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第114回 転職で給料アップ! を考える

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 最近は景気が回復してきたのか、転職市場が活発になってきたそうです。このような状況は売り手市場といって、一般的には転職者側が有利に働きます。転職を考えている人はここがチャンスとばかりに転職で給料アップを目指されますが、なぜ転職で給料がアップするのか、今回はこのことについて考えてみました。

■ITエンジニアの給料が上がるしくみ

 通常、ITエンジニアの給料はお客様の下で働いた対価がベースになります。当然、高い対価をいただけるようなればそれだけ給料へ反映される金額も上がる可能性が高くなります。それでは、一体どうすれば高い対価を得られるようになるか? 答えは2つあります。1つはより難易度の高い仕事、一般的には今よりも上流の仕事やマネジメント系の仕事に就くこと。そして、もう1つは単純に受注金額を上げることです。

■難易度の高い仕事に転職するということ

 難易度の高い仕事に就くことを転職に結びつけて考えると、転職によってより難易度の高い仕事にチャレンジすることができ、それによって顧客からより高い対価を得られることができるため、それを給料アップの根拠とすることはできると思います。

 この考え方はITエンジニア側から考えるとまっとうな考え方のように思えます。しかし、そのITエンジニアを雇い入れる会社側はリスクを負っているという側面があります。会社は数種類の書類と数回の面接で、そのITエンジニアの能力や資質を見極めなければなりません。しかも、ITエンジニアが経験したことのない未知の領域の仕事をさせることを考えたら、尚更会社はこのITエンジニアを雇い入れることで、リスクを背負わなければなりません。

■受注金額の高い会社に転職するということ

 受注金額の高い会社に就くということを転職に結びつけて考えると、今の会社より契約単価が高い会社に転職することで、それを給料アップの根拠とすることはできると思います。例えば、今の会社が中小のソフトウェア開発会社でSE1人受注するのに月60万円だったのが、SE1人受注するのに月100万円取れる会社に転職するようなケースです。

 この考え方もITエンジニア側からするとまっとうな考え方のように思えます。しかし、この場合も転職先の会社はリスクを背負っています。これはITエンジニアに対して単価を支払う顧客側の立場に立ってみると分かります。先ほどの例で、顧客はなぜ月60万円のITエンジニアではなく月100万円のITエンジニアを選ぶのか? そこには、月60万円のITエンジニアにはないモノを月100万円のITエンジニアに求めているからです。それは月100万円で仕事を取ってくる会社も分かっていることで、当然、100万円分の仕事をITエンジニアにも求めてきます。それができないと、その会社は顧客からの信用を失い、契約単価を下げられたり、最悪その仕事を失いかけません。そのため、このケースにおいても、会社はITエンジニアを雇い入れることのリスクを背負わなければなりません。

■リスクを背負ってでもITエンジニアを雇い入れる理由

 この2つの例で、会社はITエンジニアを雇い入れることにリスクがあることを書きましたが、それでも会社はそのリスクを負ってでもITエンジニアを選びます。それは、冒頭にも書きましたが、今の市場が売り手市場になっているからです。このタイミングでそのITエンジニアを選ばなければ、他の会社に取られてしまうかもしれません。ですので、会社は多少のリスクを負ってでも、ITエンジニアを雇い入れようとします。

 だからこそ、ITエンジニアは転職によって未知の仕事を求められた場合、必ず結果を出さなければならないというリスクを背負わなければなりません。もし結果を出せなかった場合は減給されてしまったり、最悪、試用期間中に解雇されることもあるかもしれません。ITエンジニアは転職でそのリスクを背負うからこそ、その分の対価として給料がアップされるのではないでしょうか。

 転職で給料がアップするにはそれなりの理由があるからであり、決して転職という行為をするだけで給料がアップすることはありません。そして、転職で給料アップを目指そうとする人は、転職を成功させるためにも、このことは肝に銘じておく必要があるのではないかと思います。

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