地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

責任の取り方

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 世の中でたまに聞く言葉に「責任が取れるか」という言葉があります。よく偉い人からこういうことが起きた場合に、お前は責任が取れるのか、と言われるシーンがあるのですが、実際に何かしらの責任をどう取らせようとしているのかは非常に謎に包まれています。これが会社間での話となれば、金銭の保証という明確な責任の取り方があるのですが、勤め人である身分に対しては、どのような責任の取り方があるというのでしょう。

 よくあるのは責任を取って退職する、という方法だと思われます。しかしこれはよく考えると、何も責任を取っているのではなくその場から退避しただけにすぎません。むしろこのような形で、問題を起こした場から離れられるのは幸せになるとさえ思えます。そのツケは現場に残っている人達に降り注がれるのですが、それすらも離れた人間には何も影響を与えません。

 会社側としても責任を取るから退職する、という行動をとられることにはあまりメリットを見いだせないような気がします。相手に対して悪印象を持たれているような場合など、対外的には効果があるケースもありますが、退職することで好転するケースの方がむしろ少数にも思えます。

 これらを踏まえて考えると、やはり責任を取って退職する方法というのは、勤め人にはほとんど意味がないのではないでしょうか。社内で検討していてそのように言われたとして、それは一体何を表しているのでしょう。

 個人的に思うのは、まず問題があった場合会社として責任が取れない、言い換えると相手にペナルティを支払うのが難しい場面です。ですが、仮にそういった場面だと考えると、そのセリフを言っていいのは上層部の人間だけが可能であり、そうでない人間が口にするのは何かおかしいように思えます。現場の1マネージャがそこまで判断できるか、と言われればほとんどの場合で判断できないのではないでしょうか。大きい企業ならなおさらのことです。小さい企業であれば、マネージャといっても十分に会社の状況を把握することはありますし、上層部とよく話をすることも多いので、全く無いとは言いません。この理由であれば、まだ責任が取れるかと言われても理解できるところです。

 このケースを除いて考えると、どうも責任をとれるかと質問する側の資質な問題ではないかと思えてくるほど、勤め人側で採れる責任というのはほとんど何も思いつきません。言っていることを理解できないがなんだか反対しておくのがよさそうだ、そのような場面では責任という言葉が大いに役立ちます。何しろ言われた側にとって、そういわれてもどうすることもできない話題になるからです。言い換えると相手を封じ込めるために、責任、という言葉を使っていることが考えられます。

 私もそれなりに長い年月エンジニアとして働いてきていますが、それだけ働いていても責任の取り方という物は一向にわかりません。退職することがそうだ、と言われればそうしますが、個人的には問題が起きたら随時解決していきある程度落ち着くまで付き合っていく、という事こそがエンジニアの責任の取り方だと考えています。一部のケースを除き、退職することは何ら責任を取っていないというのが、自分なりの考え方です。

 私たち現場のエンジニアにできるのは、ユーザーの利益になるよう問題を解決していくことです。それを長い期間かけてでも対応していくことが、一つの責任を取る姿なのだと思います。それを封じ込めるような言い回しには、あまり理解できるものではありません。

 このように考えると、もし仕事の場で責任が取れるのか、と聞かれた場合、それはどういった形を考えているのか聞いてみるのも一つの手だと思えます。広く意味合いが想像できてしまう言葉ではなく、もっと簡潔に伝わる言葉で説明してもらうことで、もしかすると今まで私が想像できていなかったものが見えてくるのかも知れません。エンジニアなので曖昧なまま進めていった場合に限って良くないことが起きる、というのは残念ながら体に染みついているところがあります。それを防ぐためにも、何を求めているのかをはっきりとさせておくのは必要なのではないでしょうか。

 もしそう質問した場合に明確な答えが得られなかったとしたら。残念ながらそれを口にしている人に問題がある、と思わざるを得ません。そういう場面にならないよう、祈っておきたいところです。

Comment(3)

コメント

匿名

昔のドラマ(織田裕二かな?)の、「責任は取るものではない、果たすものだ」というセリフが心に残っています。
今の仕事の姿勢に少しは影響してるかな。。。

面白い記事です

上司の役職は対外的な交渉のためにあるようなもの。何かあった時に交渉できなそうにないことがあれば、ブレーキを踏むのも上司の仕事の1つ。でも、部下に責任を取るような迫るような上司は、最低な上司。そこは見極めないと。

Ahf

コメントありがとうございます。

自分としては最後まで貫き通す姿勢でやっていきたいと思っていますので、できうる限りはそれを貫いていきたいと思っています。何かの間違いで部下を持つようになったとしたらなおさら・・・。

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