地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

どこを見て仕事をしているか

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 ある程度規模が大きい会社に関わっていると、何かしらの仕事を行う際でも、実際のユーザーに関わることが全くないというのも珍しくありません。表に出るのは営業職な方と一部の管理職の方に限られ、エンジニアな立場の場合は車内にこもってものづくりを続ける状態というのは、非常によくあります。

 私は最初に努めた会社が、それほど大きい規模ではない、それこそ中小企業の小の側に位置するような会社でしたので、社内にこもりっぱなしということは全くなく、半分は実際のユーザーや納品先のところへ足を運んでいたりしていました。今になって思うとこの経験は有益だった、と思えるのです。

 現場を知っている、実際の顧客を知っていると、多くの場面でプラスに働くことがあります。目的を持って作成するシステムには、対象となる顧客というのが設定されるのですが、そこをイメージできることは非常に大きなメリットです。どのような人が使うかわからないと、ただ言われたままに物を組み上げるしかできず、それが果たして良いことなのかどうかも判断できません。

 規模の大きい企業となると、エンジニアが見ているのは顧客ではなく自社内、いかに社内で問題なく済ませるかという点に注力しているエンジニアの姿を、場所によってはよく見かけます。利用者のことを考えずに、こうしないと社内で問題になる、とズレた視点で物事を考えてしまっているのです。そして非常に問題なのは、そのように考えることが当然と信じ込んでいる人がかなり多い、ということではないでしょうか。

 この部分は○○部門の領域だからこっちからどうこうすることはない、あっちの部門はあっちの部門で任せよう、そのように同じ社内であっても自分の属する部門が不利にならないように知恵を絞っているのです。その結果、たとえ顧客から厳しい言葉を言われたとしても、自分たちの責任ではないと本気で信じ込んでいます。自分が属する会社としては悪い結果だったが自分たちの部署にはよい結果だった、会社として悪い結果であれば自分たちにとっても悪い結果なのですが、このように目を逸らしていることも多いのです。

 こういった人たちというのは、大きい会社ほど多数発生します。様々な要因やここに至るまでの長い経緯が、こうした状況を作り上げているのでしょうが、それにしてもおかしな状態です。本当であれば、顧客を主体に考えなくてはならないのですが、自分たちを主体においてしまっているのです。言い換えると、どうすれば良いものを提供できるか、ではなくどうすれば自分たちが思うようにものづくりができるか、と考えているのです。

 あまりに短納期であったり価格に見合わない要求であったり、当然守らなくてはいけないラインは存在します。それであっても、本当に叶えることはできないかは考えることは必要であり、考えることなくできないとしてしまうことは、顧客にも自分たちにとっても良いことではありません。

 小さい規模の会社であれば、このような場面でも多少は横に連携することも実施しやすいのですが、一定以上の規模となると全くと行っていいほど横に連携することは叶いません。よほど特異な人たちが集まりでもしない限りは、基本的に独立したパーツがまとまっているだけで、連携のれの字もないのです。

 そちらの部の問題ですから私たちにはどうすることもできません、と言って困っている同じ会社の人間に手を差し伸べないのは簡単です。ですが、そうすることで悪い結果を招きやすくしているというのも、頭の片隅においておく必要があるでしょう。誰かを見捨てるということは、自分たちも見捨てられる場面がいつか巡ってくることにほかなりません。そうした時に、どこからも助け舟が来ないのであれば、これまで自分たちがやってきた行動が招いた当然の結果でしか無いのではないでしょうか。

 そうは言っても社内の事情が......、といつまでも言うのであれば、悪い結果となることも受け入れるしかありません。その結果を避けたいと思うのなら、今までとは違う行動をしてみるのが良いのではないでしょうか。社内ではなく、顧客を見て物事を考えていくのが本来であれば基本中の基本なのだと思います。

Comment(2)

コメント

ハルキナ

完全に同意見の内容でした。
私自身が「顧客ではなく自社内、いかに社内で問題なく済ませる」エンジニアに当て嵌まっていて、気づきを得られる良い機会を得られました。

匿名

車内にこもりたくはありません。

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