿いの電気製品のコーナーの最上段に並んでいました。

パッケージの記載はハングル文字、その上にダイソーのシールを貼り付けてあるという商品です。
電源は「乾電池式」で、右上にはセンサーで動作しているように見える写真があります。

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店頭展示の様子

製品パッケージの裏面の表示もハングルのみ、価格と乾電池の説明のみ日本語のシールが貼り付けられています。

一般的なイメージのロボット掃除機はブラシでゴミを掻き込むタイプですが、この製品は裏面にマジックテープでシートを貼り付けてそれで床を拭くだけです。
いわゆる「電動クイックルワイパー」というべき機能の製品です。

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パッケージ裏面の表示

パッケージ側面の販売者表示(日本語)もシールで貼り付けられていて、ダイソーブランドとなっています。ちなみに韓国製ではなく「MADE IN CHINA」の製品です。

03_パッケージ側面の販売者表示.jpg

パッケージ側面の販売者表示

本体の外観

本体はプラスチック製、中央に電源スイッチがついています。外装の成形品はバリもなく、デザイン的にはあまり安っぽくいところはありません。
ただ、重量は外観のイメージに対して、非常に軽いという印象です。

04_本体の外観_上面.jpg

本体の外観(上面)

本体の底面には電池ボックスと2個の後輪(方向固定)、180度回転して進行方向を変えるための前輪があります。モーターによる駆動輪は前輪だけです。

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本体の外観(底面)

​本体を分解してみる

本体は底面の7箇所のビスと、電池ボックスの中の2箇所のビスを外すことで開けることができます。

本体の上面側にあるのは電源スイッチ用のボタンのみです。

06_開封した本体_上面.jpg

開封した本体(上面側)

本体の底面側の中央にあるのは電源スイッチです。「ロボット掃除機」という製品名ですが、内部にはマイコンやセンサーどころか基板すらなく、抵抗経由で電池とスイッチがモーターに直結しています。

07_開封した本体_底面.jpg

開封した本体(底面側)

​使用されている部品を確認してみる

この製品のなかで「部品」と呼べるのはスイッチと前輪側のモーターがついた駆動部くらいですので、今回はこれの構造を確認していきます。

08_モーターがついた駆動部_拡大.jpg

モーターがついた駆動部(拡大)

駆動部を底面に固定しているビスを外して駆動部を取り外します。駆動部はモーターと一体でユニット化されています。

駆動ユニットの車輪部はモーターが取り付けられた部分から金属の軸でつながっています。

09_取り外した駆動ユニット_横から見たところ.jpg

取り外した駆動ユニット(横から見たところ)

車輪部は2個のタイヤがついていて、これが回転して進みます。車輪部はモーター部からの金属軸を中心に360度回転するようになっています。

10_取り外した駆動ユニット_下から見たところ.jpg

取り外した駆動ユニット(下から見たところ)

駆動ユニットを分解してみる

駆動ユニットはツメで引っ掛けて固定されていますので、これを外してユニットのカバーをあけます。

モーター側はウォームギヤと平ギヤの組み合わせて減速してトルクを稼いでいます。平ギヤで車輪部に接続された金属軸を回す構造になっています。

11_駆動ユニット内部_モーター側.jpg駆動ユニット内部(モーター側)

車輪側はクラウンギヤとピニオンギヤの組み合わせになっています。
モーター側からの金属軸に固定されたクラウンギヤで車軸に固定されたピニオンギヤを回して前進します。

前進でぶつかると動力が車輪の軸が回転する方向(次の写真の水平方向)に変わり、進行方向を変える仕組みとなっています。

12_駆動ユニット内部_車輪側.jpg

駆動ユニット内部(車輪側)

まとめ

マイコンやセンサーを全く使用せずに、モーターとギヤの組み合わせで障害物にあたると横方向に移動する仕組みを実現しています。
ただ、広い意味では「ロボット掃除機」かもしれませんが、やはり誤解を招くネーミングかと思います。

製品パッケージにシールで日本向けの表示を貼り付けているだけというところだけみると、それほど長続きせずに店頭から消えていくと思います。

掃除機として使えるかどうかは別として、本体は空っぽでスペースが十分あるので、色々と内部に組み込んで改造して遊ぶための素材には使うとおもしろそうです。


次回更新は2週間後の5/2(火)頃の予定です。

Comment(2)

コメント

水鏡

180℃ ×
180°  〇
訂正をされた方がよろしいかと。

ThousanDIY

ご指摘ありがとうございます。修整しました。

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