元底辺エンジニアが語る、エンジニアとしての生き様、そしてこれからの生き方

生き様136. 「経験を盛れ」というSESは滅びろって願う話

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俺たちの確定申告はまだまだ終わらないッ!!

3月15日を期限に控えて、まだまだ確定申告が終わりません。
ダメなやつです。
夏休みの宿題は、ギリギリにならないと手を付けない。
締め切り直前にならないと、原稿を書かない。
そういう悪い性質がドドーンと出ている感じがします。

いや、ちゃうねん。
取り掛かろうと思った頃には、資格の勉強だったり、仕事の山場だったりでその余力が無かったねん!

と謎のエセ関西弁で言い訳してますが、1日10分程度の処理をしていなかった白栁が悪いのです。
領収書の電子データの山を仕分けしつつ、原稿を書いています。


悲しい話

先日、Twitterのタイムラインに、こんなツイートが流れてきました。

「4月からSES企業に就職が決まったけれど、現場では『経験がある様に振舞え』と会社から言われた」

というものです。
このコラムの読者さんの中には、該当のツイートに見覚えがある人もいらっしゃるでしょう。
このツイートへの返信で「自分も同じ環境だ」という人もいらっしゃいました。

この様なことが当たり前に行われていることが、現在の日本のIT業界です。
もちろん、どこでも当たり前に行われている、とは思いません。
しかし目をつぶって見過ごせるほど、レアなケースではない、と感じています。

僕が同じ状況の人に出会ったのは、10年以上前です。
その人は、日々の業務の中で擦り潰され、現場を去っていきました。
IT業界が好きだからこそ、そういう形で去っていく人がいることを悲しく感じます。

そうやって擦り潰されていく人を、減らしたい。
それがエンジニアカウンセラーとしての僕の願いで、活動目的の1つです。

今回は「何故『経歴を盛る』ことが問題なのか」についてお話します。
上のケースだと、【盛る】どころか【詐称】ですが。


「経験を盛る」ことの問題

経験の詐称は問題外です。詐欺ですから、刑事的な問題が発生しえます。
といっても、多少「盛る」ぐらいいいのではないか?という考えもあるでしょう。
いくら取り繕っても、【嘘】は嘘です。バレれば信用を失います。

それ以外にも、経歴を盛ることで、トラブルになる可能性があります。
その代表的なものが「コミュニケーションの問題」です。

経験がある、ということは、対象の業務に関する知識がある、とみなされます。
経験が短ければ、基本的な知識程度。
経験が長ければ、それなりに深い知識を持っているだろう、そうみなされます。
その境目がどれぐらいか、とはジャンルによっても違いますので、一概に言えません。
ですが、おおよそ半年~1年ではないか?と感じています。

もし、ある技術者が、1年未満の経験を1年以上と「盛った」としましょう。
現場では、「十分な経験があり、専門的な会話がある程度できる」と判断されました。
そのつもりで周囲から仕事を依頼されたり、意見を求められることになります。
ですが、それに応えることができません。負担に感じるでしょう。
周りも話が通じなくて、コニュニケーションが負担になります。
そうして、その負担が双方の心を蝕んでいくことになるのです。

現場で働く人たちに、得する人は誰もいません。
会社も信用を失い、大きな損となります。
退場となれば、次の現場を探すコスト等も掛かります。
つまり、経歴を盛っても、誰も得をしないのです。

唯一、営業だけが「成績を上げた」と得をえるのかもしれません。


「教育する余裕」のない日本社会

SESで「経験者」を求められる場合、2つのケースが考えられます。

1つは、未経験者の単価が安いので、経験者として(営業が)ねじ込みたい場合

1つは、現場に「教育する余裕」がない場合です。

さらっと、前者について触れておくきます。
最初の1~3ヶ月や、未経験者は単価を下げられます。
僕も15年ほど前に入った現場で「研修単価だから~」という理由で給与ごと下げられた経験があります。
後に分かったことですが、元請けはしっかりと他の人と同じ単価を支払っていました。
間に数社入っていた為に、そこで抜かれていた、その言い訳だった様です。

SES事業を主業務とする会社では、新人研修が行われないことが多くあります。
1週間、プログラミングの入門書で勉強させてくれれば、良い方です。
多くのケースでは、【入社→翌日から現場】となるでしょう。

