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【書評】日本でいちばんわかりやすいプログラミングのドリル

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 エンジニアライフでも書き続けられている高橋さんの新しい書籍、「日本でいちばんわかりやすいプログラミングのドリル」を献本いただけましたので、僭越ながら書評など書かせていただきます。

個人的には、物理本としてこの出版方法を採用しているのは初めて見たので、非常に斬新な気持ちで読ませていただき、内容についても色々と考える点があり、楽しませてもらいました。ありがとうございます。

■これは開発者に向けている本?

書籍名にもあるように、これは「わかりやすいドリル」です。ここだけ見ると、実開発に使えるようにも思えますが、この本がベースにしているのは「仮想言語を用いたプログラムについての説明」です。敢えて既存の言語を用いなかったあたり、まだ入り口に立っていない人でも読み解くことができる内容、書き方となっています。反面、既に何かしらのプログラムを書くことができる人には向いていませんが、これはこの本がそういった人たちを対象にしていないから、と感じました。


■プログラムの書き方を鍛える?

私達のように、日頃から開発に携わっている人間でも、最初からプログラムを書けていたわけではありません。自分の場合はパソコンで BASIC を触ったことから始めたのですが、その時の自分を思い出していました。もしその時に、この本があったらどう変わったかな、と考えてみると「最初の一歩から数歩」くらいをスムーズに進むことができたかな、と思います。最初の頃というのは非常に難しい時期でもあり、ここでうまく進むことができないと簡単に手放してしまいます。その最初の一歩を手助けするには、このような本が有用なのではないでしょうか。
 というように、使うべきシーンは最初の最初ですので、書き方を鍛えるような類ではありません。プログラムはこういうものなんだ、というのを掴むためとでもいいましょうか。


■この業界に関わる人に役立つか

この業界、と幅を広げた時には役立つ場面は多いかもしれません。というのも、同じ業界にいても開発側に属していない人には、プログラムというのがどういったものかがイメージしにくく、物を作り上げることの難しさ、手を入れることの難しさが感覚的につかめていない人も多いです。そういった人にとってこの本は、開発の人はこういうものを相手にしているのか、と掴むことができるのではないでしょうか。相手のことを理解しあう最初の一歩としても、この本は有用かもしれないと感じました。


■もう一つの使い方

恐らく日頃開発に関わっている方であれば、この本が書いている事は瞬時に理解できると思います。これは、こういう伝え方をすれば開発を知らない相手でも伝わる可能性が高い、というところでもあります。誰かに開発を教える時、どのようにかみ砕いて相手に伝えるか、その手助けになるかもしれません。


 あえて独自言語を利用していると言っても、その構文は BASIC ライクで非常に理解しやすいものを採用しています。経験者には昔を懐かしむ、未経験者は入り口に立つために、一度目を通しているのもいいのではないでしょうか。

Comment(1)

コメント

キャリアコンサルタント高橋

Ahfさん、


書評ありがとうございます!


楽しんでお読みいただいたとのことで、嬉しかったです♪


この本は明確なターゲット層がありまして、「一般のプログラミング入門書を難しく感じる人」向けに書いております。言いかたを変えるならば、読者さんと一般のプログラミング入門書を繋ぐ役割を担うことができればと考えております。その意味では、


> 「最初の一歩から数歩」くらいをスムーズに進むことができたかな


こうおっしゃっていただけるのが何よりの誉め言葉です。ありがとうございます!


また、Ahfさんが仰るようにこの本はBASICをベース言語仕様をつくり上げました。ただ、これをBASIC準拠にしなかったのは、


・特定の言語にしてしまうと、言語ありきで読者さんが見てしまうため、間口を狭めてしまう
・将来その言語が使われなくなった場合、この本の価値もなくなってしまう


という2つの可能性を想定したからです。
BASICは教育用としては優れている反面、古い言語でもあるのでそのままでは使い勝手が悪い部分があるように思います。そのため、この本では学ぶことに特化させた言語仕様にしています。。。

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