地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

わかっていてもできていない

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 システムの開発という世界では、それなりの年数もたっていることもありある程度体系だった知識や技術が揃っています。それらは過去の失敗を元に考えられたもので、いわゆる先人の知恵というものになるのですが、これらを何も言わずに身に着けられる人はどれくらいいるのでしょうか。

 簡単なところからだと、物を作るには要件をまとめ設計をし実際に作り上げた後でテストを行う。単品か複数かという違いによってはさらに複雑な工程を経ることがありますが、シンプルに言えばこのような流れになります。ごくごく当然な話でほとんどの開発で行っていることでしょう。ところが世の中にはまだまだこれらも実施できていない場面が、思っているよりも多く潜んでいます。

 インターネットの普及もあり、知識を身に着ける事自体は過去と比較しても非常に容易になっています。開発をするにあたり気にすべき内容など、多くの有用な記事やエントリは簡単に見つける事が可能です。しかしそれでも実際の場面で活用できていない人が多いのも、また本当の事ではないでしょうか。

 学生時代の勉強にも通じるところがあるかもしれませんが、知識を得るために色々やっていたとしても本番でそれを発揮できるとは限りません。運動もそうですがある程度の経験と知識が紐づいて、初めて効力を発揮するところがあります。ただし難しいのが、経験も同様に経験だけあったとしても上手くいかない事はあります。過去の実体験にとらわれ、今のご時世に見合わない事をしてしまった経験を持っている人もいるのではないでしょうか。

 このように考えていくと、知識も経験も単体ではうまく活用できず、双方揃って初めて有用になるのではないでしょうか。失敗を経験して初めて一人前になれる、という格言のようなものを聞かされた人も多いと思います。この格言らしきものもある種の経験談です。早いうちに失敗を経験しておくことで、将来に活用できるといった面もあります。

 ただ今のご時世では、その失敗を許さない風潮が強いというか、最初から最高の結果を求められることがあります。私が若い時よりも、今求められるものは厳しくなっているのを感じます。知っておくべき知識量も多いですし、確実に今の人たちは昔よりも求められる成果は厳しいです。そう考えると、あまりこちら側から若い世代に求めすぎるのも問題なのでしょう。

 しかしそうはいってもビジネスの世界です。求められる成果を出せなくてはいけません。さらには失敗する事がなかなか許されません。このような状況では、一体どのようにしていけばよいのでしょうか。それを考えていくのが先にこの業界に入っている私たちの責任なのだと思います。

 これだという正解はない話題です。こうすればいい、ああすればいいという話はたくさんありますが、どの場所でも通用するようなものでもありません。自分たちの環境に適した方法を見つけ出す必要があります。どのようにして失敗できる環境を整えるか、どのようにして経験値を溜める環境を作り出すか。今だけの問題でなく、将来続く問題でもありますので、常に何かしら考えて手を打っていきたいものです。

 今回この話を書いた理由ですが、詳しくは書けませんが最近携わっているお仕事でなかなか衝撃的な状況を見てしまったためだったりします。恐らく関わっている人たちの間では、頭の中でこういうことをしなければいけないとはわかっていたのでしょうけども、それが実行に移されていなかったのだろうと邪推しています。こういう状況を見てしまうと、もっと環境を整えることに注力しなければな、と改めて思う次第です。

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