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第24回 四方山話(7) ITエンジニアの品格

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 前回、ITエンジニアの品質について筆者の考えを述べましたが、その内容についてコメントをいただきました。そのコメントが秀逸だったこともありますが、その中に「品格」というキーワードがあり、筆者の中で感じるものがありました。そこで、今回は前回の続きとして、ITエンジニアにとっての品格について考えてみたいと思います。

■前回、品質の定義をしていませんでした

 そういえば、前回、品質の話をするに当たり、品質の定義をし忘れて話を進めていました。今さらですが、筆者は品質を以下のように考えています。

《品質の定義》

  • 顧客の要求事項との合致度

 このように品質をとらえると、ITエンジニアにとっての品質はこのようにとらえられると考えます。

《ITエンジニアにとっての品質の定義》

  • ITエンジニアが提供できるスキルと顧客の要求事項との合致度

 だからこそ、ITエンジニアが品質を高めるためには、顧客の要求事項を満たすために自分自身のスキルを向上させることだと考え、前回のコラムで、

ITエンジニアがプロとして必要なスキルを自発的に身に付けること。この行為こそがITエンジニアにとっての品質である

このような提言をさせてもらいました。

■品質の根っこはどこにある?

 ただ、ここに1つの問題があります。それは、ITエンジニアが品質を上げる目的です。例えば、IT企業であれば、成果物に対する一定の品質を担保するという目的があります。しかし、ITエンジニアが品質を上げる目的はどこにあるのでしょう? 端的に考えれば、ITエンジニアとしての自分を高めたいと思う気持ちにあると答えられるでしょう。しかし、これは答えの本質までたどりついていません。と言うのも、なぜ自分を高めたいという気持ちが起こるのか? 言い方を変えれば、品質を上げたいと思う気持ちの根っこがどこにあるか? これがハッキリしないと、ITエンジニアが品質を上げる目的までたどり着けないような気がします。

 ではその根っことは一体何か? それは、その人が理想とするITエンジニアの姿です。その理想の姿に近づきたいと思うこと、その欲求こそが品質を上げたい目的になります。

■ITエンジニアの品格

 キャリア的に考えれば、理想のITエンジニア像は具体的であれ、抽象的であれ、それは目指したいキャリアととらえることもできます。それが、プロジェクト・マネージャ、システム・エンジニア、プログラマといった職種の場合もあれば、部長、課長、係長、主任といった役職の場合もあるでしょう。また、尊敬している人そのものの場合もあるでしょう。理想とするITエンジニア像は1人1人違いますが、そういった理想とする、目指すべきITエンジニア像にたどり着こうとする気持ちを持つことが、筆者はITエンジニアの品格を形づくるのではないかと考えています。

 品格の意味を調べてみると、

その人やその物に感じられる気高さや上品さ(デジタル大辞泉より)

と書かれています。気高さや上品さといった言葉をITエンジニアに重ね合わせるのは少し無理があるような感じもしますので、筆者の考え方は多少意訳が入るとは思いますが、筆者はITエンジニア像にたどり着こうとする気持ちを強く持つことで、その人にはITエンジニアの品格が身に付いてくると考えます。

■品質と品格の関係

 品格が理想のITエンジニア像を目指そうとする気持ちであるのならば、品質は理想のITエンジニア像を目指す上での行動(スキルの習得)ということになるでしょう。そのため、品格と品質は切っても切れない関係にあります。その人に品格があるからこそ、ITエンジニアとしての品質を高めることに意味を成し、ITエンジニアとしての品質を高めることが、その人が理想とする品格に近づくことになります。

 しかし、品質と品格を考える上で、重要なことが1つあります。それは、品質と品格のバランスです。

 過剰な品格(キャリア)は、それに見合う品質(スキル)が高くなり、目指すキャリアに到達できなくなるかもしれません。

 逆に、過剰な品質(スキル)は、目指す品格(キャリア)以上に品質(スキル)を高めることになり、オーバースペックになりかねません……。

 これらのことから、品質と品格のバランスを上手に取ることが、キャリア形成を行う上で大切なことではないかと考えます。

…………

 今回のコラムは、冒頭にお話ししたように、前回のコラムでいただいたコメントをベースに書かせていただきました。コメントをいただいた真っ赤なレモン様、ありがとうございました。

 今回のコラムをお読みいただくに当たり、ぜひその元になったコメントも読んでみてください。このコラムとは違った切り口で品質と品格が説明されており、ITエンジニアにとって必見の内容となっています!

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