第288回 感情のコントロールを考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先日、ある企業のセミナーに参加させていただきました。そのセミナーではマネジメントに関する様々な考え方や知識についてのレクチャーが中心だったのですが、その中にレジリエンスについて説明ありました。そのときの話がとても興味深かったので、今回はレジリエンスから感じたことを書きたいと思います。
■レジリエンスとは
Wikipediaによるとレジリエンスとは心理学の用語で、
社会的ディスアドバンテージや、己に不利な状況において、そういった状況に自身のライフタスクを適応させる個人の能力と定義される
なのだそうです。少し言葉が難しいので、私なりの解釈ですが、
さまざまな状況で、最善の行動や考え方を選択することで感情をコントロールし、結果に繋がる行動を取ること
をレジリエンスだと思っています。例えば、朝上司に挨拶をしたとき、上司から無視をされたとします。そのとき、「上司は怒っているのかな、今日は近づかないようにしよう」と考えていた人がいたとします。しかし、「上司は何か考え事をしていたのかな。ひょっとしたら何か手伝えることがあるかもしれない。後で声をかけてみよう」という考え方に変わわると、行動が変わってきます。このように事象(上司に挨拶を無視された)ことをどのように捉えるか、その捉え方を変えることで感情のコントロールを行い、行動を変えていこうというのがレジリエンスです。
■感情のコントロールはできるのか?
この話を聞かせていただいたとき「感情はコントロールできない」ということも合わせて教えていただきました。感情のコントロールができないからこそ考え方を変えるのだそうです。つまり、喜怒哀楽の感情はその感情が起こってしまうと変えることができない、だからこそ、喜怒哀楽の感情が起こる前に考え方を変えることで沸き起こる感情を変えるということなのだそうです。
この考え方は膝を打つ感覚でした。正に「なるほど! 」だと思いました。一度沸き起こった感情を制御するのはとても難しいのは体感的に理解できます。だからその感情が起こる前に沸き起こる感情を制御する。感情をコントロールすることはできないけど、どのような感情を起こすかはコントロールできるということですね。
このような感情のコントロールの考え方は7つの習慣にもあります。過去のコラムでも書きましたが、第1の習慣『主体的である』の「自分の天気を持つ」という考え方です。このときのコラムではこのように書きました。
「私たちが感じる喜怒哀楽の感情は、私たちに起きた出来事に対して、私たち自身がそのように感じたいから感じている」
だからこそ、相手から受けた刺激に対してすぐに反応するのではなく、刺激と反応の間に一旦停止しスペースを空け、そこで考える余裕を持つこと、そうすることで自分の感情をコントールしましょう、というのが「自分の天気を持つ」という考え方です。
今でもこの考え方は正しいと思っているのですが、先ほどの「感情のコントロールはできない」という考え方を重ねると新たな視点が生まれました。それは、
相手から受けた刺激に反応してしまうと、その反応はコントロールできくなる。だからこそ、相手から受けた刺激に対してすぐに反応するのではなく、刺激と反応の間に一旦停止しスペースを開け、そこで考える余裕を持つこと、そうすることで自分の沸き起こる感情を変えましょう、それが感情をコントロールするということです。
と言えるのではないかと思いました。
■学びの相乗効果を考える
今回のことで学びには底がないことを痛感しました。あることをマスターしたつもりでも、別の視点が加わると更に学びが深くなる。こうやって学びを深めていくことはどのような職種や仕事においてもあり得ることだと思います。そう考えると、学ぶことにはもっともっと謙虚さと貪欲さが必要なことだと感じました。