第162回 脳内会話を考える
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
会話をしていると、時として意図しない答えを返すことがあります。例えば、「昨日、何を食べましたか? 」という問いに「美味しかったです」のような返しです。こういった返しは誰にでも経験があることだと思いますし、私も経験があります。これは脳内会話という頭の中で勝手に会話が進行してしまうことに原因があります。そこで、今回はこの脳内会話について書きたいと思います。
■脳内会話の例
先ほどの例の「昨日、何を食べましたか? 」に問いに「美味しかったです」と返す例について考えてます。そもそも、なぜこのような答えをしてしまうのか? 恐らく「美味しかったです」と答えた側の脳内ではこのような会話が進行してしまったからではないでしょうか。
話し手「昨日何を食べましたか? 」
↓
(聞き手の脳内会話)聞き手「お肉を食べました」
↓
(聞き手の脳内会話)話し手「美味しかったですか? 」
↓
聞き手「美味しかったです」
このように頭の中で勝手に会話を進めてしまう脳内会話が起こってしまうと、相手の問いに正しく答えることができなくなります。
■脳内会話の起こる原因
そもそもなぜこのような脳内会話が起こってしまうのか? 原因はいろいろ考えられますが、私は思い込みが大きな要因ではないかと思っています。私たちは相手の言葉からその内容をイメージし会話を進めようとしますが、そのイメージが話し手の範囲を超えてしまっている場合に思い込みが起こっているように思います。
先ほどの例でも、話し手は単に昨日食べたモノを聞きたいだけなのですが、聞き手は「昨日何食べましたか? 」からイメージを膨らませ、食べたモノが美味しかったかどうか、その感想を答える所まで脳内で勝手に話が進んでしまった(と思い込んでしまった)ために、「美味しかったです」と答えてしまったのではないでしょうか。
このように考えると、聞き手は脳内会話で進めてしまった会話を忠実に返しているだけなので、そこに悪意や悪気はないように思います。しかし、このことが話し手とのコミュニケーションを阻害し、話し手に不快な印象を与えてしまう可能性があることは否めません。
■脳内会話を止めるには
それでは、どうすればこのような脳内会話を止めることができるのか? 単純に考えば、会話の内容を勝手にイメージしないように心がけることに尽きます。しかし、脳内会話は癖になってしまっている人もいますので、単純に修正することができない場合もあります。そのような場合には、相手の言葉の語尾に着目することをおススメしています。
一般的に、日本語は英語と違い、語尾に言葉を継ぎ足すように話しますので、相手の問い掛けが語尾に来ることが多くなります。そこに着目し、会話の語尾を強く意識し、語尾に対して素直に反応するように心掛けます。そうすることで脳内会話を抑え、適切な返しが行える可能性が増えてきます。
■言葉を正しく返そう
私個人は脳内会話を悪いことだとは思っていません。脳内会話は相手の話がどのような流れで進んでいくのかをイメージすることなので、それ自体は悪いことではないと思っています。それは、会話をイメージすることで、相手の心情や状況を推測することにも繋がり、相手へ配慮することができると思うからです。
しかし、脳内会話で進んだ内容と実際の会話は明らかに違いますので、その区別は絶対に必要です。実は私も脳内会話を進めてしまう癖があるので、普段から相手の語尾に着目するようにして、脳内会話をできるだけしないように心掛けています。
もし、脳内会話によってコミュニケーションがうまく取れないと悩まれている方は、ぜひ一度相手の言葉の語尾に着目してみてくださいね。