お気楽“IT系女子”の日常を徒然と綴ります。

「@ITドラマ 残業課長」スピンオフコラム『久実チヨの華麗なる遍歴』(2):へっぽこなお引越し

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T_kumi

「お互いに“相手がやるだろう”と思い込んでいたのが失敗だったのよね」――2009年9月19日~23日 毎日夜20時 O.A! これは「@ITドラマ 残業課長シリーズ」に登場したマドンナ(?)久実チヨの、知られざる過去と素顔について描く、魅惑の物語である!

◆ ◇ ◆

 こんにちは。久実チヨです。

 今日は、大阪事業所から田所所長が来ています。わたしが「新人」を卒業し、1人で仕事を任され始めた頃、とてもお世話になった方です。あれは、当時の出向先企業(以下、仮名A社)の、情報セキュリティ室(仮名)っていうところに所属していて、A社の大阪営業所のお引っ越しを仕切ることになった、25歳の時のこと……。

 「あぁ、その時の久実は、かなり戸惑ってたなぁ。見てておもろかった」

 と、田所さん。そうそう。A社情報セキュリティ室の、B室長が開発案件で超多忙だったから、わたしが代わりに担当することに。内容は、A社の大阪営業所がテナントとして入っているビルで、改修工事が行われることになり、3階と4階にある大阪営業所の一部を、7階と8階へ引っ越しさせ、工事終了後にまた戻すというもの。

 A社大阪営業所は1階から4階まで。移動対象になった階は社員研修用のPCルームで、PCは2フロア全部で100台ぐらい。1階のサーバラックに基幹スイッチがあり、そこからUTPケーブルが室内配管を通って3階と4階の中継BOXへ行って、室内へ展開されています。

 なので、工事日に3階と4階へ伸びるLANケーブルを基幹スイッチから外し、7階と8階への仮設用ケーブルを同じポートに挿して、屋外から上へ通すだけの、全体としては決して複雑ではない作業です。工事が済んだら、仮設ケーブルを撤去して元のケーブルを、元のポートに挿すだけ。

 初回打ち合わせのため、大阪へ出張しました。工事業者さん、A社大阪営業所のC所長、テナントビルのオーナーさんと担当者さん達と打ち合わせ。実際は、すでに決まったことを説明される場でした。

 C所長も、業務への影響が考慮された日程や計画だから、特に問題ないって言っておられたし、何となく押し切られるような形で、引っ越し計画に同意するような感じに……。C所長が、「とにかく、業務へ影響が出ないよう、最大限の努力をして下さい」と、工事業者さんとテナントビルのオーナーさんに繰り返し、言っておられたのが印象に残りました。

 東京へ戻り、B室長から工事の立会いや作業について、責任の分岐点の確認やら、作業工程表を出さなどなど、次々と詳細を問いただされ、戸惑う日々。今だったら、そういったことは当たり前のように押えておくんだけど、その時は全然わかってなくてオロオロしてたなぁ。

 わたしが、結果的に業者さんに言われるがまま後手に回ってしまったことや、上記についてちょっと曖昧だったのでB室長からは叱られてしまいましたが、お引っ越し自体は特に問題もなく、日程通りに実行。わたしは、立会のために出張することに。その時、動作検証要員をお願いするため、田所所長のお世話になりました。

 「急な要請でウチから人を出してくれって言われて大変やったなぁ」

 はい、返す言葉もございません……。わたしがもっと最初の段階でお願いしておかなかったからです。自分ひとりで作業できるって考えてました。

 「お前、ドンブリ勘定なヤツやったもんなぁ(笑)。アカンで、直さな」

 はい、返す言葉もございません……。が、ここで問題発生その1。引っ越した先のフロアで、PCの設置やUTPケーブルの配線作業も終わっていると思っていたのに、パソコンが机の上に置いてあるだけ!そうです。本当に恥ずかしい話ですが、わたしと業者さんとの行き違いその1です。お互いにこのように思い込んでいたのですね。

  • 久実:引っ越し作業=設置まで含まれている
  • 業者:引っ越し作業=物を移動させる(だけ)

 「段取り悪いなぁー、お前(笑)」

 はい、返す言葉もございません……。B室長に報告し、PCの起動やログイン確認だけのつもりで来てくれた、わが社大阪事業所のメンバーに謝罪して、一緒に配線と設置を行いました。田所さんも急きょ、駆けつけて下さり、何とか終了。さすがに動作確認まではできず、翌日に作業を持ち越しました。

 さて、気を取り直して翌日。作業前の打ち合わせを終え、何気なく7階の非常階段から外へ出てみたら、なんと! フツーの室内用UTPケーブルが、むき出しのまま、遥か下から壁伝いに上がって来てプラーンって揺れてるー!!

