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第145回 原因を究明することと、目的を達成させること

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 先日、仕事でWordを使っていたのですが、どうしても回避できない不可解なエラーに出くわしてしまいました。最終的に成果物を作成することはできたのですが、その過程で少し悩みました。そこで、今回はエラーが起きた場合の対処からキャリアを考えてみたいと思います。

■Wordでの不可解なエラー

 その日は研修用テキストをWordで作成していました。作業自体は順調に進んでいたのですが、ふとWordが妙な挙動をしていることに気づきました。図形の下にテキストボックスを使用して文字を書いていたのですが、それが別の文字に置き換わっていたのです。最初は編集をミスったかな? 程度に思っていたのですが、どうやらそうではなく、あるテキストボックスに文字を入力すると、それが別のテキストボックスにも書かれているようで、さながら複数のテキストボックスに対して同時に同じ文字が入力されているような感じになったのです。

 テキストボックスにリンクが張られているのかな? とも思ったのですが、テキストボックスにリンクは張られていませんし、張られていたとしても複数のテキストボックスに同時に同じ文字が入力されるような動きはしません。はて、どうしたもんだ? と手を止め、対処法をネットで検索してみましたが、それらしいモノはヒットしません。

 こういうとき、このまま突き詰めるか、それとも諦めて最初からつくり出すかのどちらかになるのですが、そのときの私はこの原因を突き詰めたいと思い、徹底的に調べることにしました。しかし、半日調べても、一向に結論までたどり着きませんでした。。。

 そうこうしているうちに納期が近づいてきたので、止む無しと思い調べるのを中止し、そのWordファイルは捨てて、新たなWordファイルで同様のテキストを作成し直しました。そして、20分後にはテキストの作成が完了しました。

■COBOL 85での不可解なエラー

 そういえば、似たような経験を過去にもしていたことを思い出しました。今から約20年以上も前になりますが、当時の私は、富士通製FACOMのMSPという汎用機のプログラマーでした。当時はCOBOL 85でプログラミングしていたのですが、このときにも不可解なエラーに悩まされたことがありました。

 あるプログラムをコーディングしコンパイルしてみると、どうしても特定の行がシンタックスエラー(syntax error)になります。いわゆる文法間違いなのですが、何度見直しても文法の誤りが見つけられません。仕方がないので別の人に見てもらっても原因が分からないとのこと。しかし、この行が直らないとコンパイルが通らないので、何とかして直さなければなりません。あれこれ試行錯誤するも、結局原因が分からないまま3日過ぎてしまいました。

 その後、当時の先輩の助言で、もう一度プログラムを一から打ち直してみると案外コンパイルが通るかも、といわれ、半信半疑ながらもコンパイルが通らなかったソースファイルを一文字ずつ見直しながら打ち直しコンパイルをやってみたところ、なぜかコンパイルが通ってしまいました。しかし、なぜそのコンパイルが通ったのか、理由は未だに分かっていません。

■原因を究明することと、目的を達成させること

 どちらもケースでも、Wordの資料を作成する、コンパイルを通すという目的を達することはできました。しかし、なぜエラーが起こったのか、その原因を究明することはできていません。原因を追究できないままにしておくと、同じ事象が再発したときに困ります。そのため、一般的にはトラブルが起こった場合、その原因を追究し対策を確立しておくことが推奨されます。しかし、これらのケースのようにどうしても原因が追究できない場合、原因は追究できないモノとして扱うことも一つの対策ではないかと思います。

 もし、私がWordで先ほどと同じ事象に出くわした場合、恐らく今度は原因を追究するようなことはせず、一からWordファイルを作り直すと思います。ひょっとしたら、この方法は間違っているかもしれません。しかし、私が成果物を期日までにつくり出すという目的を達成させるためには、この方法がベターのような気がするのです。

 そして、これはキャリアづくりにおいてもいえることです。ある技術を身につけようとしているときに、原因不明の出来事に出くわしたとします。本来はその原因を掘り下げ、究明することが技術の習得に繋がることなのかもしれません。しかし、そこに時間をかけすぎて他の技術が身につける時間がなくなってしまったのでは本末転倒です。

 ですので、分からないことは分からないとしておき、本来その結果がどうなるかを正しく把握しておく。その上で、技術を身につけた後にでも、そのことを振り返って考えてみるのも、時には必要なのではないかと思います。

 私も、また時間のあるときに、Wordで同様のことが再現するかやってみたいと思います。

Comment(2)

コメント

Anubis

>ふとWordが妙な挙動をしていることに気づきました。図形の下にテキストボックスを使用して文字を書いていたのですが、それが別の文字に置き換わっていたのです。

Word以外から図をコピペしていると起きやすいトラブルです。特に、Visioからのコピペで発生する事例を見かけます。原因は断定できてはいないが、おそらくWordファイル内のxmlファイルの統合性が崩れたためと思われます。

回避策としては、Wordのスタイルを適切に設定する、もしくは図は別ソフトで作成して画像ファイルにして貼り付けるのが良いかと思われます。

調べてもヒットしない理由は、確信を持って原因を特定するのが難しいからだと思われます。

> 一からWordファイルを作り直すと思います。

今回の事例の場合、これが最善策です。

Anubisさん、

あー、なるほど、そういうことだったんですか。納得です。モヤモヤしてたモノがストンと落ちました。
確かに図をパワポから流用していました。
xmlファイルが悪さしてたんですね、xmlファイルは完全にノーチェックでした。

普段、図はペイントで加工→Wordに張り付けることが多いんですが、今後パワポやVisioあたりから図を張り付けるときは、スタイルが崩れないよう気をつけたいと思います。

それにしても、anubisさんのコメントで一から作り直すことが最善策となり得ることが分かったのは大きな収穫でした。ありがとうございますっ!

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