【72】独学は物凄く難しく、できる人は少ないという事実
こんにちは手塚規雄です。
今回は読者の方から「学習」に関するコラムのリクエストがあり、それに応えてみました。ちょうど私自身が独学の壁にぶち当たっていたのでちょうど良いタイミングだったいうのもあります。
珍しく私事を話しますが、私は今、プログラミング言語を一つ学んでいます。独学で勉強し始めましたが、思うように進まない、わからない、上手くいかない。新しく言語を学ぶときはこんなにもわからないものだったっけ?これまでもプログラミング言語をいくつか学びましたが、それまでとは違った印象。頭が悪いと言ってしまえばそれまでなのですが、今までの経験から考えても、どうしても納得できなかった。そこで「勉強方法」などに疑問を持って考えてみました。自分の人生も振り返りました。その結果、ある事実が浮かび上がりました。
私は独学というものを経験したことがない
プログラミング言語はもちろんのこと、学業・勉強にはじまり、スポーツ、独立、自己啓発などすべての分野についてもそう。まったくの無知の状態からは「人から教わる」事で知識と経験を得てきたことがわかりました。もちろん初心者を抜けた後なら、独学で学んだことなど腐るほどあります。でもまっさらな状態で本だけで独学でスタートするのはまったくの初めての経験だったという事が判明しました。
例えばプログラミング言語。これは先輩、同僚、または後輩に教わることがほとんど。もしくは座学の講義を受けることでスタートし始める。だから独学スタートで勉強を初めて一度詰まってしまうと、どうやって解決していいのか、さっぱりわからなかった。だからこそ学習スピードが物凄く遅く、イライラしてストレスも溜まりました。
人によっては趣味でプログラミングを始めたりするのだけ、私は就職してから真面目にプログラミングを学ぶことになった人間。だからこそ、独学でプログラミングを学ぶ機会がまったく無かった。
ところで独学で学ぶことができる人はどのくらいいるのか?
私と同じような悩みをもった人間、独学未経験者はどのくらいいるのだろう?実はそれなりの割合なのではないのでしょうか?本を購入して、本を読むという独学という手法で学ぶこと。実はできない人が多い。最初の一歩に関してはどうしても人から教わってできるようになることばかり。
その証拠に勉強については学校の先生や親がいる。スポーツも同じです。自発的に興味を持った趣味ぐらいが唯一といっていいほど独学に出会う場だ。それも友人からの誘いだと独学になる機会は無くなってしまう。だからこそ独学ができる人は少ない。そう思っている。
この業界についていえばちょっと事情が異なります。プログラミングは書籍から学ぶ事が他より多いかもしれない。それでも私のような人間は多いほうだと感じています。
独学の経験がない=独学で理解できる人は少ない
独学の経験がないとどうしても最初の一歩が物凄く難しく、二歩目以降もなかなか難しい。普通に歩けるようになれば学習も慣れてくるのでどんどん進みやすい。でも一歩目というのはどうしても難しく、そういう学び方をしてこないから、やり方もわからない。独学はこの点だけは自力で解決できない。人に頼れば一瞬の事かもしれない。でもそれをやると一生独学できないままになります。
正直言って独学できる能力なんて無くても困ることはありません。だって会社や職場には先輩や上司がいるから。困る人といえば教わる相手が何処にもいなくなってしまう社長や経営者、そしてフリーランサーぐらいでしょう。フリーランサーになりたい人には独学できるようになる事をオススメします(笑)。私のように苦しむことになるでしょうから。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
オットー・フォン・ビスマルクの言葉ですが、直訳では下記のようになるようです。
「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。」
言っていることはわかりますが、意外なほど他人の経験から学ぶことはできません。独学からもそれがわかります。
自己啓発本を読んで、何かを得たことありますか?
