いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

業務効率化と空洞化

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■業務をどうしたいのか分からない

 業務の効率化というのをよく聞く。だが、現段階でできる効率化って、ほぼやり尽くされた感がある。残っているのは人間的なしがらみだ。働く人にアプローチしないと先には進めないくらいの状況だと感じている。

 ただ、働いてる人にしてみれば、一生懸命やってるのに効率が良くならないのは自分のせいと言われれば、心穏やかにはいられないだろう。そんなことで、コンピュータをやり玉に上げて騒ぐ人が増えたように思う。そもそも、人の感情がここまで複雑に交錯した状態で、業務の効率化なんてできるとは思えない。

■増加するマイナス要因

 業務というのは本当に効率化されたのだろうか。人類が存続する為に必要な労働を、昭和50年くらいの業務効率で働いたとしても、誰も食うには困らないと思う。ましてや至る今、いろいろな技術は飛躍的に向上した。しかし、労働時間は一向に減る気配が無い。

 コンピュータの普及により、業務の速度は飛躍的に上がったはずだ。様々な分野でノウハウが蓄積され、便利な道具もいっぱいある。そこまで発展したにも関わらず、労働時間が減らないのはどうしてだろう。便利になった以上に無駄が増えたのだろうか。それとも人の能力が落ちたのだろうか。

■いっそ動かないというアプローチ

 仕事をしていると、無駄が多いという話をよく聞く。ここでいつも疑問に思うのだが、本当にそう思っているのだろうか。無駄と言いつつ仕事の量を減らす気が全く感じられない。もし、部屋に無駄な物が増えたらどうするだろう。私なら、物を捨てるとか掃除する、新しく物を買うのをやめたりする。

 だが、仕事で見かけるアプローチはその真逆だ。無駄が多いから対策を立てる。そして、その対策の為に余計に労力が増える。むしろやらない方がいい対策も多く見てきた。問題の解決方法はアクションだけではない。待つとかやめるというアプローチも非常に有効だ。

 動いていると「あぁ、働いてるな」という自己満足に浸れる。目に見える物を残せば、働いた証拠として残る。現代の仕事の大半は、必要だからというより、この自己満足を得る為か、証拠を残す為に働いている。つまり、労働の実質的な成果が抜けてるので、空洞化しているということだ。これでは妄想と大差が無い。そんな意味の無い頑張りをするなら、きちんと休んだ方が利口だ。

■効率化の達成方法

 休む事を知らない人には効率化は無理だ。仕事を減らす気が毛頭無いからだ。本当に効率化を達成できる人は、休む事にモチベーションの高い人だけだ。仕事に関わりたくないという人の本気は、仕事が楽しいと思う人と別の結果を生む。怠け者の本気は、予想もつかない成果をたたき出す。

 本当の効率化は、仕事では達成できないと私は考えている。本当に必要なのは、休日の面白イベントだ。これが無ければ休む事にモチベーションが見いだせない。仕事以外に強烈にモチベーションを感じるものがあれば、仕事で自己満足を追求するよりそちらを優先する。仕事以外で承認欲求やら達成感が満たされれば、仕事に余裕が出る。つまらない駆け引きをする理由が減って、みんなが幸せになれる。

 「効率化とは、休みを増やす事じゃなく、同じ時間でアウトプットの質と量を増やすことだろ!」と思う方もいるかもしれない。だがどうだろう。十分に活力を蓄えた人と、疲れ切った人。同じ実力なら、活力のある人の方が多くの結果を出せるのは明白だ。だったら、適切な休息というのも生産性を上げる手段として有効ではないだろうか。

 効率化の達成方法。それは、適切な休息と、休日の面白イベントだ。決して業務内だけに答えがあるとは限らない。そして、人に活力が湧かなければ絶対に達成できないと思うのだ。

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