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第233回 同調する力

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先週、私の2冊目の本『マンガでやさしくわかるプログラミングの基本』が出版されました。すでに本屋さんでも見かけるようになり、著者としてもホッとしております。すでにお読みいただいた方、本当にありがとうございます! また、ご興味のある方はぜひお手に取ってごらんいただけると嬉しいです。

 さて、今回からまたコラムのネタは正常運転に戻ろうと思いますが、本を執筆する上で人と同調することの大切さを強く感じました。そういえば、人と同調することはどの仕事においても必要な感じがしますね。そこで、今回は人と同調することについて考えてみます。

■事業計画の達成と社員の日々の業務

 例えば、会社の運営には事業計画のようなモノがあります。複数年にまたがる中期経営計画、1年間の短期経営計画など、会社は事業を拡大する上で会社の方向性やあるべき姿を事業計画として定め、それに従って運営されています。当然のことですが、その事業計画を実現させるのはその会社の社員です。社員は事業計画に基づき日々の業務を行います。そうして個々の社員の結果が積み重なり、課や部といった組織の結果が生み出され、そこから会社の実績が積み上がってきます。

 そのため、組織の長である部長や課長は事業計画を理解し、自分の組織で何を実現しなければならないのかを考え、具体的な目標を掲げます。それを組織内の社員に落とし込み、一人一人のタスクとなり、日々の業務が行われます。だから、社員一人一人が組織から与えられた仕事を遂行することで、自然と組織の目標を達成させることに繋がり、ひいては会社の事業計画の達成に繋がっていきます。

■執筆時に感じた同調する力

 だとすれば、社員は会社の事業計画を知らなくても目先の業務をパーフェクトにこなしていれば、それ自体が会社に貢献することになります。これはその通りだと思います。しかし、これは仕事を与えられる側の立場にいる人の考え方です。もし、自分が仕事を与える側の立場に立ったらどうでしょうか?

 自分に課せられたミッションがあり、そのミッションを達成させるためには部下の働きが必要になる。そんなとき、もし部下に自分の課せられたミッションを理解してもらい、自分と同じ気持ちになって仕事をしてもらえたらどれだけ頼もしいでしょうか。

 そのためには何が必要か? 私は同調する力だと考えます。相手の考えや想いを理解し、そこに自分の考えや想いを重ね合わせる。ここでの理解は単なる言葉尻を把握することではなく、意味や本質にまで考えを巡らし、理解することです。私はこれを本の執筆時に感じました。

 商業出版における本の執筆において、著者は出版社の掲げる目標を実現するためにあると私は考えます。だから、著者は好き勝手に書きたいことだけを書けばよいのではなく、編集者さんが著者に何を求めているのかを理解し、そこに合わせて原稿を書くべきだと考えています。

 私は今回の執筆で3回原稿を書き直しました。それはいい方を変えると、編集者さんの考えや想いをくみ取るのに3回もかかってしまったことを意味しています。もちろん、1回目のときも2回目のときも自分なりにいろんなことを考え、原稿を書き直してきたつもりです。しかし、今にして思えば、それは自分のために書き直していたように感じます。

 私が3回目の原稿を書き直そうとしたとき、真っ先に編集者さんのことを考えました。締め切りまで時間がない中で著者にダメ出しをしなければならない心境、気持ち、想い...、そこから推測される焦りや不安といった気持ちをイメージしました。そうしたときに、編集者さんがいいたいこと、伝えたいことが頭の中に入ってきたような気がしました。それが過去のコラムでも書きましたが初心者と経験者との間にある「わかる」の違いでした。

 私は経験者なので初心者の「わかる」は理解できません。しかし、経験者である私の「わかる」と初心者の「わかる」は決定的に違うことが理解できました。その前提に立ち無我夢中で原稿を書き直しました。そうして、再度編集者さんに読んでいただいた結果、「このことをいいたかったんです! 」とおっしゃっていただきました。このとき、私は編集者さんに同調することができたと思いました。

■同調する力を得るには

 こういった同調する力を得るにはどうすればよいか? 端的にいえば相手の立場に立って考えを思い巡らすことになるでしょう。そのためには徹底的に相手の置かれている状況をイメージできる必要があるように思います。

 しかし、それ以上に大切なことがあります。それは、自分が相手に同調するという意思を自発的に持っているかどうかです。ただ何となく相手の相手のことを思い巡らしても相手に同調することはできないと思います。相手に同調するためには、同調したいという強い意思がベースにあり、その上で相手のことを考えることが必要なのではないかと思います。

 仕事をするためには相手と同じ方向を向く方が効果が高まります。そのためには相手と同調する力を身につけることで実現できると思います。また、それが自分にとってのビジネスチャンスにつながるかもしれません。

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