Act19 交わり続けなかった道 あれから約1ヶ月。なんとかPJは回っている。あの会議の後、何回も業務部・システム部を交えた話し合いが行われ、リカバリ案が詰められていった。懸念していた役員会では長時間に渡ったものの、なんとかリカバリ案... 2015/06/01 Comment(2) 【番外編】来たるべき時(草薙side) 今回はちょっと趣向を変えて、最近の出来事を草薙目線の番外編としてお送りします。******************【早瀬が会社を去る。】いずれ必ずなにかの形でそうなることは理解していたが、いざ現実とし... 2014/11/18 Comment(8) Act18 ぎりぎりのライン システム部長を真ん中に捉えている私の視野の隅で、安西さんは目立たない様にスマフォを取り出した。メールが届いたようだが、私の頭の中ではシステム部長にも指摘された「重大な欠落」の事が溢れている。システム部... 2014/09/29 Comment(3) Act17 欠落 草薙さんは全員が同じスタートラインに立った事を確認するように間をおいて、私の方へアイコンタクトを送る。それは火蓋を切る合図なのだと理解できた。「それでは・・・私達PMOチームからは、現在仕様が比較的明... 2014/09/08 Comment(11) Act16 牽制と誘導 会議室の前まで戻ると草薙さんがいったん足を止めた。軽くネクタイを締め直して、ほんの少しのあいだ瞳を閉じた。小さく息を吐いてから、彼は会議室のドアをノックする。「失礼します」30人以上が入れそうな先ほど... 2014/07/23 Comment(22) Act15 悪さの分配 「おい早瀬、悪いが起きろ。時間だ」ゆさゆさと、体を揺すられて起こされる。目の前に草薙さんの顔。一瞬状況が理解できないそのままの勢いで立ち上がると、小さく笑われる。「無理させてすまんな。資料、目を通して... 2013/10/21 Comment(17) Act14 失った自信 もう24時。突然かかってきた電話の向こうには、後藤さんがいた。「今、助けに入ってくれてるんだって?安藤社長からの留守電で知ったよ。今の僕なんかで……。できることないかな?」心も身体も疲弊して現場から離... 2013/07/24 Comment(7) Act13 崩壊 私が自席に戻ったときには、運よく杉野PMは離席していた。どうやら、設計チームと共にお客様に呼び出されたらしい。私が何をしているか、杉野PMはきっと気にしているだろう。機能ごとに優先順位を明らかにしよう... 2013/06/19 Comment(7) Act12 道筋 待ち合わせをしていたコンビニ前で、草薙さんがタバコを口にしてすでに待っていた。空いた片手にはブラックコーヒーの缶が2本。私の姿を確認すると、彼はその1本をこちらへ挨拶代わりに小さく投げてくる。運動神経... 2013/05/08 Comment(3) Act11 温床 化粧室。洗面台で手を洗ったあと、ため息を一つついて軽く化粧を直す。草薙さんと比べて、自分はまだまだ力不足だなと反省しつつ。しばらくまぶたを閉じて考えごとをする。すると、聞き覚えのある大きな声が近づいて... 2013/02/25 Comment(3) Act10 一つの解 朝会は重たい雰囲気で始まった。寝癖だらけの頭のまま、起きているのか寝ているのか分からない目で座っている設計チーム。自分たちだけ休んでしまったことに、なんとなく申しわけない空気を漂わせる製造チーム。見定... 2013/01/15 Comment(0) Act09 どうしてこうなった 翌朝。7時過ぎ。私は再び、現場を訪れていた。始発で戻るという言葉はウソになったけれど、それでも早い時間だ。私が再訪したプロジェクトルームに人の気配はない。……大方、杉野PMたちはプロジェクトで抑えてい... 2012/11/28 Comment(6) Act08 戦場の鉄則 「早瀬さん、スミマセンけど、俺そろそろ帰ります」うつらうつらと10分程度眠っては起きて。要件定義資料や基本設計資料に目を通し、香取君が作っている課題管理票に書き足すためのメモを作る。そしてまた、ちょっ... 2012/11/12 Comment(2) Act07 1枚のカード 朝10時少し前になって、携帯が鳴る。