地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

地方に限らず

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 わたしはこの業界で働き始めて十数年になります。WindowsNT 3.51やWindows 3.1などが登場し始めたあたりから、と言えばどのあたりかはわかるでしょうか。当時はオフコンからPCへの移行がちょっとしたブームになっていた時代で、わたしもご他聞に漏れずそういった仕事をやることが多かったりしました。その頃はVB2+SQL Serverが多かったんですよね、わたしの仕事では(SQL Server 4.21aという、今ではセミナーなどで語られる歴史にすら登場しないものが、わたしの初めて触ったデータベースだったりします)。

 他の言語に比べ、開発が「それなり」に出来るようになるまでの敷居が低いというのはVBの素晴らしい特性の1つだと思います。そういった理由もあり、業務系システムを中小企業が扱う場合にはかなりの確率でVBが選ばれる事が多くなったのだと思います。技術者を育てるというのはものすごく時間も費用も使うことですので、基本体力で劣る中小企業では人材育成に掛けることの出来る費用と時間は、どうしても減らさなければやっていけないという企業が多かったのではなかったでしょうか。そういう背景を踏まえると、VBを利用することが増えていったのは当然の結果だったとも思います。

 しかしこのあたりが現在でも続いていると思われる「技術者の二極化」の発端ではないのか、と個人的に感じている次第です。現在はWebの発展があるおかげで、多少のわからないことであれば、ちょっとGoogle先生などで検索すれば数多くの資料がヒットします。自分達の世代までとは全く異なる土台がある訳です。ですが、分からないことが発生した時に、周りの人間に聞くことなく検索し、見つかったコードをそのまま利用してしまう。そうして「コードを貼り付けるだけで、意味を理解せずにAPを作成する技術者」が増加してきたのではないでしょうか。フレームワークやライブラリ、コンポーネントが多量に出揃った今では、 Windowsの仕組みなど(極端にいえば)ほとんど知らなくともそれなりにAPが実装できてしまいます。恐らくはフレームワーク等、開発の基盤になる箇所を設計・実装できる人材は、ここ何年かでさらに減少してきているのではないでしょうか?

 それと同じくして減少してきていると思えるのが、後輩に技術(に限らず)を上手に伝えることの出来る「教育者」だと思います。こういうことはありませんか?

 「質問する前に自分達でWebとかで調べてみてね」

 と新人に言っている先輩は……。新人達に1人で問題解決ができる能力を身につけてもらいたいのでしょうが、いきなり解答が多く載っているWebを使わせてしまうのですよね。しっかりと意味合いを教え、「なぜそうする必要があるか」といった基本線をしっかりと教えなければ、「コードをコピペしてOK!」な技術者を量産してしまうだけだと個人的には思うのですよね……。一度違う道に進んでしまうと、その後軌道修正するのはさらに大変だというのはご承知の通りだと思います。

 わたしはどちらと言わなくとも技術屋側の性格なので、自分1人で何でもやってしまいたいクチです(仕事においてはそれはダメな方針ですが)。しかし考えてみると、ここ何年かで「昔気質」な人間というのがめっきり減ったなぁ……と寂しく思うところです。人に言うほど上手には出来ていないのですが、今の勤め先ではできるだけ自分の蓄えた技術を伝えていくよう、根気よくやっている次第です。

 これを読んだ方々の職場ではどうでしょうか?

 新人達のことを嘆いてばかりではなく、我が身を振り返ってみてはいかかでしょうか。

 現状がこうあるというのは、今まで自分達がやってきたことが原因の一端でもあると思いますよ?

 ……もちろん人のことを言える義理ではないのですがね。

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