地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

AI との付き合い方を考える時期

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 毎回毎回同じような書き出しで始めることをが続くと、自分が年を取ったことを自覚するのですが実際問題ひと月が終わるのは物凄く速い今日この頃です。今月はマイクロソフトの技術者向けイベントの Build が開催され、新しい話題が多く出てきたにもかかわらずそのように感じてしまうのは、やはり年を取ったからというのもありえそうです。

 今回のイベントでは、やはりというか AI にまつわる発表が非常に多く、多くの製品やサービスに AI が組み込まれていく内容でした。ここ最近は技術者向けだけではなく、一般ユーザー向けにも AI が提供されていくことも珍しくないことがあり、当然といえば当然の流れです。これからは、いかに AI を活用するかは当然向き合っていかなくてはいけない課題の一つになるでしょう。

 開発者側にいるのであれば、ある程度メジャーな AI サービスはすでにふれていることと思います。文章系に始まり画像系、音楽系、ありとあらゆるジャンルに AI が登場していますので、ふれることも非常に容易です。そしてその結果を見てまた驚くわけですが、一昔前からは考えられないほどよくできた結果を生成できています。よく内容を確認しなければ、それが人が作ったのか AI が作ったのかが判別しにくいレベルになるものすらあります。

 ですが開発者側にいる立場としては、AI を信じ切るのは非常に危険である、というのをもっと啓蒙しなくてはいけないとも感じています。今時点の AI サービスに共通しているのは、それらしいものを作成することに非常に秀でている、という点です。文章生成で言えば、学習のさせ方にもよりますが生成を行うたびに違う結果となることもまだまだ珍しくはありません。AI の学習に利用されているデータがインターネットに公開されている情報をメインにしているものであれば危険性はさらに高く、虚実が入り混じって生成されることが多いです。そのため、現時点では生成された結果を確認する作業が必ず必要となります。

 そういった状況を踏まえているのか、今回のイベントでも強調されていたマイクロソフトのスタンスは非常に納得のいくものでした。AI は Copilot、副操縦士的なポジションのものだという扱い方で、最終的な決定は AI を使う人間が行うものだという考え方です。これは現状の AI が提供できるものを考えると非常に適しています。

 もちろん将来的には Copilot ではなくなることも十分にあり得ます。将来的、と言っているものが来年あたりにいきなり登場することもないとは言えないのが、ここ最近の技術進化ではないでしょうか。

 今の時点で提供されているレベルでも、私が書くような文章よりはるかに練られたものを作成することは可能です。素人的な視線では判別つかないような形で、専門的な内容を扱う文章を用意することもできています。ですが、専門家が見ればおかしいと思える内容を混ぜてくる危険性があるように、AI に任せきりとするにはまだまだ不十分です。

 人が人に何かを任せるにはある程度、考え方の癖や性格などがわかっている必要があります。まだ人と AI の間にはそのような関係にはありません。もしかすると、AI の思考ロジックが目に見えるようになる時代が来ると、すべてを AI に任せることも可能になるのかもしれません。そこまで発展したときに慌てて AI と向き合っても、活用できるようになるには時間が必要です。そうなったときに慌てないためにも、今の時点から遊びでもよいので触っていくことが非常に重要なのだと感じます。

 

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