第251回 気づきについて考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私が普段から使っている4Sコーチングですが、使い続けて10年以上経ちました。10年も使っていると考え方や理論が少しずつ変わり、最初の姿と現在の姿が大きくかい離するようになりました。そのため、最近ではコーチングを教える際、内容を変更したり、読み替えたりするなどいろいろと問題が出てくるようになってきました。そこで、この度一念発起してコーチング理論をすべて再構築することにしましたのですが、その中で気づきについて改めて考える機会がありました。そこで、今回は気づきについて思うことを書きたいと思います。
■コーチングにおける気づきの手法
コーチングはコーチとクライエントとのセッション(会話)によってクライエントに気づきを与え、クライエント自らが行動を起こし、目標に到達するための手法です。現在、コーチングの流派はたくさんありますが、概ねどの流派もこの考え方は変わらないと思います。私が使っている4Sコーチングもこの考え方を踏襲してつくられています。
コーチングではクライエントに気づきを与えることが1つの大きなポイントになります。このとき、気づきを与える方法は大きく分けて2つあります。
- クライエントがもっていない考えを促すことで、クライエントに気づきを与える
- クライエントの状態をコーチの言葉で伝えることで、クライエントに気づきを与える
前者を4Sコーチングでは「スライド」と呼び、視点(モノの見方)をいろんなところにスライドさせることで、クライエント自身に新しい気づきを促します。
後者は「メッセージ」と呼び、クライエントに客観的、主観的な事実をクライエントに指し示すことで、クライエント自身に新しい気づきを促します。
■気づきを得るためには?
ただ、これらの手法を使えば必ず気づきが得られるか? といわれれば、必ずしもそうではありません。例えば、子どもに対してビジネスの効果的なノウハウを気づかせようとしても難しいように、イメージすることすらできないことに対して、気づきを得ることは難しいからです。いい換えるならば、気づきを得るためには、あらかじめクライエントの中に「クライエントが気づくことができるモノ」をもっている必要があります。
それでは、どうすれば「クライエントが気づくことができるモノ」をもっているかどうかが分かるのか? それは、結局のところクライエントから感じ取るしかありません。コーチングではクライエントの仕草や発言を観察することでクライエントの状況を理解しようとします。そこから「クライエントが気づくことができるモノ」を見つけ出します。こうやって書くと難しいイメージがありますが、実際には前々回のコラムで書いた「違和感」から見つけ出すことができます。
相手に気づきを与えることは、相手に行動を変える(行動変容)ための有効な手段です。もし、部下などの相手に気づきを与えたいと思われた場合、まずは相手の仕草や発言をシッカリ観察し、そこから違和感を感じ取ってみてください。そして、その違和感を相手に伝えることが気づきの第1歩になってきます。