地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

日頃触れないものに触れる事

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 ここ数か月は、業務の都合もあり日頃触れていないサービスと付き合う時間が増えているのですが、非常に新鮮な気持ちになると同時にいつも決まったものに触れているだけでは、今のご時世のエンジニアとしてはよくないのではないかという気持ちになっています。

 何か一つ武器を持つことでエンジニアとしての自信がつく、というのはあるのですが、実際に一つのものだけを触り続けていると簡単に世の中から取り残されていくのも普通に起こりうることです。これは関わっている分野や企業によってまちまちですが、スピードを求められている環境であればあるほど武器が一つではやっていけない状況になりやすいのではないでしょうか。

 皆さん承知の通り、今ご時世では色々な場面でスピード感を求められます。システムやソリューションを作り上げるのに許される時間は数年前と比較して非常に短縮されており、場合によっては半分以下の日数しか許されないこともあります。日数は短くなっても、求められるものは数年前以上のもの、となるのも珍しくはありません。

 ここのコラムでも何度か扱ったように、この流れの中ではエンジニアとして常にアンテナを張り巡らせておく必要があるのは避けられないところだと考えています。もっと言うと、エンジニアに限らずどのような職に就かれている場合であっても、アンテナをはりめぐらせて新しい情報を拾い続けないといけなくなっています。自分たちの業務で利用できるサービスが増えてきて、導入までの敷居が下がっているために自社でも AI を活用してみようとか、RPA で作業の自動化を行おうといったことも多く聞かれます。

 そう言った場合、周囲に知っている人間がいなければ失敗する確率が非常に高いのも皆さん承知の通りです。導入を決定できる立場にはなかなか関わることができず、導入されてから振り回される現場側の悲鳴や文句というのも非常によく聞こえるものです。自分たちが導入に関わっているのであれば、できるだけ文句の出ない形へと努力や調整を行うのであまりマイナスの面が見えにくくなります。ですがどうしても他人がやったものである以上、プラスよりもマイナスが大きく見えてしまいます。ここだけは技術がどうこうではなく、人としての性格が大きいので難しいところです。

 かといって何も知らない状態でいたのでは、マイナスばかりに気づくことになり非常にネガティブな気持ちとなってしまい、日々を過ごしにくくなってしまいます。マイナスをゼロにすることは難しいですが、多くのものに触れ色々なことを知ることで、マイナスよりもプラスの面に目を向けやすくなるのではないでしょうか。たとえ導入に至る場面で関わることができなくても、導入されたものをどう使うことが一番メリットを発揮しやすいかといった点では、そこまでで得た知識が大きく活用できます。そうすることで、当初は思いもしなかった成果につながることも十二分にあり得るのです。

 自分のようにある程度の年数をエンジニアとして過ごしてきたタイプの場合、そこまでの経験が邪魔をすることがあります。新しく登場したものはどうしても過去に似たようなものが存在していたことが多く、完全に聞いたこともないものと言うのは殆どありえません。これは過去にあったあれの焼き直しだな、といった感覚がすぐに頭に出てくることが多いですが、これはエンジニアにとってあまりよくない反応です。自分の知っている範囲で物事を判断してしまい、現物に触れることなくダメ出しをしてしまうのは何もメリットがありません。

 新しいものに触れていないと、どうしてもそこまでの知識と経験に頼ってしまいがちです。それを完全に悪いこととは言えませんが、デメリットがでやすいものである一面もあります。もしかすると、自分のこれまでの経験と知識では思いつかない使い方を求められることもあるのです。そういった場面はきっと今後はますます増えてくることでしょう。

 とりあえず色々なものに触れてみて新しい情報を仕入れることで、エンジニアとしての底上げができるのではないでしょうか。一つのものを極めていく道も確かにありますが、その道で通用するのはかなり少数の人に限られてしまうのが実情です。自分のようなよくいるエンジニアなタイプであれば、極める分野についてあくまでもは趣味としてしまい割り切ることも必要ではないでしょうか。エンジニアとして仕事に自信が持てるようになるためにも、多くのものに触れていくことが重要なのだと思います。それは年齢に関わらずエンジニアである以上求められていくことなのだと、私は考えています。
 

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