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第308回 介入を考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 キャリアコンサルティングはクライエントの話を聴く傾聴技法が良く使われます。しかし、傾聴だけだとキャリア「コンサルティング」にはならないので、どうしてもクライエントに対して提案をしなければならないシーンが出てきます。そのときによく使われるのが介入技法と呼ばれます。今回はこの介入技法について思うことを書きます。

■キャリアコンサルティングとキャリアカウンセリング

 キャリアコンサルタントの中でも「キャリアコンサルティング」と「キャリアカウンセリング」を混同して使われている方がおられます。この2つは時として同じ意味に使われることがありますが、私個人は明確に違うと考えています。

 キャリアカウンセリングはベースが「カウンセリング」であり、クライエントに対して寄り添い、援助をすることを目的としています。そのため、傾聴に重きを置く傾向があるように感じています。

 一方、キャリアコンサルティングはべースが「コンサルティング」であり、クライエントの問題を解決することを目的としており、キャリアカウンセリングから派生した考え方です。そのため、キャリアカウンセリングで用いられる傾聴技法などはそのまま使われますが、それにプラスして問題を解決するためのコンサルティングスキルが必要になってきます。

 そのコンサルティングスキルの一つに介入技法があります。簡単にいってしまえば、クライエントの考えや想いなどに対してキャリアコンサルタントの考えや想いをぶつけ、それを認め納得してもらう技法です。いい方を変えるならば「説得」といっても良いのかもしれません。

■介入を成功させるためには

 ただ、この介入は簡単ではないです。それは、初めて会う人に対し、その人の意見をすんなり受け入れてもらえるような関係性がつくりづらいからです。この関係性は「信頼関係」という言葉でもいい表すことができますが、相手との信頼関係を築くためには傾聴が絶対に必要になります。傾聴によって「この人は話を聴いてもらえる人だ」といった印象を持ってもらわなければ信頼関係を築くことは到底できません。しかしながら、それだけでは介入は成功しません。それにプラスして、「この人の話なら聴き入れよう」といった想いを相手に持ってもらわなければならないのです。それができて、初めて介入が成功します。

 それでは、どうすれば相手に「この人の話なら聴き入れよう」と思ってもらえるのか? これは、最早技法やスキルといった部分ではないと思います。それは、その人の資質といっても良いのかもしれません。相手のことを心から理解しようとする気持ち相手の目的を達成させたいと思う真摯な気持ち、こういった気持ちで接し、それが相手に受け入れられるからこそ、こちらの話も聴き入れてもらえるようになるのではないかと思います。

 そして、これは何もキャリアコンサルティングだけの話ではありません。上司や部下、先輩と後輩、親と子であっても同じことです。どのような関係性においても相手のことを真に想い、相手のために考え、発言する。そういったことがベースにあるからこそ信頼関係が築けるのであり、介入が成功するのではないかと思います。

 ちょうど今、私は新卒社員さん向けの研修の真っただ中ですが、この気持ちを忘れず、新卒社員さんと向き合っていきたいと思います。

Comment(2)

コメント

仕事においても、信頼関係を築くのって本当に難しいです。
心をこめて接しているつもりでも時には自分の都合や感情が入ってしまって、自分本位になってしまいます。大抵そんな時は、相手も心を閉ざしてしまう気がします。
強さや弱さも含めて自分を理解すること。
相手にも同じように強いところがあれば弱いところもあると理解する。
本当に心から相手を理解しようとすることに尽きると思いました。

キャリアコンサルタント高橋

芋さま、


コメント、ありがとうございます。


> 強さや弱さも含めて自分を理解すること。
> 相手にも同じように強いところがあれば弱いところもあると理解する。


本当におっしゃるとおりですね。
コラムを書いていたときには気づかなかったのですが、芋さまのコメントから、相手のことを心から理解することと同じだけ自分のことを心から理解することも大切なのだと感じました。
早速、実践させていただきます!


示唆に富むコメント、ありがとうございました!

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