「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

効率なんてクソクラエ

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 Anubisさんのコラム「業務効率と空洞化」、いいことを言っているなあ。と感心しているabekkanさんのコラム「効率化に必要なのは休日のイベントだ~24時間戦えません」、いいことを言っているなあ。

 どちらもホントに「そうそう!」とうなずける内容だ。

■効率ってなんだ?

 というわけで、わたしも効率についてちょっと考えてみた。まずは試みに「効率」を辞書で調べてみよう。

  • 「機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。」(大辞泉)
  • 「機械作業などをする際に、その仕事量とそれを行うのに要したエネルギー量との比。」(大辞林)

 なるほど。会社の歯車的アトモスフィアがプンプンと匂ってくる。

 さすがに最近は、あからさまに24時間働くことを美徳として奨励するような会社はほとんど姿を消した。しかし、少なくとも定時間内の稼働率を限りなく100%に近づけようとするときに、多くの会社で「もっと効率的に!」という呪文が唱えられる。

■歯車にだって遊びは必要

 しかし、隙間なくぎっしりと仕事を詰め込めば円滑に会社の歯車が機能するかというと、そんなに単純な話ではない。本物の機械ですら、あまり隙間がないと熱や湿度の影響で素材が膨張や変形をして破損してしまう。だからそれを避けるために「あそび」を設けているのだ。同じように、会社の歯車にだって「あそび」は必要なのだ。

 先ほどの辞書の定義をもう一度振り返ってみると、結局のところ効率とは「量」の話なのだ。一定の量の中で、どれだけロスなく働かせるかという視点だ。だから、いくら効率化を進めても人は楽にならない。

 ではどうすればいいだろう。

■視点を変えてみる

 「効率」と響きが似た言葉に「効果」というものがある。しかし実はこのふたつは、まったく意味が違う。それを確かめるために、こちらも辞書で調べてみよう。

  • 「ある働きかけによって現れる、望ましい結果。」(大辞泉)
  • 「ある行為の、目的にかなった結果。」(大辞林)

 どうだろう。明らかに求めているベクトルが「効率」とは違うことが分かるのではないだろうか。目的をかなえる結果、つまりこちらは「質」の話をしているのだ。

 もういい加減に「効率、効率」と叫ぶのはやめよう。問題は量ではなくて質だろ?

 わたしは、効率的な仕事より効果的な仕事をやりたい。

Comment(5)

コメント

仲澤@失業者

視点を変えてみるのはよいかもしれません。
仕事と遊びを対極とした視点のお話は世にいっぱいあるのですが、
「実は、人生の中身は全てあそび」ととらえると、
仕事は「つまんないあそび」、遊びは「楽しいあそび」になるかもしれません。

楽しいことを増やして、つまんないことを減らすにのに、
最も効果がありそうなのは、仕事も楽しいあそびにしてしまえ。
ってことかもしれませんねぇ。

効率厨

視点を変えるのは良いんですが、なぜ全く意味の違う言葉に変えてしまったのでしょうか。
それじゃ結果が全く違うものになって当たり前では。

変えるならこれの見方をそのまま変えればいいだけですよね。

>「機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。」(大辞泉)
>「機械作業などをする際に、その仕事量とそれを行うのに要したエネルギー量との比。」(大辞林)

エネルギー1に対して得られた仕事量を10から100に増やすのが効率化。
そこに質の良し悪しは関係ありません。
質は同じでなければ意味は無い。
質が落ちて仕事量が増えたのならそれは単なる手抜き。

