地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

裁量のない裁量労働

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 最近は裁量労働制についての話題で賑わっていますが、ニュースを目にする人たちの中で本当の意味での裁量労働を行えている人は、果たしてどれくらいいるのだろうと疑問に感じてしまいます。

 残念ながら、世の中のほとんどの企業が裁量労働制を、本来の目的とは異なった形で利用していると言っていいでしょう。俗にいう、働かせホーダイ的に、残業代カットのために利用しているところも非常に多いです。形だけ裁量を与えたことにし、実際には何も裁量がない状態で勤務させることで企業は本来払うべき残業代を払わずに済んでいるのです。プログラムの設計や開発を行っているのに裁量労働制、としているのはその最たるものでしょう。

 この話の残念なところは、自社は正しく採用労働を適用している、という話よりも適用していないという話ばかりが聞こえてくることでしょう。世の中の企業が、都合よく解釈した形で利用しているのです。古くからの企業、新しい企業関わりなく、正しい姿を見ないようにしているケースが多いです。

 こう見ると労働者側に不利な話題でしかなく人によっては、そのような企業を相手にせず転職すればいい、と言う方も多いです。実際その通りなのですが、環境や性格によってはそれもまた難しい点が多いのも事実です。

 そうなると働く側に不利な話題ばかりと思われますが、意外とそうでもなかったりします。というのも、現在進行形で労働局は査察を行っており、実態に合わない裁量労働制を利用していた場合、改善指導を実施しています。私の周りでも、査察され指導されたために裁量労働制を撤廃した、という話が聞こえています。このように、指摘を受けて改善したのであれば、その企業はまだまだ良い企業なのだと感じます。 
 
 労働者であるなら、労働基準法に一度は目を通しておくとよいかと思います。先の例では上手く改善されたケースですが、まだまだ適用できていないケースは存在しています。それももしかすると、何かしらの改善ができるかもしれませんので、働く側の知識として所持している必要があるのではないでしょうか。

 私も人のことはあまり言えませんが、法律となるとなかなか理解することが難しく、専門的に勉強されている方や、職業として法に触れる方でなければなかなか身に着けることが難しいと思っています。そのせいもあってか、現状をおかしいと思っていても何かしら行動を起こすことが難しい面はある、そうも感じます。

 特に小さい企業に勤めている場合、わかってはいてもこのような法の適用が難しい事が多いです。労使協定なにそれ、としている企業もまだまだ多いです。厳密にはこれは違法な状態なのですが、そこに目を瞑っている企業も本当にたくさん存在します。36協定だって、知らされていない環境もたくさん存在しているのです。

 会社側が自らここを改善しよう、というのは断言してもいいですがほぼほぼ起こり得ません。これについては、そこで働く労働者や労働局などの外部から何かしらアクションを起こされなければ、企業としては対応せずに現状を維持するだけです。このような現状では、やはり私達の側が対応できるだけの知識を身に着けるのが、まず最初の段階として必要なのだと思います。

 こういうものだ、と思っていることが実際には違法な状態というのは残念ながら良くあります。自分の状況に何か違和感を感じた時、しっかり調べてみることも大事です。この類の話題は、企業が社員に教えるようなことはありません。あくまでも自分がどうにかしないといけないところなのです。

 制度としての裁量労働は、私としてはそれほど悪いものだとは思っていません。適用できないと思いつつも、それを適用する企業側が問題なのであり制度それ自体はそこまで悪いものではありません。本当に適用できるなら、むしろ労働側にとってメリットのある制度だと思います。今後どのような展開を迎えるかはわかりませんが、できる限り良い方向へと進むよう、こちらとしても知識を身に着けていきたいと感じます。

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