そして、現場に入れば、即戦力を期待されます。
1~2週間程度、現場に慣れれる、ということで軽めの業務から振られることもあります。
しかし、親切丁寧に仕事の進め方や、日常業務での用語の解説なんてしてくれません。
特に、既に開発が始まっていて、途中参加のメンバーに対しては。
それには、出入りの多さも関係するかもしれません。

所属会社は、1日でも早く働いて稼がせようとする。
現場は、対価を支払っているのだから、仕事をしてもらう。
教育の為のコストを、どこもが取りたがらないのです。
だって、それは「今お金を産まない」から。

2000年以降、こういう風潮は顕著になっている、と感じます。
それが、現状の「中堅世代の空洞化」にも繋がっている要素だと考えます。
目先のコストだけを考えて、先の投資を考えない。
IT業界だけの問題ではなく、日本社会全体の問題です。


多くの未経験新人の受け皿、SES事業

たまに冗談めかして使う言葉があります。

「人類にSES事業は早すぎた」

世の中には、SES事業を悪と断じて、一切認めない人も居ます。
僕は、現状のSESであれば、無くすべきだ、と考えています。
ただ、本来の意味合いで考えれば、SES事業は有用だと考えます。

不特定多数の大人数が働くことを前提として構造化された仕組み(ムダも多い)。
その仕組の中では、多少スキルの上下は平準化されます。
そういう点を利用して、経験が浅いプログラマや、未経験の受け皿になってきたわけです。

もちろん、少人数のアジャイル的なプロジェクトが未経験新人を受け入れることができない訳ではありません。
しかりはやり、数が違うと感じています。

数多くある問題に、自浄作用は期待できません。
例えば、間に入る会社の数の規制をする、
例えば、衛生安全に関する使用者側の管理義務を厳しくする。
例えば、偽装請負の様な、曖昧な手法をもっと厳しく取り締まる。
この様に、外圧を強めていくしかないのでしょう。
そうした上で、真っ当なSES事業が残ればいい、そう願っています。


最後に:色々と思うこと

今回、例に挙げたツイートをした方は、その後内定を辞退し、就職活動を新たに始めたそうです。
多くの人が「そんな会社はすぐに辞めて転職するべき」とコメントやRTをしていました。
ですので、多くの人のアドバイス通りの行動になった、ということでしょう。

一方で、僕はこの多くのコメントを無責任だと感じます。
大学や専門学校を卒業し、やっとの想いで掴んだ就職。
仕事の為に引っ越しを終えて、4月からは家賃の支払いもある。奨学金の返済もある。
それ以前に、明日の食事代を稼がなければいけない。
そういう人に対して「仕事を辞めろ、他を探せ」と言えるでしょうか?

「そんな所は辞めて、ウチにこい」

これぐらいのことが言えないと、安易に「辞めろ」とも言えないのです。
残念なことに、僕にはまだそう言える力がありません。

他にも、今回のケースではありませんでしたが、

「SESで半年~1年ぐらい働いて、業界に慣れて自社開発に転職すればいい」

そんな声をSNSで見かけることがあります。
なるほど、確かに実務で経験を得ることができる賢い方法に思えます。

ですが、会社側の視点に立ったら、どうなるでしょうか。
コストを掛けて採用をして、半年から1年で退職する。
すると、採用のコストは?もしエージェントに仲介料を支払うようなことがあれば?

SES業界の負のスパイラルの片鱗は、こういう所にもありそうです。

以上!




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2022年4月9日(土)に開催される『ふりかえりカンファレンス2020』に、LT枠で登壇します。

内容としては、過去にコレざまで記事にした『生き様109. 大事な事は大体ゲームから教わった~その拾:ポジティブに振り返る~』のLT版となる予定です。
他にも、いろいろな角度からふりかえりについて考えたり、触れたりできる場になっています。
若干の参加料が掛かりますが、それ以上の価値のあるイベントだとオススメできます。
是非、御参加下さい。

Comment(8)

コメント

ちゃとらん

「SESで半年~1年ぐらい働いて、ブラックだと判れば転職すればいい」


というのはどうでしょうか?

