第220回 習慣化の壁を超えるには
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
最近、コミュニケーション系の研修を担当させていただくことが多いのですが、この研修はやればやるほど難しさを感じます。私はコミュニケーション能力はスキルである立場をとっていますが、コミュニケーションがスキルであったとしても習得することは難しいです。それは習慣化の問題があるからだと思っているのですが、今回はこのことについて思うことを書きます。
■傾聴力を身につけるには
例えば、傾聴力を身につけることを考えてみます。一般的に傾聴とは相手の話に耳を傾けること、熱心に聴くことをいいますが、私は傾聴を、
相手の話を引き出すために聴くこと
と捉えています。しかし、これだと分かりづらいので、以下のようなワークで実際に傾聴の体験をしていただくことで傾聴している状態を理解してもらうようにしています。
<傾聴体験のワーク>
- 聴き手と話し手に分かれる(傾聴を体験していただく側は話し手になります)
- 話し手が聴き手に対して会話をするが、このとき聴き手は一切反応しない
- 次に話をするとき、聴き手はうなずきやあいづちを入れ、熱心に話し手の内容に聴き入る
この2つの聴き方の違いを話し手として体験することで、どちらの聴き方がより話しやすかったを感じてもらい、そこから傾聴の必要性を理解してもらうようにしています。
こうすることで傾聴をイメージしてもらうことはできるようになるのですが、いざ実際に傾聴のトレーニングをしてみるとなかなかうまくできなかったりします。。。
■普段の習慣を変えることの難しさ
これは習慣化された行動を変えることの難しさがあると思います。
傾聴は相手の話を引き出す聴き方をしますが、会話の中で傾聴を始めると、相手の話を引き出すことができるまで傾聴を続けなければなりません(そうしないと、傾聴の目的である「相手の話を引き出すこと」ができないので)。しかし、私たちの普段の会話では相手の話の内容に対して反応したり、問題解決に走ろうとします。それが日常当たり前のように行われている普段の会話だからです。そして、それは既に習慣として私たちの身体の中に染みついています。そのため、いざ傾聴をやろうとしても、習慣化された普段の会話のように相手の言葉に反応したり、問題解決に走ってしまい、なかなか傾聴の状態を維持することができないのです。
コミュニケーション系スキルを習得しようとすると、概ねこのような習慣化の壁にあたってしまい、なかなか思うように習得ができません。ここに、コミュニケーション系スキルの習得の難しさがあるように思います。
■習慣化の壁を超えるには
それでは、どうすればこの習慣化された壁を越えて、コミュニケーション能力が習得できるのか。
私なりの答えは、新たな習慣をつくり出すしかないと考えています。
そのためには、新しく習得しようとしているコミュニケーションを普段の生活の場(もしくはトレーニング)で何度も何度も使い続けるのです。そうすることで、新しい習慣をを体の中につくり出し、それが少しずつ定着していきます。これは私個人の感覚ですが、新しいコミュニケーションスキルを習慣化するためには、概ね1~3カ月程度毎日使い続けることで自然と定着してくるように思います。そして、一度定着すると、意識することなく使い続けることができるようになります。例えしばらく使わない期間があったとしても、数回繰り返したりするなどすると、ちゃんと以前と同じように使えるようになります。
ですので、もしコミュニケーションスキルを習得されようとしている方は、ご自身の中に新しい習慣をつくるという視点でコミュニケーションスキルのトレーニングをされてみてはいかがでしょうか。