生き様203. 科学と安全と責任と
【お断り】 本コラムについて、コメントは公開していますが、返答は致しません。 本コラムで取り扱っている話題については、賛否両論があります。 しかし、その是非が本題ではないからです。 白栁の現時点で学んだこと、考えていること、言いたいことは全て書いたつもりです。 |
9月1日は関東大震災の日
ちょうど100年前の1923年9月1日11時58分。
相模湾を震源とする大地震が関東地方を襲いました。
その被害の大きさ、その後に起こった社会的混乱はここで語ることは控えます。
それは本筋ではありませんし、各々で調べて頂きたいと願っています。
今は「防災の日」となり、様々な自治体・団体で避難訓練等の活動がされています。
白栁は静岡県の出身です。「東海大地震へ備えろ」と幼少の頃より言われてきました。
ですので、この日には多くの感情を持っています。
今回はより記憶に新しい東日本大震災に関する「アレ」の話をしていきたいと思います。
「処理水」は本当に【安全】なのか?
8月24日に、福島第一原発の核燃料デブリの冷却のために使用した水(汚染水)を処理した水(処理水)の海洋放出が始まりました。
白栁もちょっとした勘違いをしていたのですが、「海洋放出」だからと、処理水をそのまま海に流すわけではないようです。
海水で希釈した後で、その水を海洋へ放出するんですね。
これに関しては国内の政治家、周辺国が強く反対しています。
その反対する政治家の言葉にこんなものがありました。
「本当に安全なのか。次の世代に影響が全く無いと言えるのか(意訳)」
この言葉にはガツンと来ました。
処理水の放射性物質の量はトリチウムを除いて「測定下限値以下」と発表されています。
政府・東電だけではなく、国際的な第三者機関であるIAEAも認めています。
白栁としては疑念はありません。
むしろ、疑念のある国や団体は試料を入手して検証すればいいと思います。
ですが、これが継続的に放出されるとどうなるのでしょうか。
現在の試算では、放出期間は30年程度となるそうです。
その30年の間に燃料デブリが取り除くことができれば、そうなるでしょう。
当初のロードマップでは、2021年中に取り除かれる予定でした。
現在は、2023年度後半に取り出しの試験が実施される予定だそうです。
取り出しが遅れれば遅れる程、放出期間も延びるはずです。
そうなった時に、自然界で濃縮されるのではないか?という疑念は拭えません。
ゼロに何を掛けてもゼロですが、セシウムやストロンチウムはゼロではありません。
「生物濃縮」という言葉もあります。
放出した処理水が海流で広がらず、滞留することはありえないのでしょうか?
これらが隈無く検討されているのか、イマイチ一般市民には伝わりません。
これには、メディアの問題というのもあるのでしょう。
ですが、今やテレビや新聞等に頼らずとも、発信できる時代です。
そういうところが下手だな、と感じます。
【安全】は誰が決めるのか?
ここで、原子力規制委員会の資料を見てみましょう。
一般市民の視点では、十分以上に詳細に書かれた情報だと感じます。
蓄積については、そのプロセスについても触れて評価されています。
これを見る限り、数値の根拠がしっかりと立てられており、しっかりと検討された上で「安全」と言っているのだと理解することができます。
この資料はプレゼン資料の参考とするにも良い資料だと感じられます。
そして多分、高校一年生レベルの知識があれば理解できる内容です。
根拠は白栁自身です。
最終学歴が工業高校の白栁は、その辺りまでの学習しかしてないからです。
良い大学を出ている政治家やメディア関係者の方々は、容易に理解できるでしょう!
ですが、その上で「絶対の安全」はないと言うことを知っています。
これだけ検討が尽くされていてなお、「現在の科学では~」という枕詞を必要とします。
全ての理を知り尽くし、計算可能となっていない現代科学では【絶対安全】という指標を持つことができないのです。
であればどうするのか。
それは、指導者の責任となります。誰かが責任を持って号令を掛けるしかないのです。
そして、科学の未来でそれが間違いであったと分かった時に、全力で対処や補償をするしかないのです。
先達がそうしてきたように。
それに異を唱えるのであれば……極論ですが、文明を全て放棄しましょう。
その食品の安全は誰が保証してくれますか?
食器に使われるプラスチックはどうでしょう?
水道水に未知の有害な物質が含まれないと、誰が断言できますか?
「【反対】より【対案】を」の意味と責任
上で紹介した政治家の言葉は、一見正く見えるものです。
ですが、改めてよく見ると、自身の勉強不足や、決断の放棄の結果がであることがよくわかります。
知った上で言っているのであれば、大衆の扇動を目論む言葉でしょう。
流石、政治家ですね!
彼らは「放出を止める」とは言いますが、その後のプランを何一つ提示していません。
「将来の子供の為に」「日本の子供、世界の子供の為に」と言いますが、今を生きる人のことを考えていません。
燃料デブリの取り出しが終わらない限り、処理水は無限に増え続けます。
その処理水は、どこへ保管するつもりなのでしょうか?
既に処理水を保管するタンクは、「満杯」が見え始めているという情報もあります。
増設にも限りがあるでしょう。日本中をタンクで埋め尽くさない限りは。
まさか「処理水を再利用して、処理水のみで燃料デブリを冷やせば解決!」とは言わないでしょう。
既に処理水を利用して燃料を冷やす「循環注水冷却」は行われています。
それでも、雨や外部から流れてくる水など、汚染水は増えます。
やはり何処かに貯める必要はあるわけです。
「放出を止める」ことは、【反対意見】であり【対案】ではありません。
外国の政治家が言うならともかく、日本の政治家であれば危機に対して【対案】を掲げて責任を示して欲しいものです。
それでこそ、我々の代表であり、政治を任せられる「議員」に相応しいと考えています。
以上!
コメント
ちゃとらん
> コメントは公開していますが、返答は致しません。
正解ですね。
色々な意見が出てくる内容だと思いますし、ここは議論する場でもありませんし。
私のリソースは、下記のURLです。(URLを張ると投稿メールが飛ばずスパムになるので)
foejapan.org/issue/20230801/13668/
詳細は省きますが、海洋放出以外にも色々な方法があるのに、まともに検討されていないとか、デブリに直接触れている水なので、通常の原発からの排出水と根本的に異なることや、そもそも地下水の流入を止めない限り、汚染水は溜まり続けること。さらに、薄めるから安全と言っているが、全体量が不明なので放出し終わらないと総量が判らないとか…
そもそも、福島原発事故も、想定外の津波のせいと言われていますが、発電機の設置位置について、警告を発していた人たちもいたそうで、その提言に従っていれば、冷却ができ、底が抜けてデブリができることもなかったと聞きます。
政府の発表が信用できない事が、そもそもの問題だと思います。
熊猫
この件って、
(A)科学と安全と責任 vs (B)信仰と安心と無責任 の構図だとおもっています。
※タイトルお借りしました。
極端な言い方すると、(A')事実 vs (B')心象だと思ってます。
人を説得する上では、A、A'側に立つ人は、B'を利用する相手に対して常に不利ということを意識した上で、B'を悪用する相手の目的を達成させないように、丁寧な無視をすることが必要だとおもってます。
丁寧な無視は、本当に無視するではなく、B'を悪用するものを特別扱いしない、専門以外にも伝わる言葉を使いながら事実のみを丁寧に説明する(例えばゼロではないを現実的にない、などの言い換え)。
相手があえて欠落させている情報の補足や期限や限界を意識させるなども必要かもしれません。
書いてて、マネジメントや商売、風評被害対策にも通じそうだなぁとおもいました。