ノーコードやローコードとかよりも重要なこと
個人的にはノーコードやローコードといった分野が好きなこともあり、この界隈の情報を色々と集めて勉強したり参考にしたりとしています。その中で感じることがあるのですがが、今年に入ってからが特に、自分が考えていたノーコードやローコードとは違う方向へ進む人や企業も出てきたと思うのです。当初はプログラムが必要だった領域でコードが不要か少量のコードで同様のことができる、だったのですが最近では単純にプログラムを必要としないものを、すべてローコードやノーコードと説明しているところもあるくらいです。
同じ言葉を使っていてもその人その人の考え方な問題ですし、言葉の定義も時代に沿って変わっていくことはあるとは思います。そのため「こうでなくてはならない」と言う気はありません。あくまでも私個人が納得いかないだけです。エンドユーザー側で開発を行う世界をしばらく追いかけていたこともあり、仮にこれが今の世の中の流れだったとしてもそうそう簡単に納得できるものではありません。
私の昔のコラムでも扱った .NET Workflow Foundation、今では著名な RPA 製品の UiPath に採用されていることもあり、日の目を見ずに終わったと思っていたものもそれなりな市民権を得た気がしています。この WF と行うこともいうプロダクト、紆余曲折というか現在進行形でも色々とあるのですが、デザイナー上でパーツを組み合わせてやりたいことを実現する世界というのは、ノーコードやローコードの一つの回答だと考えています。世の中に数多く存在する各種ツールも、ほとんどはこの点を踏まえたうえでのツールとなっているものが多いです。
このように書いていて少し思ったのですが、何をコードと考えるか、この点が人によって非常に様々なのが現在の状況を招いているのかも知れません。私はプログラムを書いて開発をしていますので、コードと言われるとプログラミングコードを想像します。それこそ VB.NET や C#、Python や JavaScript といったプログラム言語を利用しているのが前提条件として考えています。私の考えよりも広範囲のものをローコード・ノーコードと言う人達は、このコードと言われるものがもっと幅広く感じているのかもしれません。
例えば自分の中では HTML はプログラム言語ではありません。マークアップ言語に分類されるものなので、言語とだけ言うならば含んでも良いかもしれませんが、ノーコード・ローコードを話す文脈上では該当しないと考えています。CSS も同様に、プログラム言語ではないと考えます。ですが、HTML や CSS をプログラム言語として考えると、その記述を行わずにデザイナー上で組み合わせて物作りを行えるサービスやシステムはノーコード・ローコードなシステム・サービスと言ってしまえるのでしょう。
このような感じで物事の捉え方を見直してみると、想定していない状況であってもある程度の考え方が見えてきます。自分の考え方と何が違っているのか、どう考えると違う考え方に至るのか、このようなところへ思考をめぐらせてみるとさらに理解が進むのではないでしょうか。
最初にも書きましたが、私個人の考えとして、今のなんでもかんでもノーコード・ローコードと呼んでいる現状は何か間違っていると思っています。個人個人の考え方の違いもありますが、各種メディア上でも非常になんでもありな状況です。特に最近はこの分野が話題になりやすいこともあり、メディア上の記事として取り扱われることも非常に増えています。「ノーコードで〇〇を行うサービス!」といった見出しの記事を目にすることも多く、その都度「いや、それコード関係ねぇじゃん」と感じてしまいます。この世界を追いかけている人間からすると、話題に取り上げられること自体は非常に嬉しいのですが、考え方の違う取り扱い方をされていると非常にもやもやしてしまうのです。
あくまでも個人の考え、という前提をしつこいくらいに置きますが、どこかで統一的な定義を用意できればよいな、と考えることもあります。実際には大手メーカー側で統一した世界観を作り上げられればベターだと思うので、メーカー側で「これはノーコード・ローコードです」「これはノーコード・ローコードではありません」と謳ってくれるといいなぁと思ってしまいます。メーカー側で名言してくれれば、ユーザーやメディアで勘違いすることもなくなりますし、いつかは統一した考え方へとつながります。ぜひどこかのメーカーが、先陣切って発言してもらいたいものです。
このようにツールの定義とでも言える部分であれこれ思うことはありますが、便利だと思えば利用すればよいですし、不便だと思えば利用しなければいいだけのことだったりもします。そのツールやサービスが、ノーコードやローコードである必要はないのではないでしょうか。
コメント
こぼ八
その昔はやった「虫歯になりにくい***」というのを思い出しました。
なんでもかんでもそう言いたいだけみたいな状況になり、それをくさして
「大気汚染の原因になりにくいナス」とか関係ない物を羅列していた
4コマ漫画があり、笑っていたなぁ。
ちゃとらん
なるほど、面白い視点です。
『あくまでも個人の考え』ですが、ノン・コーディングならプログラム言語限定でよいと思いますが、ノーコードのコードとは、(体系だった)符号、記号、規約、規則・・・なので、HTMLも、コードの一種だという認識です。
ただし、Wifiとか、bluetoothをノーコードとは呼ばないで欲しいですね。
山無駄
ソフトウェア開発会社に勤めているのですが、ソフトウェアとは全く関係ない
親企業から天下ってきた社長がノーコード開発ツールを導入しようとして、現
場がパニックに陥ったことがあります。企業のラインユーザが専門技術をもた
なくても直感的に、短期かつ低コストでITツールを手に入れることができれば
当然、競争力は向上します。そのようなニーズがあるのはわかるのですが、ソ
フトウェアの開発を生業としている我々が何のために?社員は全員クビか?と。
Ahfさんが書かれてある通り、ノーコードやローコードの定義が曖昧でバズワ
ード化しているころが、まだこの分野が未成熟であることの証左だと感じます。
例えば、ラインユーザからするとCやJavaはプログラム言語だけど、HTMLは
違うという理屈はわかりません。それが何なのかも知らないのですから。そん
な人たちでも本当に使えるツールやプラットフォームが実現すれば、それはそ
れで素晴らしいことだと思います。その時は、我々は廃業かもしれませんが。
やいち
ノーコードなどは単なるDSLの一種でしかないと思うんですけどね。
RPAといい、ノーコードといい、目先の表面的な問題しか解決できないのに銀の弾丸であるかのようにマーケティングされるのはいつの時代も変わりませんね。
nuge1631
メーカー側で「名言」してくれれば、ユーザーやメディアで勘違いすることもなくなりますし、いつかは統一した考え方へとつながります。
「名言」は誤用で、正しくは「明言」でしょう。
おたみ
バズワード化している嫌いは確かにありますね>ノーコード/ローコード。
夢を見させることが売り上げにつながる方にとっては魅力的な単語です(笑)。