いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

真価を見出す者のみが分かる魅力 ~ITの過疎化とリアル過疎~

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■君は和歌山県新宮市を知っているか

 君は和歌山県新宮市を知っているだろうか。大阪から新宮に向かうと、途中、那智勝浦と綺麗な海岸線が見える。非常に自然豊かで空気の綺麗なところだ。これと言ってすごいものがあるわけではない。

 一見つまらなそうなところだが、住んでみると意外と快適だったりする。それなりに大きなショッピングセンターがあるので、買い物に特に困ることもない。意外と物に囲まれて生活するより快適かもしれない。

■日本の抱える過疎という問題

 そんな和歌山県新宮市だが、住んでみて気づいた事がある。18歳~35歳くらいの人がほとんどいないのだ。東京なんかだと、コンビで大学生くらいの兄ちゃんやねーちゃんがバイトをしている事が多い。しかし、新宮では多分人妻であろうかというような方が中心だ。

 市内を歩いていても、人はいるけどそういう若い人がほとんどいない。小学生や中学生はいるのに、大学生くらいの人がいないのだ。この、過疎というものを肌で感じた。

 こんなにいいところなのに、なんで若い人がいなくなるのだろう。この土地の価値が分からない。自然に親しめる生活の素晴らしさが分からない。それが過疎の本当の問題だと私は思う。

■そしてIT業界を振り返る

 IT業界は、どうも若い人に不人気みたいだ。将来、こういう過疎みたいな問題を抱える事になるのだろうか。ちょっと不安です。何十年この業界で働いていて、気づくとまわりを見ると年寄りばかり。そろそろ50歳にもなるのに、自分が一番若かったりする。そんな事、あったら嫌だ。

 IT業界自体、元々の魅力とやりがいはもっとあるはずだ。そういうのが見出しにくくなってきてるんだろうなぁ。他の業界だって不当な競争やデスマーチみたいなものはいくらでもある。トータルで考えれば、IT業界はけっこう居心地いいいかもしれない。

■過疎の共通点

 IT業界と和歌山県新宮市。この二つの過疎には一つ、共通点があると思う。良さが理解されないということだ。これは、アピールが足りないとかそういうものじゃない。それは、感じ取られるべきもであって訴えるべきものではない。

 誰かが言っていた。花は見られずともそこに咲く。泉は知られずとも水は涌くと。大事な事は良さをアピールすることではない。花なら咲け。泉なら沸け。そして、IT系のエンジニアなら自分の仕事に誇りを持とう。そこに花が咲くなら蝶が来る。泉が涌くなら魚が住む。そこに誇りがあるなら、きっと若く優秀な人がそこに集まるはずだ。

 要求される業務が高度過ぎて、若い世代がついてこれない過疎業界。そうはなって欲しくないものだ。

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