風呂場の出口が3つある家に住む
2009年6月26日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。アナログとIT、どちらも上手に使えればよいですよね。
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長引く雨のせいか、家の配水管が相次いで壊れました。築60年の木造建築は年がら年中どこかが壊れているものですが、水回りがやられるのは痛い。というわけで今回の修理をきっかけに、水回りのリフォームを大々的に行いました。
まずは風呂場から。わが家の風呂場には出口が3つあります。祖母の風水趣味によるものです。「水場には悪いものがたまるから、出口は多い方がいい」という風水師の言葉を真に受けた祖母が、十数年前に祖父に内緒で開通させました。
出口は(1)台所(2)廊下の階段下(3)外につながっていて、まるで忍者屋敷のよう。「殿、賊が! 早くお逃げください!」という事態になっても、うちの風呂なら殿は無事に逃げられるでしょう。実際に使っていたのは1カ所だけだったため、リフォームがてら残りの2つの出口を閉めました。
次にトイレ。業者の人によれば、「いまのトイレと昔のトイレは造りが根本的に異なっている」そうです。理由は意外なことに「携帯電話」。携帯電話をトイレに落とす人が続出したため、いまのトイレは流水口が狭くなっているとのこと。デジタル製品はトイレの構造も変えるのかと、少し驚きました。そして、業者の人も驚いていました。「おお、『TOTO』じゃなくて『東洋陶器』って書いてある!久しぶりに見ましたよ僕!」。
無事にリフォームが済んで、いまは快適に過ごしています。日々の仕事では、デジタル製品やITなどの新しいものに囲まれています。それはそれで楽しいのですが、こうして古いものを修理しながら使うのもなかなかよいものです。
先代の妙なこだわりや変な豆知識を見つけられるし、環境適応力も否応なしに上がります。新しいものと古いもの、両方の良さを認められる人間でありたいものです。
目下、雨漏りと屋根の劣化が心配の種ですが、今年の梅雨は無事に乗り切れそうなので放っておきます。そちらの修理は、また数年後にでも行うかもしれません。