会社側としてはコストを掛けて採用をして、半年から1年で退職されたり、採用のコストや、仲介料の支払いなど、負担が増えます。

そうならないように良い会社になろうと努力してくれればいいんですけど。

# 逆に、ますますブラックになったら困りますけど。

空は基本的に高所恐怖症なんで、、海を泳ぐモンティパイソン

自分もSESに戻るのですが、もうかれこれ40年ほどやっています。SEの業界ってほんと流行がはやいんですよね。今時ADがやってませんや、シスコはL4までやってましたなんかで面接受けても相手されません。企業はSREを求めています。でもグーグル先生のとこのアルファベットさんが考案したスーパーエンジニアが一体世界に何人いるんでしょうかね? たぶん、10人いたらいいほうじゃね?と思います。アルファベット社に雇われているSREなんか、永久就職、解雇無し、自社での新しい技術プログラムへの無償供与。そして潤濁なサラリーで(だいたい2000万くらうもらってるのかな?)もう貴族階級でしょうね。それに比べ日本のSESはもうIT土方の典型ですよ。まだ日本なんかまだいい方、お隣の御露西亜帝國は、いま帝政露西亜復活宜しく大尊敬する狂皇ヨシフ・スターリン(Иосиф Сталин (ロシア語)Joseph-Stalin、იოსებ სტალინი (グルジア語))の後塵を拝すためにソヴィエト・ロシア復活を目論見んで「狂気に走るウラジミール・プーチン大統領の元」参道する基地外ロシア人多いこと。ロシアはもともと単価が安い国でソビエトロシアが崩壊してからこのかたずっと冷や飯を西側から食わされてきたいきさつがあります。いまや狂皇ウラジミール・プーチンはその積年の恨みを晴らすべく、ウクライナに侵略しました。ロシア人の若者は頭のいい奴が多く、スターリン時代からフルシチョフ書記長、と綿々と続くロシア科学アカデミーの科学者やその眷属はひたすら西側の科学技術をまねてきましたね。ベル研がDEC・PDP11上で開発したUNIX/V7までのOSもDECがPDP10をミニコンで出荷するとき欧米経由で(東欧経由)でミニコンがモスクワに運ぶこまれていたそうです。そしてDECがVAX11/780を生産したときDECの技術者はいずれモスクワの科学アカデミーがVAX11/780を手に入れてVAXクローンを生産するときのためにCPU基盤のLSIにモスクワ科学アカデミーの科学者向けにメッセージを書き残していたという逸話が残っています。それはLSIのダイ上(シリコンウエハ上にフォトエッチングでモスクワ科学アカデミーの技術者向けに描かれたメッセージでした。)に書かれており「いずれ君たちが我々のクローンを作るだろう。その時はこれを読んでくれたまえ。DECの技術者から、、」というものでした。ソヴィエトロシアの崩壊と混乱、急激な西洋化、そしてインフレと職がない状態が20年近く続いたロシア、その間頭のいい露西亜の若者は盛んにブラックハッカーになり西洋社会を攻撃しては金をむしり取ってきましたね。彼らは相しない限り喰えないのです。灯油も買えない。冬が来たら飢え死にするからです。 日本はそんなことはありません。SESで首にされても最終のデッドラインを超えないように政府のセーフティロックが掛けてありますね。グーグルのSREと日本のSES契約社員の中間ピンハネの実態、と今の狂気の露西亜国内のブラックハッカー集団と天国から煉獄の一ぽ手前の状態が今の地球上には展開されていますね。狂皇ウラジーミルプーチン宜しく露西亜が行う軍事目的のサイバーテロはウクライナ軍事進攻とともにサイバー空間上で激しさを増しているともいます。ないところから毟り取るやり方はイワン雷帝のころとほびかわってませんね。 まあまあ、話が無茶苦茶になってしまいましたが、国内のSES契約社員にトン濾されたことは2つ、死ぬか生き残るかだけです。ではどうすれば生き残れるのでしょうか? 通常の社内SEの正社員でも同じことが言えますが、ゼネラリストになるかスペシャリストになるかしか手はないと思います。尖鋭化しすぎる極端なスペシャリストは前の例であるロシア軍事顧問団に属するブラックハッカー集団でしょう。ここまできれきれにならなくてもいいし、しょせん悪は潰れます。ホワイトハッカーになりましょう。