作業に没頭していた私は誰かを確認することなく、ハンズフリーのボタンを押して、その電話を取った。「あ、早瀬さん、お疲れさまです、香取です」「応援はあなただ... 2012/10/29 Comment(0) Act06 よくあること シャワーを浴びて、現場に戻ったのが0時少し前。軽い引き継ぎを終えて、草薙さんと私が入れ替わる。「明日……ああ、もう今日か。俺は他の現場があるんで来るのは難しそうだが応援を呼んである。あと、... 2012/10/12 Comment(0) Act05 提言 「あの、提案させていただいてもよろしいでしょうか?」夕方の進捗会議。遅々として進まない製造工程と、それに追い打ちをかける「仕様変更」という名の明らかな考慮ミスの説明。その後にやってきた少しの沈黙に乗じ... 2012/10/02 Comment(0) Act04 長い1日の始まり プロジェクトルームに戻ってきてすぐ、チームメンバーへの軽い紹介があった。「今日から支援に入ってもらった……こちらが草薙さん、こちらの女性が早瀬さんだ」杉野PM主導の、朝礼スタイルでの軽い顔合わせ。ひと... 2012/09/26 Comment(2) Act03 沈没直前 私と草薙さんが現場に赴いたのは、安西さんが会社に来た2日後の朝。事前に渡されていたプロジェクトメンバーのプロフィールと数枚程度の事前情報に目を通し、私はその日を迎えた。初日は私と草薙さんだけの入場。草... 2012/09/18 Comment(2) Act02 覚悟 会議室のホワイトボードに草薙さんが知っている情報が並べられていく。システムは建設機械の予約システム私たちへの今回の依頼主である「安西システム」が元請プロジェクトを構成している人間の大多数が協力会社の要... 2012/09/10 Comment(7) Act01 ソーダアイスと傭兵と 20XX年、夏。外のアスファルトはうだるような暑さで熱を持ち、うっすらと陽炎が揺らめいている。冬から初夏にかけての案件を満了していた私は、休暇届を出すために、本社を訪れていた。私の名前は早瀬。職業、I... 2012/09/03 Comment(8) SpecialPR
Act19 交わり続けなかった道 あれから約1ヶ月。なんとかPJは回っている。あの会議の後、何回も業務部・システム部を交えた話し合いが行われ、リカバリ案が詰められていった。懸念していた役員会では長時間に渡ったものの、なんとかリカバリ案... 2015/06/01 Comment(2)
【番外編】来たるべき時(草薙side) 今回はちょっと趣向を変えて、最近の出来事を草薙目線の番外編としてお送りします。******************【早瀬が会社を去る。】いずれ必ずなにかの形でそうなることは理解していたが、いざ現実とし... 2014/11/18 Comment(8)
Act18 ぎりぎりのライン システム部長を真ん中に捉えている私の視野の隅で、安西さんは目立たない様にスマフォを取り出した。メールが届いたようだが、私の頭の中ではシステム部長にも指摘された「重大な欠落」の事が溢れている。システム部... 2014/09/29 Comment(3)
Act17 欠落 草薙さんは全員が同じスタートラインに立った事を確認するように間をおいて、私の方へアイコンタクトを送る。それは火蓋を切る合図なのだと理解できた。「それでは・・・私達PMOチームからは、現在仕様が比較的明... 2014/09/08 Comment(11)
Act16 牽制と誘導 会議室の前まで戻ると草薙さんがいったん足を止めた。軽くネクタイを締め直して、ほんの少しのあいだ瞳を閉じた。小さく息を吐いてから、彼は会議室のドアをノックする。「失礼します」30人以上が入れそうな先ほど... 2014/07/23 Comment(22)
Act15 悪さの分配 「おい早瀬、悪いが起きろ。時間だ」ゆさゆさと、体を揺すられて起こされる。目の前に草薙さんの顔。一瞬状況が理解できないそのままの勢いで立ち上がると、小さく笑われる。「無理させてすまんな。資料、目を通して... 2013/10/21 Comment(17)
Act14 失った自信 もう24時。突然かかってきた電話の向こうには、後藤さんがいた。「今、助けに入ってくれてるんだって?安藤社長からの留守電で知ったよ。今の僕なんかで……。できることないかな?」心も身体も疲弊して現場から離... 2013/07/24 Comment(7)