効率化で代表的なのは自動車会社のトヨタのトヨタ式ですよね。

たとえば

1工場で生産できる車の量 300万台/1ヶ月 だったのを効率を上げて500万台に増やしました。

生産量を増やしてもトヨタの車の質は悪くないですよね。
生産量は売り上げに直結します。
だから工場を増やして生産数を上げるってだけでニュースになるんですよね。

これをエンジニアの世界に言い換えれば

1日で作成できる成果物の量は○○ですってだけですよね。

WBSに記述する進捗そのままです。

作成できる成果物の量が多ければ、かける日数は減る。
その分、チェックに時間をかけたりで質を上げられる。

休みが必要なのはミスって手戻りする無駄を無くすため。
※これもトヨタ式のうちのひとつですね。

効率を上げるために休むことが効果的なだけであって、休む=効率化ではないです。

この業界、効率よくやってりゃ大半が残業なんてしなくて済む。
それ以前に、やること無さすぎて暇になる。
そもそも休憩なんて要らないレベル。

言葉の意味を調べるのも効率を上げる手段の一つ。
場合によっては回り道をしたほうが効率が上がる場合もある。

たいていの効率化はトヨタ式のムダの排除に繋がりますよ。

ぶっちゃけ、効率化できるかどうかは物事の本質を見抜けるかどうかに掛かってます。
でなければ、何が"本当に"無駄なのかも判断できませんしね。

いつもonoTさんのコラムを楽しみにしてただけに、思わずコメントしてしまいました。

長文失礼しました。

onoT

>仲澤さん
その視点は本当に大切だと思います。
子どもに対してその考えを当てはめたものとして、楽しく勉強できる最近の学習教材には目を見張るものがあります。
塾の先生もまるでエンターテイナーのように頑張っていますもんね。
そういう方向性には賛否両論あるでしょうけど、仕事を「楽しく遊ぶ」仕掛けをもっと考えてもいいかも知れませんね。

>効率厨さん
コメントありがとうございます。
おっしゃることは非常に良く分かります。実際、その通りだと思っています。
そして、すべての人が効率厨さんのような考え(効率を上げるために休むことが効果的)で効率化を叫んでいるなら、わざわざわたしがヘボな文章など書く必要はありません。
しかし現実には、多くの人が効率を、稼働率と同義で使っているのです。給料を時給換算でとらえた上で「給料分働けよ」と言うのです。業務時間中の息抜きはムダととらえているのです。
だから、そのような人に対して「ちょっと効率から離れてみようか?」というメッセージを投げたかったのです。

もちろん、そういう間違った解釈をしている人に対して、効率厨さんのように分かりやすく説明して納得させるという方法も考えられます。しかし、聞く耳を持たない人も多いのです。
そしてそういう人に対して「質はどうでもいいの?」という方向から攻めると効果的だったりするのです。

だからわざと「クソクラエ」などと穏やかでないタイトルをつけて、ムリヤリな展開をしたわけです。
効率厨さんのように正しく効率化をとらえている方々には癇に障るものでしょう。そのような方々に対しては、この場でお詫びいたします。

効率厨

>onoTさん

ご丁寧にありがとうございます。
そんな意図があったのですね。
その意図を読み取れず申し訳ないです。
これからもコラム楽しみにしています。

がしかし、このコラムがIT業界に対するものだとすると

>「給料分働けよ」

プロなら当たり前かなと。

プロなら仕事で黙らせろ。
言われるのが嫌なら言わせないような仕事をすれば良い。
顧客から自分の仕事に直接金が支払われてることを忘れるなと。

それが出来ないなら、おとなしく転職することをお勧めします。
物理的に効率化できない負のスパイラルに陥ってる可能性もありますし。

※自分は某氏の連載内のイニシア○ィブの理念に全面的に賛成派です。

onoT

>効率厨さん
ご返答ありがとうございます。
意図が伝わらないのは、舌足らず(筆足らず?)なわたしの力量の問題ですので、逆に済みません。。。

さて、給料分働くのはプロなら当たり前、というのはわたしも賛成というか、実際それが普通だと思います。

ただ、きっちり給料分の働きをしているにも関わらず、まだ余力がありそうだと判断すると容赦なくタスクを詰め込もうとする風潮が見受けられるのも事実で、そこには明らかに「効率を挙げるために休むことが効果的」という視点が欠けていると思うのです。
給料分働いたからといって黙って認めてくれるような理想的な職場ばかりではなくて、そういう職場では、やればやるほど要求はエスカレートして際限がなく、結局そこで疲弊してしまうか、本当に給料分の働きができる有能なエンジニアはさっさと転職してしまうのですよね。。。
その点を指摘したかったのです。

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