ゼネラリストはどうでしょうか? これも社内SEを例にとるなら、一つだけ専門性に特化した分野を持つ広く浅く経験をつくしかないでしょうね。いわばゼネラリストは社内で長く就業できる人向けではないでしょうか? 自分はスペシャリストを目指しています。案件ありきにならざる終えず、プロジェクトがおわるとハイさよならでした。でもその分野の刃を研ぐには持つってこいですね。でもやったことないプロジェクトに放り込まれることもしばしばです。そんなところはもう1944年の独ソ包囲戦の陥落前の首都ベルリンのような戦場でしたね。勝つ見込み(ナチスドイツのSS親衛隊の守備隊のようなポジションで)がないのでまさに死の行進(デスマーチ)です。たくさんのSEの遺骸を踏み越えてソビエト軍と戦わなければなりません。そこに転がっている死体はソビエト露西亜の兵士(赤軍)なのか同胞(ナチスドイツ軍の兵隊)なのかわかりません。そうして最前線につっこんでいくのが私などの増員兵力です。そのうちソビエト露西亜の狙撃兵からヘルメットを撃ち抜かれて死んでいくのです。それで終わりです。そんな末期的な現場を数多く経験してきましたが、やはり言えることはデスマーチなどに放りこまれても銃後の補給がちゃんとしていたら持ちこたえられると行くことです。言い換えれば、SESでデスマーチに放り込まれてもSESの派遣会社の補給(ここでいうのはSESのたんとうSEへのバックアップ、戦線で戦いながらでもメンタル面のケア、そして補給のかなめ、新しい知的技術の供与(つまりバックアップ)があるならそれなりに成果を上げることができたということです。いまのSES派遣会社はこの戦況における補給がないのです。おのずから放り込まれた兵士(SES契約SE)は消耗しやがて戦場で死を迎えることでしょう。投入するなら補給を絶ってはなりません。戦場でのOJTは他の兵士の足手まといでしかなく、時々銃後に引き戻し再教育させるべきです。それができないSES派遣会社はつぶれる出来だと感じます。自分ももうすぐSES派遣に返咲きますが、今のSES派遣会社(元居たところです)がどれだけ補給をバックアップしてくれるかが心配です。それにあと自分は会社を興そうと考えています。SES派遣会社ですが、自分が起こす会社では自分が味わった辛いことを新人に経験させることなく一人前にするために会社でお金をかけて育てていくカリキュラムを用意して補給体制を確立させていきたいと考えています。自分が思うSES会社は決してピンハネ目的の丸投げ放り込みの昔のやくざの請負ではなく、入ってきた新人を一人前に育てるために本人に投資してプロフェッショナルに育て上げてから得られる利潤で会社が回ればいいと感じています。本人が自分の会社でのレベルより上位の会社(つまりGoogleのようなハイエンドを目指すならば)を目指すならばここにしがみつくのではなく今いる(俺社長を)ところを踏み台にしてもらって上にチャレンジすることを進めて、喜んで背中を押してあげたいと感じています。人は出会いです。良い出会いと悲しい出会いの両方があるなら、前者のような出会いの方がいいに決まっています。そして必ず別れの時が来る、その時は追わずちゃんとお餞別をつちかった技術で独り立ちできりような人を育てていきたいと考えます。社会貢献とはそのようなもので薄利で少ない人で成り立つのです。 それが一番良い方法なのです。 できることをすればいいのです。あのプーチンのように強欲になってはいけません。必ず自滅するときが来ます。 世の中というのはそういう風にできているのです。強欲なものには制裁が、嘘つきには正直ものが鉄槌を下します。 金もあの世に持っていけません。世の中ってそんな風に作られています。だからよいことだけを行うようにして、悪いことはしてはいけません。死ぬまで、いや死ぬことで(悲惨な死を迎えることになる)帳尻を合わすことになるのです。


国語教師じゃないが

> 空は基本的に高所恐怖症なんで、、海を泳ぐモンティパイソン

まずは改行を覚えなさい
話はそれからだ

おたみ

>営業だけが「成績を上げた」と得をえるのかもしれません。
結局問題点はここなのでしょう。
ただし、「得をする人」は営業さんだけとは限りません。

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