Act13 崩壊 私が自席に戻ったときには、運よく杉野PMは離席していた。どうやら、設計チームと共にお客様に呼び出されたらしい。私が何をしているか、杉野PMはきっと気にしているだろう。機能ごとに優先順位を明らかにしよう... 2013/06/19 Comment(7)
Act12 道筋 待ち合わせをしていたコンビニ前で、草薙さんがタバコを口にしてすでに待っていた。空いた片手にはブラックコーヒーの缶が2本。私の姿を確認すると、彼はその1本をこちらへ挨拶代わりに小さく投げてくる。運動神経... 2013/05/08 Comment(3)
Act11 温床 化粧室。洗面台で手を洗ったあと、ため息を一つついて軽く化粧を直す。草薙さんと比べて、自分はまだまだ力不足だなと反省しつつ。しばらくまぶたを閉じて考えごとをする。すると、聞き覚えのある大きな声が近づいて... 2013/02/25 Comment(3)
Act10 一つの解 朝会は重たい雰囲気で始まった。寝癖だらけの頭のまま、起きているのか寝ているのか分からない目で座っている設計チーム。自分たちだけ休んでしまったことに、なんとなく申しわけない空気を漂わせる製造チーム。見定... 2013/01/15 Comment(0)
Act09 どうしてこうなった 翌朝。7時過ぎ。私は再び、現場を訪れていた。始発で戻るという言葉はウソになったけれど、それでも早い時間だ。私が再訪したプロジェクトルームに人の気配はない。……大方、杉野PMたちはプロジェクトで抑えてい... 2012/11/28 Comment(6)
Act08 戦場の鉄則 「早瀬さん、スミマセンけど、俺そろそろ帰ります」うつらうつらと10分程度眠っては起きて。要件定義資料や基本設計資料に目を通し、香取君が作っている課題管理票に書き足すためのメモを作る。そしてまた、ちょっ... 2012/11/12 Comment(2)
Act07 1枚のカード 朝10時少し前になって、携帯が鳴る。作業に没頭していた私は誰かを確認することなく、ハンズフリーのボタンを押して、その電話を取った。「あ、早瀬さん、お疲れさまです、香取です」「応援はあなただ... 2012/10/29 Comment(0)
Act06 よくあること シャワーを浴びて、現場に戻ったのが0時少し前。軽い引き継ぎを終えて、草薙さんと私が入れ替わる。「明日……ああ、もう今日か。俺は他の現場があるんで来るのは難しそうだが応援を呼んである。あと、... 2012/10/12 Comment(0)
Act05 提言 「あの、提案させていただいてもよろしいでしょうか?」夕方の進捗会議。遅々として進まない製造工程と、それに追い打ちをかける「仕様変更」という名の明らかな考慮ミスの説明。その後にやってきた少しの沈黙に乗じ... 2012/10/02 Comment(0)
Act04 長い1日の始まり プロジェクトルームに戻ってきてすぐ、チームメンバーへの軽い紹介があった。「今日から支援に入ってもらった……こちらが草薙さん、こちらの女性が早瀬さんだ」杉野PM主導の、朝礼スタイルでの軽い顔合わせ。ひと... 2012/09/26 Comment(2)
Act03 沈没直前 私と草薙さんが現場に赴いたのは、安西さんが会社に来た2日後の朝。事前に渡されていたプロジェクトメンバーのプロフィールと数枚程度の事前情報に目を通し、私はその日を迎えた。初日は私と草薙さんだけの入場。草... 2012/09/18 Comment(2)
Act02 覚悟 会議室のホワイトボードに草薙さんが知っている情報が並べられていく。システムは建設機械の予約システム私たちへの今回の依頼主である「安西システム」が元請プロジェクトを構成している人間の大多数が協力会社の要... 2012/09/10 Comment(7)
Act01 ソーダアイスと傭兵と 20XX年、夏。外のアスファルトはうだるような暑さで熱を持ち、うっすらと陽炎が揺らめいている。冬から初夏にかけての案件を満了していた私は、休暇届を出すために、本社を訪れていた。私の名前は早瀬。職業、I... 2012/09/03 Comment(8)