@IT自分戦略研究所 メールマガジン「@IT自分戦略研究所 Weekly」に載ったアイティメディア社員のコラムを紹介します。

新しいメディアで働くってどういうことなのか

»

 2009年8月14日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。「誰にも批判されない仕事なんて、やっても面白くない」という言葉を、どこかで読んだ記憶があります。新しいことに挑戦するのは、いつでもそういう気概を持つ人だったのではないでしょうか。

■□■

 2008年の冬、アイティメディアの新卒採用に応募した最初の学生は、わたしだったらしい。当時のわたしは、ネットメディアへの就職にずいぶんと熱心だったのだ。

 「メディアで働く」といっても、いまだに「メディア」はテレビ、新聞、出版といった歴史の長い業界が主流で、ネットメディアはそこから一段低く見られているのが、まあ実情だろう。ところが、これらの歴史あるメディアがまだ若いころ、世間様はやっぱり冷たかったのである。

 こんな逸話をご存じだろうか。いまでは考えられないことだが、明治から大正時代にかけて、新聞記者は「新聞屋」「種取り」「羽織ごろ」という蔑称で呼ばれていたそうである。家を貸してもらえなければ、嫁もこない、政治家や文筆家を目指す者の腰掛けの色合いが強い職業であった。

 マスコミの発展を支えてきた広告業界も、戦前は「広告屋」と蔑まれた。電通グループの会長である成田豊氏は、電通への入社が決まった際「成田もバカだな、大学を出て広告屋か」と同級生にいわれたという。マスコミが学生の人気業界となるのは、高度経済成長期を経て大学が大衆化する1960年代後半以降の話である。

 そこで話を最初に戻そう。ネットメディアなんて、生まれて10年そこらしか経ってない媒体である。例えば@IT自分戦略研究所が毎年取材している、IPA主催の「学生とIT業界重鎮の討論会」を見ても、学生の間でIT業界の評判が良いとはあまりいえない。

 しかしIT業界が、そしてその一角であるネットメディアが、実態以上に世間からよく思われていない気がするのは、「まだまだ歴史が浅いから」という身も蓋もない理由もあるんじゃないだろうか。

 だからまあなんというか、ネットメディアはまだまだこれからに違いない。などと、わたしが考えていたことはさておくとしても、世間の風潮に流されずに「新しい業界で自分たちが歴史やルールを作るんだ」という矜持を持って働いている人たちは、やっぱり格好いいと思う。

(ITインダストリー事業部 営業統括部 池田厚生)
Comment(0)

コメント

コメントを投稿する