地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

開発側から見て思う情報コントロール

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 開発を行うプロジェクトに関わっていると、ほとんどの場合で情報の伝達がうまく行われていない事態に遭遇すると思います。PM から PL へ、さらには開発者たちへといった流れでもそうですが、PM から上層部へといった場合においても、上手く行えていないことが非常に多く発生しています。
 上層部への伝達が上手くいかないのは、悪い話を隠したい場合が多いかも知れませんが、現場開発者への伝達が上手く行えていないのは、非常に大きな問題だと感じています。

 情報を流さないことに、何らかの意図を持っていることはあると思います。例えば機密情報に属するもので、一部のメンバーのみに限定しなくてはいけない場合などは確かに存在しています。その類の情報を広く伝えることは、単純に情報が漏洩するリスクを高めるだけでリスクにしかならないのは理解できます。
 ですが、そうではない情報にも関わらず、現場に情報が下りてこない事は、漏洩するリスクとは反対に、判断を誤らせるリスクを高めることにしかならないのではないでしょうか。

 業務上このように運用する必要がある、規定としてこうなってなくてはならない、という情報は、開発を行う上で基本となる部分です。その部分について一部しか情報を流していない環境で、どのようにすれば望んだ形のシステムを作り上げることができるのでしょうか。

 流す情報をコントロールし不要な情報に触れさせない、と考えているのかもしれませんが、その結果が上記のようなものでは、コントロールする側が考えている「不要」なものが誤っているとしか言えません。多くの情報を与える事で混乱するのを防ぎたい、そう考えてのことかもしれませんが、それであっても結果が良くない方向へ流れるのであれば、それは行うべきことではありません。

 情報のコントロールは非常に難しい事の一つです。企業としては、その役割を PM や PL に望んでいるのかもしれませんが、上手くできる人は非常に少ないでしょう。そう考えると、これからの開発においては、情報を適切に選択して流通させる専門ポジションが必要なのではないでしょうか。

 様々なところから流れてくる情報を適宜とりまとめ、受け取りやすい形で PJ 内部に流通させる、考えただけでも非常に難易度が高く、作業コストも大きいものです。しかしこれが出来なければ、PJ が良い方向へ向かうのが難しいとなれば、考えてみる余地はあるのではないかと思います。
 殆どの案件でも起きうるのですが、PM や PL に負担が集中してしまい、こういった情報の共有まで手が回らなくなることは多々あります。トラブルなどが発生しているときがまさにそうなのですが、PM・PL と開発者の間で情報が共有されておらず、後で責任を擦り付けるような事態になってしまうのは、非常に悲しい事です。

 元々情報を伝えるということは、非常に難易度の高いものです。単純にメールかメッセンジャーで流しているだけでは、意識に止められずに流されてしまったり、ほかの大量のメールなどに埋もれさせてしまうため、これだけでは方法として問題があるのは多くの人が納得されると思います。そうなると、適宜直接的に声をかけるとか、電話を織り交ぜるといった違う形での伝達も行わなければ、相手に正しく届かせることができません。そこだけを見ても、非常に難易度高く手間もかかるものだといえるでしょう。

 それでもここを上手くやらなければ、後々に問題となる可能性が非常に高いです。リスクを気にする人たちには、もっと考えてもらいたいところなのですが、なかなか今時点ではそれほど大きくは考えられていないように見受けられます。それではまだまだ問題の原因を取り除くには至りません。

 今後の開発を考えていると、今の進め方に足りていない部分や問題のある部分に対して、設計や開発・運用を問わずに関わる人員全員で対処を考えていく必要があると思っています。その中の一つに、今回取り上げた情報のコントロール役も盛り込んでもらえれば、私としては非常にうれしい限りです。

 足りていない情報の中では、正しい方向へ向かうことは困難を極めます。豊富な想像力を持っている人や、情報網が幅広い方ならそれでもまだなんとかできるのかもしれませんが、同じことをより多くの人ができるようにならなければ、これからの開発はより一層困難になるしかないと思われます。私たちの開発業務は、時代が進むにつれてより多くのことを考えていかなければならないのです。このような流れを考えると、適切に情報をコントロールする役割というのは、あってしかるべきなのではないでしょうか。

 扱っている技術が時を追うごとに新しくなっていくのと同様に、開発を行う手法や体制もその時その時に合わせて改善していかなくてはなりません。その両方が出そろって、ようやく私たちの開発業務は上手く進めることができるのだと思います。

Comment(1)

コメント

山無駄

今回の話は、PMやPLがいかに現場に情報を共有させる(伝える)か、という論旨だと思います。
もしPMやPLが持つ情報が均質であるならば問題ないのですが、実のところPMやPLが持つ情報は
均質ではなく流言飛語もふくめ、様々なレベルの情報を混在して持っています。
ただしくは、質に関係ないなくいろいろな情報を集めるのもPMやPLの重要な役割にだという事
です。
当然、現場の人には生産性を上げて目の前の作業に取り組んでもらう必要があるので、これら怪
しい情報をいちいち共有していたのでは、現場の作業が滞ってしまう懸念があります。もう少し
いうと、このように情報が様々なレベルがあるということは、それを共有しておかない現場のメ
ンバーも均質ではなくなります。なので持っている情報を共有すべきかどうか、共有する際には
全員なのかそれとも特定の誰かなのか、という判断のもと情報は共有されます。もし、すべてを
オープンにできれば、楽なのですが。。。

例えば、以下のような事例がありました。

ある時、PMが社長に呼ばれて、「おい、今おまけが抱えているPJは大丈夫なのか、○○さん
(お客様企業のPJ担当別部署のえらい方)が、このままでは運開できないと心配しているぞ」
と言われました。社長と○○さんは個人的なお友達。○○さんはお客様企業のえらい人では
あるが当該PJの当事者ではありません。社長も○○さんも当事者ではないのです。PMは社長
のお言葉はありがたく承りましたが、PJメンバーに情報をつてることもなく、そのままPJを
継続しました。

PMにとって、第三者の言葉も重要な情報です。しかし、それは現場に行っても詮無き事。
いたずらに現場を不安にするだけです。なので、その情報は現場に伝える必要はないのです。
ただ、○○さんの部署を担当しているチームがあったら、気を付ける必要があるかもしれま
せん。もしくは、なぜ○○さんが心配しているか、近いメンバーに探りを入れさせる必要が
あるかもしれないのです。

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