自己啓発本を読むと色々なことを知ることができます。でも実は全然といっていいほど理解していません。だから失敗する。その失敗経験から嘘だという。それがほとんどです。私もたくさんの自己啓発本を読み、実践しました。ほとんどが失敗です。これが愚者というか普通の人です。だからこそ、結局普通の人は自分の経験からしか学んでいない。
でも失敗を繰り返すうちに気がついた事がありました。「この失敗パターンこそが本でいわれていた内容なのか。」それがわかって、やっと本の内容を理解できたのだと知りました。
これがわかると自分の失敗の原因と本の知識から、失敗原因を見つけるのが早くなり同じような失敗を繰り返すことが減ってきました。ここまでくるともう挫折することはなくなります。なぜなら失敗原因が明確になるから、それを直せば前に進める。前に進めれば挫折はしません。
賢者という名の天才たち
賢者は他人の経験から学ぶことができます。普通の人は自分の経験からしか学べません。他人の経験を完全に理解できるとはまず大きな失敗はしません。小さなミスはしても失敗までにはならず、ミスを帳消しにする修正も早く、もはや成功かちょい成功しかしなくなります。そうなると成長速度がありえないほど早く、あっという間に抜かされていきます。こういうのを天才というのだな、と思いました。
他人の経験から学ぶにもレベルがあると仮定すると私はこのようにしました。
レベル0:本を読まない、他人の経験を知ろうとしない
レベル1:本を読む、他人の経験を知ろうとするけど、まったく理解できない
レベル2:内容を知って理解したつもり。だから失敗しても、本の知識と結びつかない
レベル3:失敗して経験することで、知識と経験を結びつけることができる
レベル4:実践途中で本の知識と結びつけることができ、小さなミスしかしない
レベル5:やる前から完璧に理解して実践できる
レベル5の人はわかりやすく言えば、「1を教えると10できる人」です。まれにいますよね?こういう人。実際には1を教えて1ができるけど、応用も出来ちゃうから10できるようになっているように見えちゃう状態です。そんな人たちと自分は違うレベルにあるものだと思ったほうがいいでしょう。自分が天才だと思いたい人は別にいいですけどね。私には無理です。
あらためて独学は難しいし、経験者は少ない
独立した人、起業した人は独学する機会もあるしできる人も多いでしょう。私はこれからできるようになる努力の途中。じゃあ社長や役員クラスの人間ならできるのか?
サラリーマン社長や二代目社長の場合は実はできない可能性があります。なぜなら常に先人がいるから常に教わりながら成長していくからです。もしトップが独学できないとどうなるのか?最終的に人に頼らざるを得ません。そこでへんなコンサルタントにひっかかってしまうととんでもない事になっていく。コンサルタントに騙されてしまう、ひっかかってしまう、または誘導されてしまう社長がいるのにはこういった理由があるからでは?
もちろん他にも理由があると思いますが、こういった理由もあるかもしれませんよ。
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コメント欄にて書いて欲しいコラムの題材をいつでも受け付けております。ただしその内容に応えられるかどうかはわかりません。基本的にコメント欄には私自身がコメントしないのですが、題材リクエストに関してはレスをすることもありますので、よろしくお願いします。
コメント
仲澤@失業者
何かを学ぶときには、本当は原理と構造を知ることが一番大事だと思うのですね。
たとえばコンピュータは記憶と計算しかできません。
それの手順を指示する方法がプログラムであるわけで、
ばかばかしいほど簡単な仕組みにすぎません。
そして外界にとって意味を持つプログラムの場合、入力と出力を持つわけですね。
プログラム言語を学ぶときには、こんな事を考えながらやってみてはどうでしょう。
ハリコフ
持論ですが、30才になるまでに身に付けられなかった能力って、後はどうやっても身に付かないと思うのです。
プログラミング言語を学ぶ目的が何なのかは分かりませんが、目的を達成するためには、これまで培ってきた方法論に頼った方が良い気もします。別に、目的が達成されれば独学に拘ることもないでしょうし。
一人の人間に出来る事には限りがあるでしょうし、自分に無い能力ならば、余所から持ってくるのも手ではないでしょうか。
夢夢
手塚さん有難うございます。
俺の期待した通り、新しい視点を与えてくれました。
技術者本能に任せており、レベルとか独習の経験の有無とか考えたことがなかった。
多くのIT企業経営者に教養や経営者らしさを感じない理由も分かってすっきりした。
彼らは経営学だとか哲学だとか過去の偉大な経営者の思想だとか、経営者にとって必要なものを学ぶ方法を知らないんだな。
下手すれば経営者の定義さえも知らないのかもしれない。
やはりIT業界のブラックさの原因は経営者(二代目が多い)の教育不足のような気がする。
技術者の俺は定義を気にするが、普通の人は案外気にしないものかもしれない。
ここが俺といわゆるIT企業の経営者が相いれないポイントかもしれない。
お礼に俺の持論を書きます。
俺はどちらかというと、勉強は嫌いだが学習は得意な方。
そのコツを書くと「技術者としての野生を信じ子供に帰る」だ。
経験者に学ぶのを否定はしない。
それどころか、ドラッカーとか老子とか昭和の経営者だとか、ハッカーの言葉だとか、オープンソースとか、様々な学問の先人たちの知恵をよく読む。
しかし俺は先入観をいったん捨てる。
頭を空っぽにしてから本を読み、それすらもほとんど捨て去り、子供が遊ぶようにプログラミングなどの実践行為をする。
ここで「こんなこと分からん俺は恥ずかしい」などと負の感情を出しては駄目だ。
「わからないことがあって楽しい。ワクワクするぞ。」ってプラス方面に考えるようにする。
そうしていると、脳が勝手に情報を整理してくれる。
この野生学習により、先人の知恵を経験し、新しい知恵を足すことが可能となる。
無茶なことを書いていると思われるかもしれないが、学習を阻害する一番の要因は「先入観」だから本能をつかえば案外上手くいく。
しかし既存のオレ流に甘んじているのかもしれない。
このコラム読んで理性の力を加える方法を考えようと思った。
fuga
凡夫って大変だニャ(セリフうろ覚え)
bix
逆に自分は独学ばかり。
人に聞こうにも、周囲に詳しい人いないし(IT企業勤めなのにね..)