 ……はい、ここでまた恥ずかしいわたしのミス発覚。業者さんとの行き違いその2です。お互いにこのように思い込んでいたのですね。

  • 久実:仮設用ケーブル=外を通すんだから当然、屋外用のシールドケーブルを使用してくれるんだろう。
  • 業者:仮設用ケーブル=だって、仮設なんだし簡単で良いじゃん。3か月もすれば撤去でしょ?

 「ま、確認せんかった、お前が悪いな。かなりお粗末な感じやな」

 はい、返す言葉もございません…………。わたし、そのまま身投げしたくなりました。

 B室長とC所長に報告。即座に作業を中止し、工事担当者とC所長とわたしで緊急ミーティング。事前に突っ込んで確認しておかなかったので、確実にわたしのミスなのですが、工事業者の「どうせ仮設だから、あれで十分だと思って……」の一言にブチギレたC所長。

 「僕は『業務へ影響が出ないよう、最大限の努力をして下さい』と、お伝えしたはずです。これは最大限の努力ではない! 素人の僕でも、たとえば、鳥が来てつついて線が切れたら大変だ、とか起こりうるトラブルが想像できますよ!」

 と、担当者を睨み付ける。結局、鉄パイプの配管を設置してもらい、ケーブルはその中を通してもらうことで決着。

 C所長は、わたしを庇って下さったけど、B室長からはお説教。通常業務もあるのに、何度も出張させられないということで、LANの再仮設工事の立会と動作確認は、わが社大阪事業所にお願いすることに……。単に業者がUTPケーブルを指し直すのを横で見てるだけ、という超つまらない作業のために、田所所長が出動して下さることに……。本当に、申し訳ございませんでした。😔

 「まぁ、エェって。お前もまだ若くて仕切るの慣れてへんかったし、それ以前にB室長がそもそもお前に丸投げ状態だったのもアカンと言えば、アカンしな」

 結局、田所所長のおかげで無事にお引っ越し作業は終了となり、わたしは用事で大阪へ出張するたびに田所所長へのご挨拶は欠かしません。

 「せやけど、飲みに連れて行ってやって、結局オレが払ってるから、相変わらずオレが世話してることになるなぁ」

 はい、返す言葉もございません…………(笑)。

◆◇◆ 田所メモ ◆◇◆

 仕事ではな、「言ったつもり」とか、「これぐらい言わなくても分かってくれるだろう」は通用せぇへんで。業者さんは基本的に「言ったことしかやってくれへん」もんやし、ある意味では、「言ったことを完璧にやってくれたら御の字」やと思わなあかん。気ぃ使え言うても、勝手なことしたら「余計なことするな」ってお客さんに怒られるやんか。当たり前や。まぁ、それぐらいビジネスパーソンやったら分かってると思うけどな。でも、実際に分かってなかった奴(=久実)が、おるからなぁ……(苦笑)。

 会議で報告する時も、何かを決める時も、、大体こういうことがおさえられてたら安心や。上司にもあんまり突っ込まれへんで。ま、決裁権がある/ないとか、自分の役職や立場によっては全部決める必要はないかもしれへんけどな。

  1. 誰が?=who
  2. 誰の?=Whose
  3. 誰を、誰に?=Whom
  4. 何に対して?=whith
  5. どの部分を?=where
  6. いつ?=when
  7. 何をするの?=what
  8. 他に何か?=What else
  9. どんな方法で?=How
  10. どこまでの範囲を?=How far
  11. 所要時間は?=How many time
  12. 何人でやる?=How many porple
  13. いくらでやる?=How match

