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第557回 「場」をファシリテートする

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 研修の仕事は参加者に研修が目的とする学びを得てもらうことにありますが、それは単なる情報伝達だけではありません。体験、ディスカッション、内省といった段階を経ることで気づきを生み出し、そこから学びを深めていきます。そのためには研修の「場」をファシリテートすることが求められます。これは、会議などでも同様です。会議の進行役がファシリテーターとなり参加者の意見や考えを引き出し、会議の「場」をファシリテートしながら議論を深め結論へと導きます。

 こうした「場」をファシリテートすることは普段あまり意識されないことかもしれません。そこで今回は「場」をファシリテートすることについて書いてみます。

■「場」という概念

 研修にしても会議にしてもそれらを円滑に進めるためには「場」という概念を考える必要があります。お笑いの世界でいえば「場が温まっている」とか「場が冷えている」のような表現で会場の空気感を「場」として表現したりしますが、こうしたことは研修や会議においても起こります。

 そうした「場」が研修や会議の目的に沿うような状態になっているのといないのとでは進め方に大きな違いが出てます。どれだけ話芸や話術に秀でていたとしても「場」をつくり出すことができなければ、その目的を達成することは難しいように感じます。そのため、研修トレーナーや会議の進行役には「場」をつくり出すファシリテートが必要となってきます。

■「場」をつくり出すファシリテート

 「場」をファシリテートするというのは何をすればよいのでしょうか。私は参加者の思考の流れをファシリテートすることだと考えています。

 会議を例にとって考えてみます。ある議題がありその内容を参加者全員で検討しています。この時、進行役がすべきことは参加者同士が闊達に意見を出し合い、その中から最適解を見つけ出し結論づけるその流れをつくることです。そのためにはどのように議論が進めば結論に行きつけるのか、その流れを進行役はあらかじめ知っておかなければなりません。その上で、その流れに参加者が乗っかれるようにファシリテートするのです。参加者の思考の流れをファシリテートすることで議論を発展させ、集約し、結論づけるように導くのです。

 そして、この考え方は会議を参加者一人ひとりでは捉えるのではなく、会議という大きな枠組みで捉えます。その枠組みの中で参加者同士が意見を出し合えるような状況をつくります。そのための技法はいくつかあるのですが、私が良くやるのはリレーションシップという技法です。

 リレーションシップとは会議中の発言は個人のモノではなく会議のモノという前提に立ち、ある発表者の考えを別の発表者が引き継ぐようにしながら考えを深めていく方法です。一般的に意見とは発表した人のモノと捉われがちですが、その概念を外し、発表した意見を敢えて別の人に考えを引き継いでもらうように仕掛けるのです。そうして考え方をどんどん引き継がせていくことで参加者は自然と積極的に会議に参加できるようになり、議論が深まっていき、自然と「場」がつくり上げられていきます。

■「場」をファシリテートする

 「場」をファシリテートすることは発言のイニシアチブを取るということではありません。「場」をつくることのイニシアチブを取るということです。そのための技法として今回はリレーションシップをご紹介しましたが、そうした技法を知らなくても「場」をファシリテートすることはできます。

 これは対人関係においても同様です。人が二人以上いれば必ずそこに「場」が形成されます。まずそこに「場」があることを意識する所からファシリテートがスタートします。その上で「場」を活性化するために自分が成すべきことは何かを考え行動する。それが「場」をファシリテートすることの第一歩になります。興味のある方はチャレンジしてみてくださいね!

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