ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第321回 フィードバックの重要性

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先週の「強み」の話の続きですが、私たちは仕事をする上で、たくさんの学びをしています。それは技術スキル、業務知識、コミュニケーション能力などですが、これらはきっかけは何にせよ、私たちはその多くを書籍や学術書を読んだり、研修などを受けるなどして、私たちが自分の力で理解し、習得をしています。

 このように学ぶためには自らが理解する、つまり自己理解が必要なのですが、学びにはもう1つ、他の人からのフィードバックを受けることで学びを得ることもあります。今回はこのフィードバックに関するお話です。

■一人で学ぶことの限界

 私はITエンジニアの時分から学ぶことは好きだったと思います。IT系の資格も10以上は持っていましたし、IT系、非IT系に関わらず自ら勉強会などを開くといったことも積極的にやっていました。そういった場で人に何かを伝えようとるためには、私自身が正しく理解していないとそれを教えることができません。そのため、私はずっと一人で黙々と勉強をしていたように思います。

 しかし、あるとき、一人で勉強するには限界があることに気がつきました。それは、国家資格の2級キャリアコンサルティング技能士を取得したときです。私はこの資格を独学で取得したのですが、どうしても面接試験対策だけは一人で行うことができません。。。そのため、普段のキャリコンを面接試験に見立て、キャリコンの流れに沿って実際にやってみるなどをしてトレーニングをしていました。

 そうして、何とか合格することができたのですが、結局丸3年もかかってしまいました(汗)

 今にして思えば、独学で勉強するより色んな人と一緒に勉強しておけば、もっと早いタイミングで資格が取れたと思います。。。

 そして今、その上位資格である1級キャリアコンサルティング技能士の資格を取得しようとしています。何とか前回の試験で面接試験は合格できるレベルにまで到達できましたが、これは私一人の力では到底できませんでした。

 それは、独学では絶対にできないフィードバックが必要だったからです。

■フィードバックとは

 フィードバックとは、ある言動を主観的、客観的を問わず言動を起こした人に伝えることです。

 例えば、部下への指導で、「プログラムのソースにコメントを入れると、他の人からも分かりやすくなるよ」などは立派なフィードバックですね。

 こういったフィードバックは、その人が気づいていない内容であればあるほど価値があります。ただし、フィードバックを受け取るためには、フィードバックを受け入れるだけの関係性をフィードバッカー(フィードバックをしてくれる人のこと)と築いておかなかければなりません。でなければ、素直にフィードバックを受け取ることができなかったり、フィードバックそのものに反発したりすることもあります。

■私を変えた、あるフィードバック

 私がフィードバックの重要性に気づいたのは1級キャリアコンサルティング技能士の勉強を始めてからでした。元々、1級の難易度は理解していたつもりなので独学をするつもりはなかったのですが、勉強を始めた当初、あまりフィードバックを重要視しておらず、教えてもらったことは聴き入れよう、程度にしか考えていませんでした

 そんな中、ある団体の1級対策講座に参加させていただいているとき、講師の先生が私の面接ロールプレイを見て、「高橋さん、それじゃ伝わらないよ」ってハッキリいわれたのです。そのとき、かなりドキっとしました。。。

 私はこれまでキャリアコンサルティングの指導をする際、相手であるキャリコンとの関係性を何よりも重視してやってきました。その考えは今でも変わらないのですが、だからこそ、相手に失礼がないよう、相手を傷つけないよう言葉を選んで話をしていました。しかし、時としてそれが度を超え、相手にへりくだった印象を持たせてしまうこともありました。

 その当時、私はそれでも構わないと思っていました。それは、指導者が強気な態度を取ることでキャリコンがヘソを曲げてしまい、指導自体が成立しなくなるよりは、指導者がへりくだってでもキャリコンとの関係性を保っておく方が良いと思っていたからです。しかし、その態度に私自身はどこか納得していない部分もありました。先生の指摘はそこを見透かされたような気がしたからです。

 1級キャリアコンサルティング技能士はキャリコンの「指導者」であらなければなりません。ということは相談に来る相手は何かの問題を抱えており、その指導を求めています。そういった相手に対し、おっかなびっくり言葉を選び、こちらの顔色を伺いながら指導するような人と、本当の信頼関係って築けるのでしょうか? その矛盾が私の中でずっとあったのですが、先生のフィードバックで私がやろうとしていた指導は試験に受かるための指導であることに気がつきました。そのとき、正にその先生の態度こそが「指導者」だと感じました。

■フィードバックの重要性

 しかし、もし、私が意固地に自分の考え方を曲げず、先生のフィードバックを聴き入れることがなければ、私は気づきを得ることはありませんでした。どんなフィードバックでも、そのフィードバックが生きるかどうかは受ける側の意識次第です。

 フィードバックをしてくれる相手が友達だったら...? 部下だったら...? 家族だったら...? 自分の子どもだったら...? 自分の親だったら...?

 もし、フィードバックを受け入れられない人がいるとしたら、それは本当にもったいないことをしているのかもしれません。実際、私はそうだったとそのとき感じました。私に向けられたフィードバックは、誰のためでもない私だけの、私のためのフィードバックだったのです。それは私では気づくことができない、とても大切な言葉に感じました。

 そのことに気づくことができてから、私の意識は少し変わりました。以前よりも人の話を聴き入れることに抵抗がなくなり、自然とフィードバックをもらうことに意識が向くようになってきました。それは決して不快なことではなく、寧ろ自分の新たな一面を知ることができる興味に近い感覚かもしれません。

 フィードバックの効果は意識の持ちようで如何様にも変わります。自分自身の強みを更に伸ばすことができるフィードバックはいつもあなたに向けられています。そこにアンテナを張り意識を向けることで、そのフィードバックはいくらでも吸収することができます。

 ぜひ、あなたに向けられた、あなただけのフィードバックに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

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