真面目に働くと腐る
■真面目さは絶対の正義ではない
お客様の要求を真摯に受け止め、実現するために最大限の努力をいとわない。それでいて、日々、スキルアップの努力を欠かさない。これがエンジニアの理想像だと思う。こういう人が真面目と言われ仕事で評価される。
そこは私は同感だ。しかし、お客様の方針が間違えていたり、業務プロセスに重大な欠陥があったらどうだろう。逆にこういう姿勢が仇となることも考えられる。
■お客様は神ではない
まず、お客様というポイントを考えてみたい。もし、お客様が仕事の請負先の人たちの成長を心から願うような人で、全ての人の利益のために事業を営むような人なら問題はない。しかし、資本主義で回っている現代において、そういう人はまずいない。少ない資金でより多くの利益を得ようとする。それが普通だ。
こういう人の要求を真摯に受け止めて実現しようとすると、必ず無理が生じる。なので、現実的には真摯さプラス何かで業務が回っている。
また、この様なお客様の要求を実現すると、社会的に競走が激化する。無茶な成功が実現すると、次も同じやり方をしたり、他の会社も同じやり方をまねるから。つまり、お客様が自分の利益しか考えていないようなら、要求を実現させるほど間接的な不利益が生じると考えられる。悲しいが、これが現実だ。
■自分の会社が絶対ではない
次に、スキルアップというポイントで考えてみる。このスキルアップだが、社内で評価されるためのスキルアップか、純粋な技術を追い求めるスキルアップかによって、結果が違ってくる。
社内で評価されるためのスキルアップをする上で見極める点、それは、評価する人がまともかどうかという事だ。ここを間違えると、スキルアップしたつもりがタダのイエスマンになってたりする。
純粋な技術を追い求めるにしても、注意は必要だ。技術を高めることで、慢心が生じるからだ。技術が上がると、どうしても自分が正しいと思いやすくなる。技術を身につけるということは、1つの観念を確立することだ。その分、頭が固くなるというデメリットがある。これは客観的に見れば良く分かると思う。
そして、業務プロセスに欠陥があると、いくらスキルを高めたとしても成果は期待できない。それを認識しないで成果を出そうとすると、身体を壊したり精神を病んだりする。ごまかしで対応して、その場を乗り切る人もいるが、後々しんどい思いをする。
■それでも真面目さは必要です
このように言うと、まるで真面目に働くことが悪いかのようだが、そうではない。真面目さだけだとダメだということだ。仕事だからと盲目的に従うことが問題なのです。
今、自分たちに欠けているのは、考えること、ではないだろうか。たくさんの情報に流されて、1つ1つの情報を深く思索することができなくなっている。だから業務を真面目にこなすほど、思い通りの結果がでなくなると考えている。
つまり、真面目さは適切な条件のもとでなくては、結果に結びつかないのだ。自分の取り組んでいるものに対して一度、じっくり見直してみてはどうだろうか。何か違った境地が見えるかもしれません。