「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

シンプルさを保つということ

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 システム開発の現場で「シンプル」という言葉が使われる場合、その意味は「単純で簡便なこと」を指すのが普通だろう。利用者の省力化を目指すことが最大の目的であるようなシステムの場合には、この考え方は当然のことだ。

■シンプルライフは単純ではない

 一方、実生活の中で「シンプルライフ」といった場合の「シンプル」は、それとは少し方向性が違う。この場合のシンプルさのスタート地点は、持ち物を減らすことだ。これは一見するとUIをスッキリさせることと同じように感じる。

 しかし、決定的な違いがある。UIをスッキリさせるのは利用者を迷わせないためだ。しかし、シンプルライフで持ち物を減らすのは、ある意味、迷わせるためと言える。つまり、ここで持ち物を減らす意味というのは、しっかりと対象に向き合って、じっくりと考えるためなのだ。

 例えば掃除において、簡便さを追求するならば、極論すればロボットに掃除をさせればいい。しかし、生活の場でのシンプルさとは、それをホウキとチリトリで済ませることだ。細分化された道具をたくさん揃えるのではなく、少ない道具を工夫をして使いこなす。重要なのは、この「工夫して使いこなす」ということだ。

 対象についての深い洞察が、作業の本質を浮かび上がらせる。それが作業の質を向上させる第一歩だ。つまり、シンプルライフとは、物を減らすことが目的なのではない。生活の質を向上させることこそが最終目的なのだ。

■シンプルさを保つ意味を考えよう

 同じように、開発の現場をシンプルにする目的は、開発の対象にしっかりと向き合って、じっくりと考えることでなければならない。ところが、現実のプロジェクトでは、案件の都度、新しい言語を覚えたり、ツールを導入したり、手法を試してみたりと、開発対象からの集中力を削ぐもののなんと多いことか。

 もちろん、新しい言語やツールや手法を否定しているわけではない。ただ、納期に余裕のないプロジェクトで、納期を短縮するために、アレがいいらしい、コレがいいらしい、と新しい何かを試すというのは、大抵の場合は自殺行為となる。ただでさえ時間が少ないのに、わざわざ開発対象への集中力を削ぐなど、正気の沙汰とは思えない。

 そうやって完成したシステムは、きっと利用者を思いっきり迷わせることになるだろう。

 そうならないために、我々は常に自分の周りをシンプルに保つ必要がある。対象に向き合い、考えるために。

Comment(3)

コメント

仲澤@失業者

シンプルという言葉でいつも思い出すのが
「象を冷蔵庫に入れる方法」っていう一連のやつです。
最初にこの質問をされた時には結構考え込んでしまいました(笑)。
答えを知った後、得意げに姪っ子に質問したら、あっさり正解。
欧米の子供ならだれでも知っている程度の話だったようです(しくしく)。

んで、答えは
1.冷蔵庫の扉を開ける。
2.像を入れる。
3.冷蔵庫の扉を閉める。
・・・「では次にキリンを入れるのどうしますか」とこの質問は続きます(笑)。

ナン

生活においては迷わせるのがシンプルライフという主張がよくわかりませんでした

フローリングと畳とトイレと窓拭きと、あと流しに入れっぱなしの洗ってない食器
箒にちりとり雑巾モップスポンジたわしに洗剤各種
どこから手をつければ良いの?
というごちゃごちゃライフを
「おい、ロボ。私はこれから出かけるから夕方までに全部綺麗にしておけよ。終わってなかったら飯(充電)抜きだかんな!」
と、ロボに一言命令するだけで迷わないのがシンプルライフだと思いました

onoT

>中澤さん
ゾウを出してからキリンを入れなきゃダメなんですよね(笑)
この手の問題は、やはり子どもの方があっさり答えてしまいますよね。
結局、普段の私たちは余分なもの(考えも含めて)を持ちすぎていてなかなか正解にたどり着けないのだと思います。
そういう余分なものを取っ払って考える必要があるのでしょうね。

>ナンさん
まぁ、「迷う」というと確かに語弊があるかも知れないですね。
どちらかというと、迷うのはシンプルライフを始める時の、ナンさんが言われている「どこから手をつければ良いの?」という状態です。
シンプルライフとは「質素な生活」のことですので、そこで新たにロボを導入するのはシンプルライフとは方向性が違うような気がします。
「そもそもこんなにたくさんのモノ必要なの?」と、疑問に感じて、そこからどんどんモノを減らす方向に進むのがシンプルライフだと思います。

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