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熟慮断行のシステム開発

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 以前Anubisさんのコラムで「迷い人オーバーラン」という記事があった。その中でAnubisさんは、「仕事を早く進めるために必要なことは、迷いをなくすことだ」と述べている。

 仕事を早く進めるために必要なこと。それは迷いをなくすことだと思う。
 迷いをなくすことで大きく2つの利益がある。1つは迷って悩んでる時間が省けることだ。その分、精神力も消費しないで済む。もう1つは、正しく判断できることだ。思考がぶれないので、その分判断の精度は増す。
 迷いは精神的なものとして片付けられることが多い。しかし、迷うには必ず原因がある。原因が必ずあるので、細かく解析していけば必ず解消できる。迷いを随時解消していけば、ストレスが少なく迅速に仕事が進むようになる。それができれば理想的だ。

 では、どうすれば迷いを払拭して仕事を進められるのか。それに想いをはせたとき、「熟慮断行」という言葉が浮かんだ。

先人が成し遂げた熟慮断行による勝利

 「坂の上の雲」という歴史小説がある。司馬遼太郎が書いた日露戦争の話だ。2009年から2011年にかけて、毎年年末にNHKでドラマも放送された。

 その「坂の上の雲」の主人公に秋山真之という人がいる。日露戦争において、日本海軍の参謀として活躍した人だ。

 彼は、日露戦争においてロシアの海軍を迎え撃つに当たって戦略を練りに練って、それを実行し、ロシアの海軍を撃滅する。それに当たって、彼は世界中の戦略に関する書物を読み漁り、研究に研究を重ねたという。ドラマでも、彼は入院中に日本中世の水軍の書を読み、訪ねてきた女性にその話をするというシーンがある。

 ありとあらゆる戦略を学び、その要点を把握したうえで最良の戦略を立案し実行した。そんな秋山真之が揮毫した書が彼の出身地である松山にあるのだが、そこに書かれていた言葉が「熟慮断行」である。

システム開発における「熟慮断行」

 そうした「熟慮断行」という言葉が、Anubisさんの言う「迷いを払拭する」ために必要ではないかと感じた。

 では、僕らはその「熟慮断行」を行うために何ができるのだろうか。

 これは僕の持論ではあるのだが、

  • 顧客の要望を押さえる
  • 顧客の業務を押さえる
  • 業務を扱ううえで必要となるデータを押さえる

ということが必要になるのではないだろうか。

 システム開発をお願いしてきた顧客はいまどういった問題を抱えているのか。それをどうやって解決するのか。まずはそうしたビジョンを定める。

 次に、そのビジョンをどうやって業務の形にしていくのかを決める。必要な業務は何か。それをどうやって回すのか。

 そして、その業務ではどういったデータを扱うのかを決める。

 当たり前といえば当たり前のことであろう。もちろん、こうした「ビジョン」「業務」「データ」をしっかりデザインしても実際に作る段階で、これが足りないというものは出てくるだろうし、「業務」や「データ」をデザインする段階でも、いろいろと意見は出てくるだろう。

 しかし、その「上の概念」が定まっていれば、ぶれずに進んでいけるのではないか。そして、その「上の概念」を決めるところに「熟慮」が必要であり、実際に決まったら、その概念を実現させることを「断行」する。そうしたことが必要ではないかと思うのだ。

不安を払拭するために、確信を持つこと

 先に紹介したAnubisさんの記事では、こうも書かれている。

 不安は放っておくと増大する。不安が多いと迷うようことも増える。こういう状況で仕事をしていると、大きく作業効率を落としたり、突然の大失敗につながりやすくなる。
 そんなことで、迷いに対してアプローチを行うことは、業務を円滑に進めるうえで重要ではないだろうか。もちろん迷いに対してアプローチするには、迷ってる人に対して大きく関わることになる。労力もそれなりに必要だ。しかし、それだけの価値はあるはずだ。
 業務の進捗を管理するように、不安や迷いを管理してはどうだろうか。確かに管理をしにくいものではある。しかし、ノウハウを積んでいけば、いろいろな対処方法を編み出すこともできるかもしれない。決して無理ではないはずだ。

 その、不安や迷いを管理するためには、確信が必要になると僕は思う。もちろん、確信というものは、すぐ得られるものではない。だが、熟慮を重ねて得た結論を基にして進む。その結果を確認して次へ進んでいく。そうしたことをくり返していくなかで確信は深まっていくであろう。そして確信が深まるほど、不安や迷いが出てきてもすぐに進むべき道を見いだせるのではないだろうか。

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