 俺の持論では、5W1Hでは足りひんから増やしてみた。ちょっとHow farはこじつけ気味やけど、まぁ、気にすんな。要するに、責任の及ぶ範囲はどこまでか、ってことや。

 久実は、最初は「仕切る」ってことがどういうことか、全然分かってへんし、後手に回ってドン臭い奴やったけど、これを教えてからはちょっとずつできるようになったみたいやな。今ではスケジュールの作成だの、作業の段取りだの、お手のもんや。俺の教育のおかげやなー。😃

次回予告:

「な、何だって!? ソイツをわたしに殴らせろっ!」

「チヨが熱くなってどーすんのよ(笑)」

次回、「女子会しましょ!」2009年9月21日(月)、20:00放送!

Comment(9)

コメント

インドリ

1日2本あるから楽しいです♪
ネットワークの移動って結構色々あるんですよね・・・
若い時に対応できなくても仕方がありません。
それにしても次回が気になる。
次回予告が面白いです。

> 業者さんは基本的に「言ったことしかやってくれへん」
これ、どんな世界の仕事でも基本原則で、でも慣れないうちは気付きにくいことですよね。
13個のリスト、いわれてみれば当たり前ですが、常に意識したいですね。
そして確かに、次回予告が何事www

組長

インドリさま

そうそう。コラムでは、単純な部分を書きましたが、意外といろいろあってバックアップ用のISDN回線だの、VPN回線だの、実はこの最中にサーバが1台壊れたり、IPが被ってるわけでもないのに、サーバが「IP被ってまっせー」っていうなぞのログを吐いてたり、非常にややこしかったのです。


みねさま

私の憧れの上司がおられ、その人が伝授してくれたのが田所メモに書いている13カ条です。でも、「6W8H」だったような気がするので最後のHが何かずっと思いだそうとしてたんですが、思い出せませんでした・・・。

ふふふー。次回もお楽しみにっ。あー、早くネタばらしコメントを出したい!笑
最終回の後までのお楽しみです。

ビガー

ビガーです。おはようございます。

連休での更新お疲れさまでございます。(更新自体は@ITさんお疲れさまです)

Whyがないみたいですね。Why/What/Who(m)/Howの3W1Hくらいがちょうどいいと最近思います。HをWに置き換えてブレークダウンしていって最後のHowでスコープやら費用やらなんやらを考えています。あんまり項目数(6W8Hなど)増やしすぎると纏めづらくならないかな?

スピンオフ用の画像は、お手製なんでしょうか。きれいです。

組長

>ビガーさん
あ!whyを忘れてました!重要なのにー。
後は、How often ですね。これも忘れてました。

多いと大変なんですが、私のようなペーペーは全部決めることは、まず起こらないですが、でも、確かに項目多いかも。笑

開発案件を扱ったことがないので分からないのですが、これを私に教えてくれた上司は運用、保守、監査の案件を扱うことが多かったようなので、これぐらい細かく詰めたがる人だったのかもしれません。

画像は、私がイメージを伝えて作って下さった金武さんのお手製です★

組長

<第2回ネタばれ>
これも、そのうちコラム化しようとしていた、25歳の時に遭遇した経験を元に書いています。田所メモに書いた13カ条は、ビガーさんへのコメントに書いたとおり、後2つ忘れてまして、whyと、How oftenもあります。これは、私が憧れていた同じ会社の人から伝授されたことを書いています。

田所氏は、そのまんま、コラムニストの田所稲造さんにご登場いただきました。

おはこんばんちは。登場人物です(苦笑)良い役に抜擢されて、幸せです。僕は、たとえ「SFじみたあり得ない仕様書」でも、黙々とインフラ構築にいそしんできました。今度からは、「SFみたいなもん、持ってくんなー」と言うことにします。精神衛生のために(笑)

あ、「BSハタチに思うこと」をアップしました。次は、本気でインフラ構築について蘊蓄を傾けたいと思って準備中です。他のコラムニストになめられないように。

……しかし、いつの間に連ドラ(笑)

追伸:WANケーブルは、1階札止めではなく、きちんとフロアまで配線するように手配すること。(by所長)

追伸:そうだ、思い出した!! 「MDF荷札」だったー!!

では~。

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