自分で調べたほうが早いので。
ばしくし
新人の頃、初めて仕事を振られた時
『分からないことがあったら聞いてくれ』
と言われたので、いろいろ聞いてみると
『そういう基本的なことは自分で調べて。調べても分からなかった時に初めて聞いて。』
と、ヒステリックにキレられたことがあります。
この人は何をこんなに怒ってるんだろ?と疑問に思いながら、萎縮しましたね。
アレ以降、仕事では人にものを聞くことを極力避けるようになりました。
進捗が遅れようと、品質が悪化しようと、そんなどうでもいいことは一切お構いなし。
できる限り自力で片付けるようになりました。
分からないことを聞いても、逆に怒られるだけですからね。
『何でも聞いてくれ』という言葉は単に社交辞令に過ぎず、実は『何も聞いてくれるな』という本音を汲み取らないといけないわけです。
社会とはそういうものなんだと、強く確信しておる次第でございます。
匿名
コーデイングに関しては独学は死ぬほど難しいぞ、特に職場でプログラミングやるチャンスがない場合は毎日4時とかざらになる。実質ラーニングカーブは果てしなく高くなる。まあそれでもやめれないのは野望のためだが(金使いたくないし)。それにプログラムの基礎については学ぶべき順番がある程度決まってる。
メリットは自力で学んだ人には理解される、金がかからない、優越感がある
デメリット時間が果てしなくかかる、自力で学んでない多数に理解されない、我慢が必要、英語できても難しい
どの分野でも通常は大学とかスクールで基礎を身に着けてからその分野で戦うのか基本。特に現場に出ると周りのやつは初めの言語は基本独学じゃないから皆フルアーマーガンダムに乗り込んでる+拳銃装備、自力の人たちは裸プレイ。
アタァ
30歳を超えても全然余裕だと思いますぞ!
時間や年齢を気にせず自分のペースで覚えていくというのはとても前向きな姿勢で良いと思いますよ
それが可能な脳を持っていればなおさらスピードは早いと思います
どの物事にも共通して練習と経験を重ねていけばいいと思いますよ
80歳でプログラミングも楽しいじゃないですか
まず触って見て楽しそうならハマってみるのが一番幸せな学び方だということで
気楽にやろうということです
機械工作とか物理も後々学んでいくと視野が広くなるーっくらいの感覚で
え?私ですか?
独学ですが優秀ですよ( ͡° ͜ʖ ͡°)
この顔が憎いって?( ͡° ͜ʖ ͡°)
ハハッ
匿名
私もエンジニアをしています。逆に殆ど習ったことがないです。最初に入った会社は社内独自のフレームワークを使ったデスクトップアプリ開発のみを手掛ける会社でした。そのフレームワークについては教わりましたね。それ以外のWEB技術、ネットワーク、コンピューターアーキテクチャ等は全て独学で取得しました。誰も分からなかったですからね。コードの書き方も独学ですね。回りはスパゲッティーコードしかなかったので。私は特別賢いわけでもないので、根気が全てだと思います。
シマダ
本は全く読まないレベル0ですが、python,JS,HTML,SQL,cを完全独学で企業相手に売ってますけどね。